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2021年 小学生部門 最優秀賞『星の王子さま』

受賞者
川上 莉央さん(小5)

読んだ本
『星の王子さま』 サン=テグジュペリ作 三田誠広訳 講談社

作品
「かんじんなことは、目では見えない」

 私は小学三年生の時にも『星の王子さま』を読んだことがあります。その時は絵がとてもかわいくて、どんなお話なんだろうと読みすすめましたが、読み終わったあとなんだか変な感じがしたのを覚えています。読んだのにどんなお話かよく分からない、楽しかったとか悲しかったとか、そういう感想も特にない不思議なお話でした。その後は一度も読んでいませんでしたが、私も五年生になったから、少しは分かるかもしれないと思い久しぶりに読んでみました。
 今回読んでみて思ったことは、なにかを好きになること、大切に思う気持ちは、目には見えないけれど、とてもすてきなことなんだよということを、サン=テグジュペリは私達に伝えたいんじゃないかということです。
そして、その気持ちは、すぐに簡単につくられるものではなくて、話をしたり遊んだり、お世話をしたり、時にはケンカしたりしながら、一緒の時間をすごしていくなかで時間をかけて生まれてくるものなんじゃないかということです。その気持ちは人間に対してだけではなく、私が飼っていたペットが他の犬や猫とは全く違う特別な存在であると感じるのも、そこに私の気持ち、想いがあるからだと思います。他の人からみたら、たくさんいる人の中のひとり、たくさんいる動物の中の一匹にすぎなくても、私にとっては大切なかけがえのない存在になる、それが愛するということなんだと思います。うまく説明できないけれど、好きよりはもっと強い、深い気持ちだと感じました。
 その愛する気持ちは、キツネが「自分に《なついて》くれたもののことは、いつまでたっても《なつかしい》はずだ。」と言っているように、姿かたちが変わっても、天国へ行ってしまっても、ずっと忘れることはないのだと思います。
 今回約二年ぶりに『星の王子さま』を読んでも、よくわからなかったことがあります。それは、どうして王子さまは死んでしまったのかということです。しかも自ら毒ヘビにかまれることを望んでいます。キツネの「あんたはあんたの花に《つぐない》をしなければならない……。」という言葉がなんだかとても気になりますが、今の私にはどういうことか理解できませんでした。
 またいつか私は『星の王子さま』を読むと思います。何年後になるかはわかりませんが、王子さまの死について理解できる日がきたらまたこの続きを書きたいと思います。

受賞のことば
 ある日、家にいると、お母さんがにこにこしながら電話をしていました。
そして、
「おめでとう」
と言ってくれました。うれしかったです。
 この作文を書く時は、こんな感じかなというのは分かるけど、その気持ちを言葉にできなくて何度も何度も読み返しました。なので、書けた時は達成感でいっぱいでした。また、このコンクールに応募してみたいと思っています。

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(注:応募者の作文は原則としてそのまま掲載していますが、表記ミスと思われるものを一部修正している場合があります。――読書探偵作文コンクール事務局)

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