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新規事業のアイデア出しの方法3種
新規事業をやろうと決めた際に、まず話題になる事業アイデア。
新規事業のアイデアなんて簡単に浮かぶものではないが、やり方次第でヒントを見つけたり、着目すべきポイントを見出したりすることはできる。
これまで関わった新規事業や既存事業の成り立ちから、事業アイデアの考え方を検討する。
3種類の考え方
まず、新規事業のアイデアを出す際の始点はどこか。これは大きく分けると3種類に分類できると考える。
1.自己の体験、経験を起因とする経験的動機
2.他者や外部の影響、世の中の流れから起因する外発的動機
3.自己実現を起因とする内発的動機
3つとも、何かしらの影響を受けて事業で解決するという流れに変わりはないが、それぞれアイデアに思い至る起因要素が違う。
そして、起因要素が違うということはモチベーションのポイントも違う。モチベーションはどれだけ当事者意識を持てるかに依存するが、そのあたりは下記の記事で綴っているのでここでは省略する。
では、それぞれの考え方についてかみ砕いていく。
1.自己の体験、経験を起因とする経験的動機
経験的動機は、自身の経験や体験、感じたことなどをもとに「この要素なら」と導きだす考え方である。
自身の経験をもとにしているため、その領域には知見や想い入れがあり、「こうなればいいのに」「こうすればもっと良くなる」というアイデア発案の種を既に持っていることも多い。
例えば、インサイドセールスツールの「ベルフェイス」は、社長の中島さんがベルフェイスの前に立ち上げた「日本の社長.tv」を運営する株式会社ディーノシステム時代に、遠方の社長への営業活動を電話でおこなっていた経験から生まれている。
時期的には2010年前後頃の話なので、まだインサイドセールスという言葉自体も日本で使われていないタイミングだ。
私が初めて中島さんに会ったのは2017年頃だったと記憶している。その時に中島さんは、「当時は全国の会社にもっと効率的に営業活動ができる方法が無いかと考えた末、電話で先方に話したらOKしてくれる会社があった。その経験からこれはイケると感じた」と話してくれた。
自身の課題感とその解決策を1つのアイデアへ昇華させていく。これはユーザーの高い共感を得ることが多く、同じ課題で困っている人たちに支持される。
ユーザーの心情も理解しやすく、当事者意識も持ちやすい方法である。
2.他者や外部の影響、世の中の流れから起因する外発的動機
外発的動機は、外部からの刺激(評価や成果、報酬、罰則など)と、世の中の流れ(世の中の発展や災害などの事象による変化)などから、「こういうモノ・コトが必要だ」という考える方法である。
これは世の中を見る観察眼が必要となる。加えて、成功し続ける人材は時代を読んだり未来を想像したり、はたまた歴史に学んだりと、それなりの知識や知能、直観的な能力を合わせ持つ。
この外発的動機からアイデアを出す場合、リクルートで使われている「不を探す」方法がわかりやすい。
リクルートは求人誌の事業から始まり、現在では「まだ、ここにない、出会い」というミッションの元、ライフスタイル領域全般に事業を拡げています。
その中でよくキーワードとして聞く言葉が、「不の解消」である。これは、利用者が抱える「不満」「不安」「不便」「不足」などの、足らざる部分を解消することを意味する。
つまり、世の中において多くの人々が「足りない」と感じる部分を探し出し、必要な人達へ必要なものを繋ぎ合わせることで解消をはかっているのがリクルートなのである。
ビジネスのチャンスは大きく二つあると言われている。ひとつは「不足を充足させる部分」。もうひとつは「満たされたものをより昇華させる部分」。
これを探すためには、世の中を見つめ、人と話し、常に色々なことへアンテナを張っておく。その上で、人々の小さな声として出てくる「不」を広い集め、どうやって解決するかを考えることもビジネスアイデアを練りだす1つの方法である。
3.自己実現を起因とする内発的動機
内発的動機は、簡単に言えば「やりたいこと」である。当たり前だが、事業はビジネスである。ビジネスである以上、売上が立つ、利益が出るなどのビジネス的成果が必要となる。その為、ただやりたいことをやるだけでは成り立たない。
その為、やりたいことや自身が楽しいことを新規事業のアイデアとする場合、ビジネス要素とやりたいことのバランスが必要になる。
一点だけ気をつけてほしいのは、やりたいことはなにも楽しいことだけとは限らない。何かに問題意識があり、そのポイントについて「自分ならこうしたい」という想いも自身のモチベーションを高める内発的動機のひとつである。
「スープストックトーキョー」を仕掛けるスマイルズの遠山さんは、
「飲食業界をなんとかしたい、というような大きな目的ではなく、自分だったらこうするという個人的な思いから始まっています。もちろんスープは提供しますが、それ以前にあるべき“共感”をつくりたかったんです。スープを軸にして集まってきた仲間とのいい関係性。そしてそれが次に広がっていく。共感を得られる一番はじめの場所です」
と語っている。
経験的動機と近いが、大きく違うのは軸の置き所。経験的動機はあくまで「ここならいける」というビジネス観点を主軸におく。一方、内発的動機は「これをやりたい」という自身のモチベーションや自分がやる意義を主軸におく。
これは自身が当事者なので、とても強い想いと熱量が乗る。周囲の意見が反対であっても、押し切れるだけのパワーを持てる考え方である。
大切なのは「ユーザーの手元でどう扱われるのか」をイメージすること
先に挙げた3つのアイデアの考え方は、あくまで始点の考え方に過ぎない。アイデアには量と深さがあり、どちらが欠けてもいい事業は生まれない。
量はアイデアの数である。同じアイデアであったとしても、少し切り口を変えるだけで違うアイデアになる。そういった量をどれだけ出していけるかが最初に大事なポイントとなる。
深さは、ユーザーの具体的な利用シーンや使い方、その後の心境なども含めた思慮の深さである。
特に重要なのは深さで、この深さが足りないとアイデアがただの思いつきで終わる。こと新規事業のアイデアとは、事業化されてユーザーがかつてない体験をできることまでイメージできて、はじめてアイデアになるのである。
正直、新規事業は何かを世の中に出してみないと反応がわからないものである。しかし、出す前の想像段階でユーザーの驚きをイメージできないアイデアに、現実のユーザーがそれ以上の反応をしてくれるとは考えづらい。
まずは、自分の頭の中でもユーザーに驚いてもらえるようなイメージを作ってみることをオススメする。これまでとあまり体験が変わらなければ、ユーザーにとって驚きはない。今までと違う、今までより良い体験ができるから驚くのである。
アイデアの種を見つけるブレスト
アイデアは深さが必要だが、種はもっとライトなもので問題無い。
その種の見つけ方のひとつに「ブレスト」がある。
ただし、ただ思いついたことをみんなで話せばいいのではない。ブレストにはルールがあり、「テーマの設定」と「賞賛」が必要だ。
「テーマの設定」は何についてアイデアを出すのかを定めるものだが、「新規事業」などの広いテーマでは良いアイデアの種は出てこない。もっと絞り込み、例えば加工食品を提供する会社なら「食べる」をテーマにしてみる。
食べるを広げていくと色々な言葉が出てくる。「かじる」「味わう」「むさぼる」「箸が進む」「口をつける」「喰らう」など。
ここから連想し「映画を味わう」とか「本をむさぼるように読む」など、色んな解釈が生まれる。すると、例えば「映画を味わう料理シリーズ」という名目で劇中に出てくる料理を味わう、などのアイデアが出てくる。
つまり、加工食品を提供するからといって、食品に限って何かを考えなければいけないわけではない。
もうひとつの「賞賛」は、出てきた種を否定しないことである。
種はあくまで種である。芽が出て花が咲き、実ができるまではどんなものになるのかは誰も想像がつかない。つまり、種のうちから否定したところで何も生まれないのである。
種を出すタイミングは、あくまで種をたくさん出すことが重要である。たくさん出すためには、心理的安全性が必要となる。
人間は、好きの対極は無関心と言われている。つまり、反応がないことは苦痛なのだ。そして否定ももちろん人間の心を弱らせる要素である。この二つを場から取り除き、どんな種でも賞賛することで人の心は温まり、たくさんの種を生むことができる。
こうしたルールにのっとることで、種ができ、種をアイデアへと昇華し、新規事業のアイデアが生まれる。
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上記で生まれたアイデアが事業として進む過程にストーリーができていく。
新規事業には生きていく為にストーリーが必要である。このストーリーは下記で記した。
他にも新規事業について書いたものがあるので、よければご笑覧頂けると嬉しい
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