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言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか(著者:ナイツ 塙宣之)

ジャンル:お笑い
満 足 度:★★★★☆


〇感想

・M1グランプリ(漫才頂上決戦)の演者としての実績も残し(2008年から3年連続決勝進出)、現在では審査員も務める著者であるため内容に説得力がある

・本著は「関西弁と関東の日常言葉の違い」、「漫才と落語の比較」などの視点から、M1を考察しているところが他の考察と異なり面白い
※なお、内容は2018年(優勝:霜降り明星)が時点であるため、現在とはおそらく違う点もあることは留意した方が良い。

(2019年:歴代最高得点 ミルクボーイ
 2020年:我流漫才 マヂカルラブリー
 2021年:最高年齢コンビ 錦鯉
 2022年:毒舌漫才 ウエストランド
 ここ数年の優勝は特徴的なコンビが多く、M1自体の捉え方も変化しつつあると思う)

・決勝のオンエアのみならず、ネット、ラジオ、そして本など色々な媒体で楽しめるM1は本当にすごいと感じた

・M1出場コンビを見る際には、「関東・関西」、「吉本・非吉本」、「しゃべくり・コント」の枠組みで見るのも面白い

 

〇印象に残ったこと

【漫才】

漫才=日常会話の延長
・漫才はボケ、ツッコミ、客席の三角形が大事
・「誘い笑い」は自信の無さの表れ
・漫才界の勢力図は今も昔も「西高東低」
・サッカーで言うと関西=南米、大阪=ブラジル
「なんでやねん」は表面上攻撃的だが、実は相手を慈しんでいる魔法の言葉
・しゃべくり漫才の母国語は関西弁
・ネタは他の人でも演じることができるもので、自虐ネタはネタではなくフリートーク
関西弁に限らず方言は感情を乗せやすい一方、東京の日常言葉は意味を伝達する道具のようなものになってしまっている
劇場の客はお金と時間をかけて観に来ているため笑うことに前向きだが、テレビの視聴者は漫才を観ることに対価を払うわけではないのでシビア

【M1】

・M1の歴史はいかにボケ数を増やすかというスピード化の歴史だった
M1は100メートル走、寄席は10000メートル走であり使う筋肉が異なる
怒りは感情の中で熱量が最も高く、M1で勝つには怒りに代わる何か強いものが無いと評価されにくい
・強引なつかみをするならばスッとネタに入った方がよい
・M1は漫才師であれば誰もが憧れるタイトルで一時期を捧げるのに十分過ぎる価値があるが、そこで勝つことが全てではなく、そのせいで自分の持ち味を見失うのが一番やってはいけないこと
・サンドウィッチマンとナイツの漫才は似ている(言い間違え、言葉遊び等)

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