不必要な低脂質ご飯は危険 健康な子に脂質を制限してしまう3つの誤解
「脂質」は三大栄養素のひとつで、生きるために必要な栄養素です。
私たちヒトを含め、全ての動物は脂質なしには生きていけません。
犬猫もしかりです。
予防目的のためにと不必要に低脂質食にしたところで、「健康な犬猫」では単に健康被害を生みます。
そこで、健康な犬猫に低脂肪フードを選ぶ前に、なんのために脂質を制限するのかを明確にしましょう。
脂質制限の理由が
・ダイエット目的
・下痢嘔吐のときに
・膵炎予防
に分けて考察します。
<ダイエット目的>
低脂質フードは、低カロリーフードではないです。(混同しやすい)
たしかに、脂質を減らせば「カロリー密度」は下げやすくはなります。
しかし、カロリー密度は脂質の割合だけに左右されるわけではなく、「水分量」なども関係します。
ですから、脂質だけ減らせばよいとは一概に言えません。
カロリー密度を下げたいのであれば、ドライよりもウェット、ウェットよりも手作りにする方が簡単です。
(手作り食では水分含有量が多く、高脂質でも低カロリー密度にすることも可能)
現在、上市されている低脂質フードは、基本的に「高糖質」フードです。
低脂質にすると、脂質以外からカロリーを摂取させることになる
↓
タンパク質は高コストであり、フードの原価を上げる
↓
低脂質にするためには、高糖質にせざるを得ない
これがその理由です。
もしダイエットが目的で低脂質にするのであれば、高糖質にすることは得策ではありません。
なぜなら、血糖が急激に上昇した場合、インスリンを多量に分泌して体にグリコーゲンや中性脂肪としてストックしようとし、
その結果「太る」ことになるからです。
ですから、高糖質なご飯を食べると減量のさまたげになることがあります。
(太っている原因にもよりますので、これも一概には言えませんが)
ドライフードは炭水化物(糖質)が多く、
実際のところ、犬猫の肥満の原因は糖質過多がスタートになっている事例が多いです。
見落としがちではありますが、脂質だけではなく糖質の摂取に注意しましょう。
「高たんぱく質」に設計することが必要です。
(フードメーカーのいう「高たんぱく質」では、全然足りません)
<下痢嘔吐の時に>
酸化脂質を摂取すると、下痢の原因になります。
そして、ドライフードの脂質は、「必ず」酸化しています。
先述のとおり、脂質は生命維持に必要不可欠な栄養素ですが、酸化脂質であれば摂らないほうがマシです。
脂質が「多いから」下痢している、と勘違いされがちです。
しかし、実際には脂質の「質が悪い」ために下痢をしている事例が圧倒的に大多数を占めます。
このような理由から、実は低脂肪フードにするだけで一時的に下痢がおさまります。
(当然酸化はしているが、その酸化脂質の絶対量が減る。それが原因で下痢している子の場合)
しかし、低脂肪食でも脂質はゼロではありませんし、その脂質は酸化しています。
つまり、ネガティブ要素が減っただけであり、プラスはないです。
フードで低脂肪にしてもなにもいいことがなく、体は必要な脂質が枯渇して毛並みはバサバサ、皮膚は乾燥の一途をたどるでしょう。
<膵炎の予防に>
基本的に犬猫は、人間と比べても脂質の代謝が得意です。
脂質代謝異常(高脂血症)で膵炎になっている症例であれば、低脂肪にすることで一定のメリットはあります。
ところが、フードが常識の世界では健康な犬猫に対して
・高脂肪「食」で膵炎になる
・低脂肪食が膵炎の予防になる
と、明確なエビデンスなくいわれ、低脂肪がすすめられています。
(他の投稿で、ここは詳しく解説しています)