「好き」を言語化する技術【推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない】
ヤバい、面白い、考えさせられる……
感想を伝える時にこれらの言葉をついつい使っていませんか?
残念ながら私もその1人です。
私は普段、『読書大学』というnoteやXで本の紹介や感想を記事にしたり、呟いたりしています。
ですが、文章を書く時に、言葉が浮かんでこなかったり、つまずいたり、悩むことは日常茶飯事です。
よくよく考えれば当然のことで、私はライティングのプロでもなければ、書評家でもありません。
読書感想文は小学生や中学生の時に書かされていましたが、重要な「書き方」そのものについて、学ぶ機会は無かったんですよね。
皆さんもそうではないでしょうか?
本に限らず、自分の好きなこと、趣味、なんでも良いのですが、これらについての書き方、語り方、伝え方って、実は誰にも教わっていなかったと思います。
伝えたいけど、伝えられない。
伝わっている感じがしない。
今回ご紹介する『「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』を読めば、自信を持って伝えられるようになり、自分が好きなことや趣味がもっと好きになるかもしれません。
noteやSNSをやっている方は必読!
○著者
三宅 香帆
・「文芸評論家」として、本について説明したり、自身も本を書いたりする傍ら、プライベートではアイドルや宝塚を推す「オタク」として発信活動を行っている
・『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』は、今の時代に刺さりまくり、ベストセラーに!
・↑が著者。本への愛情が凄まじく、テンション高めで本を紹介している(笑) 説明が非常に魅力的でついついこちらも読みたくなってしまう。
○ジャンル
新書
○あらすじ
書評家やオタクとして、仕事でもプライベートでも、自身の好きなモノやコト(本、アイドルなど)について紹介したり、説明したりする機会が多い著者。
そんな、まさに「推し」を伝えるプロである著者が、
・推しについての書き方や伝え方のコツ
・そもそもなぜ書く必要があるのか
・書くことで自分にとってどんな良いことがあるのか
を分かりやすく解説してくれる本。
○感想
・著者の推しへの想いがとにかく熱い!推しによって人生を主体的に楽しんでいるのが文章から伝わってくる。
・本書では「推し」について書かれているが、これはアイドルや芸能人に限ったことではなく、自分の好きなコトや趣味などに置き換えて読んでOK
・私は、読書ブログを書いたり、友人とお笑いについて語ったりすることが好きと言うこともあり、個人的には『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』よりも更に自分事として読み進められた。
・新書はお堅いイメージがあるが、本書は語り口調で書かれており、全然堅い感じがしない。
・私は感想を伝えたり、紹介したりするのに大事なのは、「語彙力」と思っていた時期がある。そのため、「知らないと恥ずかしい」、「社会人なら知っていて当然」的な、語彙に関する本を読み、少しでも語彙力を高めようとしていた。
もちろんそれも悪いことではないが、よくよく考えてみると、「相手がその語彙を知らない場合は、伝わりにくいどころかストレスにすらなる」ということに気づき、どうやら大事なのは「語彙力」では無い別の「何か」であると察した。
その「何か」がこの本にはたくさん詰まっていた。
・読んでいて、「そういえば、自分が好きなコトや趣味って、何がきっかけでハマるようになったんだっけ」と、自分自身について振り返るキッカケになった。
お笑い(特に『M1グランプリ(漫才頂上決戦)』)への熱意が高まったのはいつだろう、読書を積極的にするようになったの何故だろう、『読書大学』をどうして始めたいと思ったんだろう……
・本書を読んで、読書の感想や紹介の記事をもっと書きたくなったし、書くことに対するモチベーション上がった。
本に限らず、何かについて書いたり、語ったりしている人、したい人は読んで損は無い。
○印象に残ったこと
本書を読んで、私がタメになったと思うこと、これやってしまっていた……ということを一部ご紹介します。
・クリシェ(常套句)はなるべく使わないようにする
(例:ヤバい、面白い、考えさせられる)
⇒これはついつい私も使ってしまいたくなる……
・「自分の感情」を核にして、それを文章の「工夫」で包みこみ、さらに「妄想力」で思考をどんどん展開させていく
⇒必要なのは、語彙力でも分析力でもなく「妄想力」だったというのはなかなか衝撃的です。
・鮮度の高いうち(感動が覚めないうち)に言語化する
⇒正直に白状すると、読書大学についても、とっくに読み終わっているのに記事を書けていない本がたくさんあります……
・自分の感想を書く前に他人の感想を見ない
⇒これは私も思い当たりまくり。読んだ直後にSNSやレビューをみてしまうと、自分の感想と他人の感想がごちゃまぜになってしまう。
・何に対して、肯定的または否定的な感情を抱いたのか、自分が感じた感情について細かくメモする。言語化とは細分化すること。
⇒言語化って聞くと、難しそうに聞こえますが、要は細かく描写することです。これもなるほどなあと感じました。
・面白さは共感or驚き、ネガティブは不快or退屈
⇒実は面白さやネガティブの種類ってそれぞれ2つのパターンで説明できることが多いんです。
・推しを語るにはまず情報の格差を埋める(いきなり伝えたいことから始めない)
⇒「この人のここが最高だった!」と伝えたい気持ちを抑え、まずは相手が推しについてどのレベルで理解しているのかを把握し、相手へ渡す情報量を変えるということ。
私も友人や知人に、お笑いについて語るときは、カットし過ぎてしまったり、逆についついしゃべり過ぎたり、してしまうことがあります……
・「自分語り」で共感を得て、そこと推しの共通点に連れていく
⇒いつもの記事より、導入部分が長く、自身に関する記述が多いのは、これに影響されています(笑)
・とにかくまずは書き終える
⇒めちゃくちゃ分かります。感動が覚めてしまう前に書いた方がテンポよく書けますし、逆に間が空いてしまうと、「あ~もう書かなくていいやー」となってしまいます。
これらは一部に過ぎません。
これら以外にもたくさんのコツやマインドが書かれていますので、詳細はぜひ本書を読んでみてください!
○大切なこと
最後に私が特に大切だなと感じたことを3点記します。
・SNSなどの他人の言葉から自分を守るために、自分の言葉を紡ぐことが大切
・自分の言葉で推し(自分の好きなモノやコト、趣味など)について書けるようになると、推しへの解像度が高まり、更に推しが好きになる
・今は好きだと思っていても、いつかは好きでなくなってしまうかもしれない。好きを言葉で保存しておくことは、自分の人生や価値観を理解することにつながる
以上です!
noteやXで発信をしている方には特に刺さる内容です。
「ちょっと書きたくなってきたー!」とモチベーションアップもできる1冊です。
皆さんも「推し」について語ってみましょう!
○関連記事
著者の三宅香帆さんが書かれたベストセラー『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の紹介記事です。こちらも現代に刺さる内容でした。
「推し」について書かれたミステリー小説を紹介した記事です。