2020年 小学生部門 最優秀賞『3びきのくま』『三びきのクマの話(イギリスとアイルランドの昔話)』
受賞者
根來 彩季さん(小3)
読んだ本
『3びきのくま』 トルストイ作 バスネツォフ絵 おがさわらとよき訳 福音館書店
『三びきのクマの話(イギリスとアイルランドの昔話)』 石井桃子編・訳 J・D・バトン絵 福音館書店
作品
「三びきの熊の大旅行」
私は二つの「三びきのクマ」を読みました。すると、書かれた国がちがうのに、どちらもクマが三びきと、人間が一人でてきます。私はふしぎに思いました。
そこで、二つの話をくらべてみました。
ロシアの話では、くまは親子で、女の子が家にしのびこみ、スープをのんでしまいます。また、イギリスの話では、クマは親子とは書いておらず、悪いおばあさんがクマの家にしのびこみます。そして、おかゆをたべてしまいます。女の子も悪いおばあさんもさいごににげだしますが、どうなったかは分かりません。
そこで考えてみました。3びきのくまと女の子は、ロシアから船でイギリスに行ったのではないでしょうか。
するといろいろなストーリーが頭にうかんできました。ロシアの親子のくまがイギリスに行ったあと、ミシュートカには子どもが三びきうまれました。またロシアの女の子はイギリスににげて、年をとって小さいおばあさんになりました。そして、クマの三兄弟の家にしのびこみ、この時も、みつかってにげだしたのです。
このように、ロシアとイギリスのお話はつながっているように思いました。すると私の頭にはお話のつづきがもくもくとわいてきたのです。
それから、十年の月日がたちました。
『三びきの熊』
イギリスの小さいおばあさんは、むすこに会うために日本にやってきました。そのころには、小さいおばあさんは、いい人になっていました。そして、もっと小さいおばあさんになりました。ぐうぜん日本にきていたクマも年をとっていました。
もっと小さいおばあさんは、イギリスでにげだしてから、三兄弟のクマとは会っておらず、クマも、もっと小さいおばあさんもおたがいのかおをわすれかけていました。
ある日、もっと小さいおばあさんが森にさん歩に出かけていると、年をとった三兄弟のクマに会いました。三兄弟のクマはもっと小さいおばあさんがいい人になったことを知り、もっと小さいおばあさんをゆるしました。そして、家にあんないし、やわらかくて食べやすいフワフワたまごオムライスをごちそうしてくれました。
また何年かがすぎていきました。
もっと小さいおばあさんが、へやでゆっくりお茶をのんでいると、まごから電話がかかってきました。アメリカの家に来ていっしょにすまないか、というのです。もっと小さいおばあさんはアメリカにも行ってみたい、と思いました。そしてすぐにアメリカ行きのひこうきにのりこみました。ひこうきにはぐうぜん年をとった三兄弟のクマのむすこたちものっていました。三びきとも、かっこいいぼうしをかぶっています。ならんですわった、もっと小さいおばあさんは、クマたちに昔の話をたくさんきかせました。
しばらくすると、アメリカに着きました。
もっと小さいおばあさんは、まごに会った後、その家でしあわせにくらしました。もっと小さいおばあさんは、もっともっと小さい100才おばあさんになっていました。
ある日、100才おばあさんが森を一人でさん歩していると、としをとった三兄弟のクマのまごに会いました。すると、家にあんないされ、こんどは、トロトロのチョコレート入りカレーライスをごちそうしてくれたのです。100才おばあさんはしあわせな気持ちになって、まごのクマ一ぴきと、歩きながら話しているとかぎがおちているのに気づきました。目の前にはおしろの形をした家がたっています。
100才おばあさんはおそるおそるかぎで戸をあけました。すると、そこには女神さまが立っていました。女神さまは100才おばあさんがやさしくなったことをほめ、小さい女の子にすがたをかえました。そして、まごのクマ一ぴきといっしょに、ロシアの森の中までつれていってくれました。
もしかすると、ロシアの女の子は100才おばあさんのうまれかわりで、ミシュートカは三兄弟のクマのまごのクマだったのかもしれません……
受賞のことば
算数好きなわたしは、自由に考えることが好きです。今回の作文でも、算数の問題を解くように想像したとおりに書いてみました。がんばったところは、時代から時代への変化をクマたちにもえいきょうさせ、関係をつなぐところでした。最優秀賞と聞いたときは、家族とともにおどろきでいっぱいでした。将来は理系に進みたいわたしですが、ことばをもっとうまく使えるように、たくさんの本を読んでいきたいです。
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(注:応募者の作文は原則としてそのまま掲載していますが、表記ミスと思われるものを一部修正している場合があります。――読書探偵作文コンクール事務局)
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