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” いま ”ツライ方へ。『しれっと逃げ出すための本』を手にとってほしい


ヨシダナギさんを知っている方はどれくらいいるのだろうか?
気になってTwitterのフォロワー数を調べてみたら、85,136人いらっしゃった。
うむ。これは多いのか、少ないのか。
Twitter初心者には判断がつかない。

彼女は現在フォトグラファーとして活躍している。
海外の少数民族の方々をカッコよく撮影したり、最近ではドラヴァクイーンの方々を被写体にした写真展を開催されたり、とにかく被写体をカッコよく映し出す天才だと思う。
私も2回だけ写真展にお邪魔したことがある。

ヨシダさんの写真は
生き生きしているってこういうことか!と
ドキドキ、ワクワクしながらウッキウキな感じでいつまでもみてられる。
心踊る写真って、いいよね。

今回はそんなヨシダナギさんの著書の記録を残しておく。

「しれっと逃げ出すための本。」

ヨシダナギ 著/2021.9月発行


こちら、書店の児童書コーナーにひっそりと異彩を放っておられたところを見つけ出した。
しれっと逃げ出すってあなた、ここ児童書コーナーですよ?
って思いながら手にとって読んでみる。
そしたら30歳を過ぎたアラサーの心をがっちりと鷲掴みしてくれて、
私は晴れて無職になった。
完全なまでの無職だ。
ヨシダナギさんのおかげだ。
・・・おかげ?

で、私を無職に導いてくれたこちらの本のなのだが、
”はじめに”の始め方が大好きだ。

「逃げること=悪いこと」だと、世の中では思われがちである。
が、私はそう思わない。
 逃げも隠れもしないことは立派だと思うが、”何もできないつらい場所”にただ留まっているだけなら、取り急ぎは逃げ出しちゃってもいいのではないかと思う。
 なぜならば、逃げることは、ここではないどこかへ向かうという行動であり、自分が置かれた状況を変えるという意思だからだ。

「しれっと逃げ出すための本。」p.1より引用


もう何年も前のことだが、私の妹はある日突然学校へ行かなくなった。
(ちなみに、現在の妹はコツコツ働いてキャッシュでヴィトンの財布を購入してくるくらい、ぶっとく暮らしている。)
この文章を読んだ時、登校拒否という意思を示した妹が無言で布団にくるまっている横で、その布団を引っぺがそうと母親が躍起になっていた姿を思い出した。
そんな母親に同居していた祖母は「ありゃ逃げ癖がついて悪りぃわぁ」と何度も何度も話していた。
母には母の立場があり、あんな行動を取っていたのだろうか。
だとしたら、当時の母がこの本を読んでいれば、少しは対応も変わったかもしれない。
そして、妹は家族にまでも心を痛めつけられることはなかったのかもしれない。

上に引用した文章の中で、私がハッとした点は”逃げることはどこかへ向かうこと”という箇所だ。
なんとなく、”逃げる”ってマイナスのイメージがつきまとうのだが、どこかへ向かうという言い方に変換してあげるだけで、プラスなのかマイナスなのか判断がつかなくなる。

”逃げる”という行動は、結果を表す言葉だ。
長い人生の一瞬を切り取って、行動を起こした瞬間に”逃げる”という結果を突きつけるのは、時期尚早なことが多いのかもしれない。

ここで引用した文章は、ヨシダナギさんの人柄が表れているのではないかと思っている。
実際お会いしたこともないし、メールでやりとりをしたこともないんだけど、なんとなく。
ふわふわっと漂いながら、スッとこちらを観察し、さらっと確信をついてくる。
こんな方なんじゃないかなと妄想している。
そんなヨシダナギさんのプロフィールはこちら。

1986年生まれ フォトグラファー 独学で写真を学び、
2009年より単身アフリカへ
以来アフリカをはじめとする世界中の少数民族を撮影、発表。
唯一無二の色彩と直感的な生き方が評価され
2017年日経ビジネス誌で「次代を創る100人」へ選出
また同年、講談社出版文化賞 写真賞を受賞

「Nagi Yoshida(ヨシダナギ)Official Web Site」より引用
 https://nagi-yoshida.com/

なんか分かんないけどすごい人だった。
妄想は撤回して、私の中だけにとどめておこう。

この本は、タイトルだけ読むとマイナスなイメージを持つかもしれない。
なのだが、読了後の気持ちは清々しく晴れやかで「ま、なんとかなるもんよね」と思えてくる、とっても楽観的な本だ。

もし、人間関係で悩んでいる方がいたら、そして本当はその関係の中に居たくないと思っている人がいたら、ナギさんはあなたに寄り添ってくれると方だと知ってもらいたい。




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