大悟三枚を拈来して少迷半枚をつくるなり
仏教に関するたぶんいちばん広まっている誤解は、「仏教はさとりを得るための教えである」というものでしょう。道元がこれを一刀両断にしてくれます。
近日大宋国禿子いはく、|近ごろ大宋国のハゲどもがこう言っている、
「悟道是本期」。|「めざすのは悟りだ」と。
かくのごとくいひて、いたづらに待悟す。|そう言ってムダに悟りのやってくるのを待っている。
しかあれども、仏祖の光明にてらされざるがごとし。|しかしこれでは仏の光に照らされたことがないのと同じだ。
ただ真善知識に参取すべきを、|ちゃんと道理を知っている人から学べばいいのに、
懶惰にして蹉過するなり。|なまけて道を踏み違えている。
(正法眼蔵第十「大悟」)
じゃ、仏教って何?
それを説明するために『正法眼蔵』75巻が書かれたわけですから、ここで一行で答えられるはずがない。はずがないんだけど、あえて外れてもいいから一行で言ってみよう。
仏教とは、世界をちがった角度から見せる方法である。
Buddhism is a way to make you see your world differently.
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