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新装版 ホームレス中学生【家族解散宣言!】

家族解散宣言

「ご覧の通り、まことに残念ではございますが、家のほうには入れなくなりました。厳しいとは思いますが、これからは各々頑張って生きてください。…………解散!!」

『新装版 ホームレス中学生』より

発出されたことはあるでしょうか?
私は無いです。

当事者からしたら大大大大大問題なのは、よく分かるのですが、文字で見ると笑ってしまいます。

今回、ご紹介する『ホームレス中学生』は、お笑いコンビ「麒麟」のツッコミ担当である田村 裕が、中学生当時に突然発出された家族解散宣言によって、ホームレスとなってしまった話を中心とした自伝です。

状況だけ聞くと、とても笑えるような状況では無いのですが、著者の人柄やユーモアによって、笑いあり、涙ありの本になっています。

住む場所や家族のありがたさ、人の温かさなど、心がほっこりする素敵な本です。




○著者

田村 裕
・お笑いコンビ「麒麟」のツッコミ担当
・「麒麟」と言えば、今や人気司会者となった「川島明」を思い浮かべる方も多いかもしれません。実はコンビでは、ボケが川島で、ツッコミが田村です。
・テレビ見かけることは減ったが、YouTubeなどバスケットボール関連で活躍中

○ジャンル

ノンフィクション・エッセイ

○あらすじ

今から15年以上前の2007年に出版され、かなり話題となった『ホームレス中学生』の新装版。

中学生の時に突然父親から「家族解散宣言」が発出される。
住む場所も、お金も無く、路頭に迷うこととなった著者は近所の公園で生活し始める。
突然の家族解散宣言約1カ月の公園生活兄姉弟3人の生活など、過酷な経験を乗り越えてきた著者だからこそ語ることができるエピソードは、笑えるし、泣ける。

○感想

【懐かしい】

・2007年に出版されて、私は当時ちょうど中学生の時に読んだことになる。なんと17年も前。

225万部突破で、なんと日本の歴代ベストセラーTOP30に入っており、国民的ベストセラー。(著者や麒麟のことは知らなくても、『ホームレス中学生』は聞いたことがあるという方もいるかもしれない。)

・今回の新装版で新たに追加された話もあるので、過去に読んだことがある人でも楽しめる。


【カバーが段ボール】

・タイトルの「ホームレス」にちなんで、カバーが段ボール紙でできているという芸の細かさ。


【相方:川島明の推薦コメント】

・相方の川島が帯コメントを書いており、麒麟ファンにはたまらない。

この2ショット堪りません

「初めて読んだ時より笑った。
初めて読んだ時よりちょっと泣いた。
田村、やっぱりこれめちゃくちゃええ本やな」


【笑いアリ、涙アリ】

・突然の家族解散宣言、約1カ月の公園生活、兄姉弟3人の生活など、過酷な経験を乗り越えてきた田村

・それぞれのエピソードは強烈的で、著者のそれを乗り換えるタフさ、人を引き寄せる明るさにまず驚かされる。さらに、周囲の人々の支えに対する感謝を忘れない、その姿勢は感服。

"思春期"という、体も心も成長し、独特の感受性が芽生える、人生における面倒くさい時期も、この本の重要な要素と言える。

・自分が同じ立場だったら、恨んだり、憎んだりしてしまいそうな相手に対しても、著者は一面のみを捉えず、「この人も大変な時期に頑張ってくれた」と感謝している。自分にはまずできないよなあ、とこれまた感服。

・扱っているテーマは突き詰めると結構深い気がするが、さすがお笑い芸人。これらを、ただ涙ありの感動エピソードに昇華させるのではなく、しっかり笑いの要素も忘れていない。


○印象に残ったフレーズ

この本は家族や周囲の方々も温かい方々が多いです。

「家のことは俺がなんとかする。お前はそんなこと考えなくていいから、ちゃんと高校に行ってくれ。そやないと俺、お母さんに合わす顔無いわ。それだけは頼む。高校だけは行ってくれ」

田村の兄のセリフ


家族解散宣言を発出した父親に対する著者の思いです。

 僕達は、もっとお父さんにしてあげられることがあったと思う。
 そんな厳しい環境に追い込まれ、お父さんは闘っていた。僕達がもっと早く気付いて助けていれば、解散しなくて済んだかもしれなかった。

 よくみんなに「お父さんに恨みは無いのか?」と聞かれる。
 確かに家が無くなって苦労はしたが、全く恨みは無い。
 むしろ感謝の気持ちでいっぱいである。
 お父さんは本当に頑張っていたと思う。


○お笑いコンビ「麒麟」

「麒麟デス」
(川島の低音ボイスから放たれる「麒麟」の漫才のツカミ。)

・小学生の時に見た「M-1グランプリ2005」のネタを見て衝撃を受け、麒麟が好きになる。自分が20年近くお笑いを好きを続けている、きっかけは間違いなく麒麟。

・今の10,20代は、朝番組司会の川島のことしか知らないかもしれないが、麒麟はごりごりの漫才師であった。

・結成2年で第1回M-1グランプリの決勝に進出し、今でこそ漫才の当たり前の技法の1つである伏線回収を披露し、衝撃的なデビューを果たす。

・審査員の松本人志に「僕は今ままで1番良かったですけどねえ」と言わしめ、ダークホースの呼称である「麒麟枠」という言葉の語源になったり、「M-1チルドレン」というキャッチコピーがついたり、決勝戦3年連続3位という輝かしい実績も残している。

優勝候補と言われるも『ホームレス中学生』が売れてからコンビ間に溝が生じる。その中でも出場した「M-1グランプリ2007敗者復活戦」「サンドウィッチマン」に負け、ラストイヤーで挑んだ「M-1グランプリ2008敗者復活戦」では「オードリー」に敗れ、M-1グランプリの酸いも甘いも全てを経験した漫才師であった。

今ではピンでの仕事が、ほとんどになってしまったが、また当時のギラギラの目をした漫才が見たい。


以上です。
最後はついつい熱くなってしまいました(笑)

子供から大人まで、お笑い好きもそうでない人も、まさに老若男女問わず楽しめる1冊ですので、興味がわいた方はぜひ読んでみてください!



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