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ワイン好きに捧げるレシピ#学び編 part3《料理もワインも甘いものが好き》

過去の学び編では酸味渋味についてご紹介いたしましたが、part3ではいよいよ甘味について深掘りしてまいります!

▼よろしければ過去記事も併せてご覧ください▼

実はワイン界隈でよく耳にする甘味は、単純に甘さ(糖度)だけをさすものではありません。

この記事では、複雑なワインの甘味を極力わかりやすくまとめておりますので、ぜひご一読いただきますと幸いです。


学び編 part3《食事もワインも甘いものが好き》

ピンポーーーン

玄関に向かったシャル子(ワインオタク・OL)は、配達員から小さな段ボール箱を受け取り、不思議そうな顔でそれを見つめながらリビングへ移動した。

「おっ、もう届いたんや。」

ピノ太郎(シャル子の夫・関西人)が2階から降りてきて、シャル子が持つ段ボール箱を見るなりそう呟いた。

「ピノ太郎が注文したのね。何が届いたの?」

ワインの甘味とは

ウキウキと嬉しそうな表情で段ボールを開封し、中から1本の小さなワインボトルを取り出した。

「ふっふっ。たまたまインターネットでアイスワインっていうもんを見つけて、気になって注文してもうた!」

生産者:ワインケラーライ・ドイッチェ・ゲーエムベーハー 銘柄:ジルヴァーナー アイスワイン

「いい買い物をしたね!アイスワイン(Eiswein/Icewine)は、樹の上で氷点下で凍結したブドウ(※)を凍結したままの状態で圧搾して造る貴重なものなのよ。」

「へぇー!凍結したままのブドウを使うだけで、何で甘口になるん?

「ブドウ果粒内の果汁は凍結するんだけど、その他の糖分などのエキスは凍らないのよ。だから、この凝縮した非常に少量のエキスだけを発酵させることで、とっても高糖度のワインが完成するの。」

「なるほど!けど、たまにシャル子は甘くないワインなのに甘味があるって言うときがあるけど、あれはどういう意味なん?」

「このアイスワインのように残糖分が高いものだけじゃなくて、成熟度が高いブドウの果実味や醸造段階で木樽を使用することでワインに移る甘い風味なども、ワインの甘味として表現するのよ。」

「ふむふむ。僕も酸味渋味を勉強したから、これはピンときたで!つまり、成熟度が高い=気温が高く日照量も多い温暖エリアで育ったブドウは果実味が強い、成熟度が低い=気温が低く日照量も少ない冷涼エリアで育ったブドウは果実味が弱いって表現するんやな!?」

「その通り!もう一つの木樽由来の甘い風味には、主にバニラココナッツキャラメルなどの成分が挙げられるわ。これらの成分が木樽からワインへ溶け出すことで甘い風味を感じるの。」


✅甘味のまとめ

  • アイスワインの甘味は残糖分をさす。凍結したブドウの中にある凝縮した非常に少量のエキスだけを発酵させることで、高糖度のワインが完成する。

  • 一般的な辛口ワインでも、成熟度が高いブドウの果実味を甘さとして表現する。

  • 冷涼で日照量が少ないエリアで育ったブドウは果実味が弱く、温暖で日照量が多いエリアで育ったブドウは果実味が強くなる。

  • 木樽を使用することでワインへ溶け出すバニラココナッツキャラメルなどの成分も甘さとして表現する。


✅もっと詳しく知りたい方へ

アイスワインに関する規定は各国により異なり、ドイツは氷点下7℃以下・収穫時の果汁糖度110~128°Oe(エクスレ度/Oechsle/Öchsle)、カナダは氷点下8℃以下・圧搾後の発酵タンク内の最低ブリックス32℃・ブレンド後の平均ブリックス35℃以上と定められています。
 また、平均気温が高いなど天候によってブドウが凍結せず、アイスワインを生産できない年もあるため、最近は希少性が高まっています。


柿とブルーチーズのデザートピッツァ/Dessert pizza with persimmon and blue cheese

甘く熟した旬の柿とクリーミーで程よい塩味を持つブルーチーズを組み合わせた、一風変わったおつまみピッツァです。

材料

柿           1個
ブルーチーズ      約30g
クルミ         4個
ピザ生地        1枚
はちみつ        小さじ2
ローズマリー      1/3枝
オリーブオイル     適量
※分量:2〜3人分


作り方

①柿は、へたを取り除いて皮を剥く。種を取り除き、いちょう切りにして約5mm幅に切る。

②ピザ生地に①をまんべんなく乗せる。

③②の柿の隙間に、ちぎったブルーチーズ・砕いたクルミを並べる。

④③の柿・ブルーチーズにはちみつを回しかけ、ローズマリーをちらす。

⑤250℃のオーブンで約10分焼き、オリーブオイルを回しかけて完成!

あえて薄いクリスピー生地を使用してパリパリ・サクサクに仕上げることで、柿のやわらかな口当たりとのコントラストを楽しめるわ。

「ほんまや!クルミのカリッとした食感も、柿&ブルーチーズのなめらかさをより引き立たせてるな。」

じゃあ、お待ちかねのアイスワインを合わせてみよう!ドイツのラインヘッセン地方産ジルヴァーナーを使用したキュヴェで、残糖125.3g/l、酸5.1g/lの極甘口ワインよ。

「これは凄いな!杏や黄桃なんかの熟した黄色いフルーツのコンポートの香りがする。あと、柑橘のピールみたいな甘くて爽やかな香りも。これは焼いた柿の甘味にバッチリ合うわ!」

そうね。それに、アイスワインのとろりとした粘性が柿とブルーチーズのねっとりした舌触りともマッチしてるね。

「甘いアイスワインとしょっぱいブルーチーズを交互に口にすると、それぞれの味わいが際立って無限に飲み食べ続けられるわ!」

ちょっと、ピノ太郎!そんなに一気に食べないで、私の分も残しておいてよー!

✅ワインを合わせるコツ

  • 焼くことでとろとろになった柿とブルーチーズの口当たりには、フルーツコンポートのような非常に甘い香りと高い粘性を併せ持つワインがピッタリ。

  • アイスワインの濃厚な甘味には、程よい塩味を持つブルーチーズを合わせることで双方の足りない要素を補完し、味わいにより一層のバランスが生まれる


ワインケラーライ・ドイッチェ・ゲーエムベーハー

ドイツのラインヘッセンにあるハーンハイム村に拠点を構え、100年以上にわたりコッホ家が営む家族経営のワイナリー。アプトホフ(修道院の寄宿舎という意)の名前の通り、ハーンハイム村はシトー派の僧侶と密接な繋がりがあるため、ロゴには僧侶のイラストを使用しています。

2015年にシャーロット・コッホ氏ヘルベルト・コッホ氏の息子マルティン氏、妻のアリナ氏が経営に加わったことで、ドイツ国内で数々の賞を受賞し、ゴー・ミヨのワインガイドとヴィヌムのワインガイドでも推奨されるなど、大きな躍進を遂げました。

ブドウ畑では肥料と搾りかすから作られた天然肥料のみを使用し、テントウムシやミミズなどの益虫を活かすためフェロモン・トラップ(フェロモンの強力な誘引力を利用して虫を捕獲する罠)に取り組んでいます。

また、耐病性に優れたPIWI(カビ菌耐性)品種を一部採用しており、自然そのものの抵抗力を利用することで農薬散布量の減少に努めています。

ワインは苦手だけど、甘口なら飲めます!という方によくお会いします。

そんな甘党の方には、シンプルにチョコレートドライフルーツと合わせるのはもちろん、アイスクリームに少量の甘口ワインをかけて一緒にいただく合わせ方もオススメですよ。


最後までご覧いただき有難うございます!


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