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夏と花火と私の死体【語り=死体!?】

乙一。
書店でこの名前を見かけ、その画数の短さに思わず二度見してしまった人は私だけではないはず。

今回は、乙一さんのデビュー作『夏と花火と私の死体』をご紹介します!


〇著者

乙一
1996年『夏と花火と私の死体』で第6回集英社ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞してデビュー。

〇ジャンル

小説(サスペンス)

〇あらすじ

表題作『夏と花火と私の死体』と『優子』の2作が収録。

『夏と花火と私の死体』

タイトルどおり、主人公である9歳の女の子が死ぬ。
結構序盤であっさりと死んでしまう。
賢い兄と弱気な妹の小学生の兄妹は、女の子の死体をいかに隠していくか、隠し通せるのか!?という物語。

〇感想

・サスペンスに分類されると思うが、文章は堅苦しくなく、物語も明瞭なのでサクサク読める。

・田舎町の小学生の夏休みという日常の中に突如発生する「死体隠し」という非日常。このギャップがなかなか面白い。

・死体を隠すとなると、大人なら色々な手段や行動範囲が考えられるが、小学生ならどのように振る舞うか?小学生だからと侮るなかれ。

【最大の特徴】

・何と言っても最大の特徴は、物語が死体となった主人公の女の子目線で描かれるところ。(幽霊ではなく、どちらかというと「神の目線」に近い)

・この小説は1996年に掲載され、今から30年近く前の作品。しかし、少なくとも私は死体目線で物語が進んでいく小説をこれまで読んだことがなく、現代でも斬新な手法だと感じた。

片方の足にはサンダル。もう片方の足は素足で、泥がついてた。素足のほうをまじまじと眺められて、わたしは少し恥ずかしくなった。

これは既に死んでいる女の子(私)が死体目線で語っている描写である。死体というホラーの中にユーモアを感じられるところが面白い。

【著者について】

・巻末の解説でも触れられているが、この作品はなんと16歳の時に作られたものであるとのこと。高校1年生か2年生くらいがこの作品を書いたと思うと、天才過ぎると率直に感じた。

・乙一さんの名前は以前から知っており、本屋でもその画数の少なさからすぐに目に入っていたが、これまで読んだことがなかった。
収録されている『優子』も面白かったので、他の作品もぜひ読んでみたい。

以上です!
気になった方はぜひ読んでみてください。

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