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#16【やってみよっ対話型鑑賞】どうしたの?生きるを支えるケアって?

オンラインで、絵画作品をおしゃべりしながら30分程度じっくりみていきます♪
作品情報は鑑賞の最後に紹介します。


メンバー

今日のファシリテーターはやわらかミュージアム共同主催りえちゃんが担当♪

鑑賞スタート!

じゃあ今日はこの絵を1分、2分ぐらい、まずはじっくりじっくりご覧ください。静かな時間です。どうぞ。

はーい!(じっくり見る)

どうでしょう大体2分ぐらい経ちましたけど、まだおひとりで見たい方いらっしゃいます?大丈夫ですか、うん、じゃちょっとお喋りしながら、この作品を見ていきたいと思いますけれども、気づいたことでも第一印象、感じたこと考えたこと何でも結構です、短くてオッケー、どうでしょう?

はいっ!

はいはい、遠藤さん

天使が運ばれてます!

天使!どれですか?

真ん中の白い羽の生えた女の子。

これですか?女の子、ふうん。天使っぽさと女の子っぽさはどの辺からですか?

どしたん?

天使っぽさはやっぱりその後ろの白い大きな羽っていうところと。あとはまあなんか、お洋服自体も白い…あとちょっと裾がすごい長いのかな、ずるずる引きずってる。不思議な…本来ならヒラヒラしてるような感じの部分が天使っぽいのと、女の子はまあ、ちょっと髪の毛が長いからなのかなって思いました。

うん。髪の毛が長いから女の子、天使の女の子。ふうん、どうしようかな聞いてみようかな。あのー例えば、この羽って言ってくれたんですけど、この裾の長いお洋服に飾りみたいに付いてる羽じゃなくて、この子自身の羽って思うから天使っぽいって思ったのかなと思うんですけど、その辺ってなんかあります?

ああ、その接続…、接地面みたいなところが結構しっかり繋ぎ目があるっていうよりかは延長線上に生えてるようにも見えるんやけど、でも若干コスプレ感も感じるのはなんでなんだろうっていうのはありますね笑

ああ、若干のコスプレ感ある天使っぽい、女の子っぽい子が運ばれている。運ばれてるっていうのは?

運ばれてるっていうのは、このなんて言ったらいいんですか、担架みたいな木の台みたいなのに乗っかって、男の子たちが運んでるように見えてます。

うんなるほど。ありがとうございます。担架みたいなもので運ばれてる天使っぽい女の子っぽい。コスプレ感少々あり。
他いかがですかじゃあ。はいStuart。

はい、僕も真ん中のやつが天使に見えてるんですけど、天使でもうなだれるんやな~という感じで。

あ、天使“でも”うなだれる?なんか色聞きたいですけど

はい、うなだれる天使ってあんまり見たことないやって風に思います

うなだれてる感ってどの辺ですか?

えっと~首というか顔が下向いてて背中が丸まってる姿勢がもうなんか、がっっっくりって感じ笑

がっくり、うなだれている。天使でも。天使は普通うなだれない?

天使は普通うなだれない、羽ばたいて輝いて、キラキラしてるもんだと思うんですけどね。

ふう~ん、ほほう。羽ばたいてって言うとやっぱ羽があって、

そうそうそう

はあん、なるほどね、キラキラ感ないみたい。がっくり来てる感じ?

そうですねえ、あと手に花を持ってる。花もこれ若干下向きで、これもがっかり感。花も下向いてるなあって。

しょぼんぬ

ああ花も下向いてるな。この天使を表すかのようにね、一緒になってがっくり。細かいとこも見ていただきました。
いかがでしょうか他は?はい、カワセミさん。

はい、じゃあこの天使が頭に白いハチマキというか布のようなものを巻きつけていて、天使ってこんなものいつもつけてるかな?これじゃあね日本の幽霊みたいになっちゃった笑

三角のやつ?

そうそうそう、だから最後例えば病気とかでね、それで天使になっちゃったのかなとかって、ちょっと思いました。

この布はケガの手当なんかなぁ

ああ~、なるほど。そうするとあれですかね、カワセミさんは天使っていうのが、亡くなって天使になるみたいな感じの存在として考えてる?

ええ、ええ、そんな風。

日本の幽霊って三角巾?みたいな、三角の布してますね、確かに笑 あの西洋の天使だと、普通は頭になにか巻いたりしてないんじゃないかと。じゃあこの白いのがその死だったりだとか病だったりみたいなものの現れなんじゃないかっていうこと?

じゃないかっていう。はい。

なるほどありがとうございます。この真ん中の白い人に関してもっと何か発見とかあります?

じゃあはい、もう1つ。羽のこちらに見えてる羽の、あのちょっと破れてるような感じになって、その担架の棒の下のところなんですけど、ただ単にそういう羽なのかもしれないんですけど、なんかこんなもんなのかなっていうか、ちょっとボロボロっていう感じがしないでもない。

痛っ

ああ、がっくり感みたいなのに合わせて、死だったりだとか病だったりとか、羽が破れて欠けてたり。さっき天使は羽ばたいていてみたいな話、Stuartが言ってくれましたけど、その象徴である羽がちょっと破れてるのかもみたいな。ほうほうなるほど、ありがとうございます。お、遠藤さん、手挙げてもらって。

うちもなんか、羽、破れてんな~って思ってたんやけど、ちょうどこう背中の上ら辺の羽の部分にもちょっと赤い線みたいなのが二本シャッシャッて見えてて、もしかして血なのかなって思って。ちょっとだから、傷ついている天使というか、もう飛べなくなってしまった天使みたいなものを予感させるなって思いました。

傷だらけやなぁ

うんなるほど、じゃ、この羽がもう傷ついてしまって、がっくりして飛べなくなっちゃった天使の女の子なのかな。ふんふん、ありがとうございます、どうでしょうかこの中央の人物以外でも、あ、きーぼー。

えっと2つあって。目隠ししてると思ってたんですけど、

あっこれですね

そう、なんか近づいたらうっすら目が見える。黒いのんが見えるから目隠しじゃないんだって思ったのと、あとね、えっとすごい軽そう。

軽そう?

うん、あの体重が。なんか木で担架のように運んでるけれど、木がしなってる感じもないし、男の子たちもすっごい一生懸命持ってる感じがないから、軽そうな風に見えます。

羽って軽いもんな

うんうん。なんかこの天使みたいな存在が軽いんじゃないかって、重力みたいなものでですかね、あんまり感じられない、体重のずっしり感みたいな感じられないっていうのと、目隠しかと思いきや確かにちょっと目が見えています。閉じてるのかな?開いてるのかな。うんなるほど。ありがとうございます。ちょっとこの木の棒だったりだとか、担架みたいなものだったりとか、男の子の方にも目を止めていただきましたけど、そういったところとかあるいは後ろの背景とか場所についてでもいかがです?どなたでも。あ、じゃあ、遠藤さん、Stuartでいきましょう。

はい!えっと男の子が2人、前方と後方にいて、少しこう身長の差があるんやけど、ちょっと顔付きが似てるような気がしていて、ちょっとハの字眉毛みたいなところだったり、あと口の形、こうチュンとした口の形?(一同笑)みたいなのも似てる気がして笑、なので兄弟なのかなっていう風に思えてきました。

おお、なるほど、この2人は兄弟なんじゃないか、なんかこう近しい繋がりがある2人なんじゃないかみたいな。顔の似た感じとかですかね、身長の差から兄弟なんじゃないか、うん。みなさんはいかがですか。じゃあStuartお待たせしました。

はい、やっぱこの2人の、えっと担架みたいなやつ持ってる人の、後ろ側の担架担いでる子、子どもっつか若者に見えるんですけど、こっちを見ててめっちゃ目が合うんですけど笑

うん。めっちゃ見てる。すごい本当見てる、超目が合う

じろり

目で訴えかけてきてて笑 何これ、もうなんだろうね、これ。セリフ…「なんだよ」とか「参ったな」とか「困ったぜ」みたいな。そうやな、だから不機嫌そうな感じで、めっちゃ目線でこっちに気持ちを伝えてきてる感じです。

ふうん、ふんふんふん、なるほど面白いですね、すごい目が合う確かに。なんか少し「困ったぜ」とか。「なんだよ」っていうのは、もうちょっと言うとどんな感じなんでしょうね?

なんでしょう、だからこの天使も僕、落ち込んでるみたいなって言ったんですけど、この彼も同じようなちょっと楽しくはない、何事かあったんですかね。天使が飛べなくなるような、そのことについてやっぱり、この子も同じような気持ちの状態にあんのかな。やっぱ落ち込んでるとか、気分が沈んでるというかなんかそんな感じ?

うんうん、この状況に至る前の何事か起こったものに対する、困惑だったり落ち込みだったりを訴えかけているように、こっちを見ている。

うんうん、そうですね。

うん、なるほどありがとうございます。他いかがですか、どんなことでも。はい、カワセミさん

えっと前の方の男の子が背が低くて、こっちの方が年が下かなと思うんですけど、ちゃんとした黒い帽子をかぶってて、で、黒できちんとした感じで、年の割には大人びた格好をしてるような、子どもなのにもう大人みたいなことをさせられてるみたいな、そんな感じがします。

老成したこども

ああ、はあはあはあ、あの、黒い服着ていると、子供なのに大人みたいなこと、させられてるみたいっていうのは?

まあ、子どもがこういう服、持ってるのかもしれないですけどこんなきちんとした服を着て、それでこの天使だか、あるいは死人だかを運ばないといけないっていうのは普通あまりない状況かなと思って。

うんうんうん、きちんとした服っていうのは、パブリックな服みたいな感じですか?

そうですねえ、黒で上下が揃ってるのかなあ?

なるほど、じゃあ大人みたいなことさせられてるっていうのは、この天使なのか幽霊なのかを運ばされてるっていうことですか?

うんそうですね。

じゃあ本来なら大人がやりそうなことを…

うん。子供がやらされているんじゃないか、やらざるを得ないみたいな。

どうでしょうか、今の面白いなと思ったんですけど。お、遠藤さん

はい、ちょっとぶっ飛んだ話になるかもしれへんやけど、なんかその今話してる、前方の男の子が全身黒づくめで、天使の女の子の方はやっぱり全身白っていうことの対比がやっぱりそこのコントラストがかなり強いなと思って。白い女の子の方が、天使という存在なのであれば、一方でその前方にいる男の子は、もしかしたら死神の化身とか、そういう人ならざるもの?ちょっと大人びているっていう感じも実は人間じゃない存在みたいな、悪魔の象徴なのか死の象徴なのか、そういうものなのかなって思い始めてきて。1番後ろにいる子は茶色のジャケットを着ているので、その中間色というかその茶色っていうところから、また言えることがあるのかなって。まだちょっとわかんないですけど、思い始めてきました。

おお、服の色から、こうシンボル的な感じなんじゃないか。天使とか死神、悪魔とか…、茶色のジャケットは何を表してるって思う?って聞こうと思ったら「まだわからんけど」って言われたので笑

笑。うん、もしかしたらこれは生きてる人間なのかもしれへんね。

う~ん、人間ね、死と天使と人間と。それで人間がこっちに何か訴えかけているみたいな。うんうん、どうですか?他。話聞いててとか。きーぼー、ありがとうございます。

僕ももう全然突拍子もないことを言うんですけど笑、これはあれなんですよ、この2人が天使を向こうの川に流しに運んでるんだと思うんです。

あ、これ川?

この後どうなるんやろ

向こうの、幅広い運河のようなところにそっと流してしまおうと。

うん、なんで流すんです?

え、生贄なのか、死んで行って弔うのか、なんででしょうね笑

川の方に向かっている感とか、川に行って何かするような感とかって、この絵のどっからとかあります?

この茶色い草が枯れてるかのようなところを突っ切っても行けるんだけれども、多分ここから流したい流しやすいみたいなところがあるんじゃないですかね?

うーん流しやすい場所…あの灯篭流しみたいなやつかなあ?イメージされてるの。

灯篭ではない笑

灯篭ではない、なんだろう。そういうのってなんて言うんだろう、こんな話でいいのかな笑 あのね、亡くなって例えば鳥に食べてもらうみたいな、鳥葬ってみたいな感じですか?鳥葬の川バージョンみたいな感じですか?

うんうんうん

ああ、そうかもしれん。

そうかもしれん。うん、ここの状況に至る何事かが起こったのかもみたいな話をStuartがしてくれたんですけど、この先に何かがどんなことが起こるのかみたいな話のとこでしてくれたんですかね。
どうですか、流しそうですか?皆さん他どうでしょう。この子たちの歩く目的みたいな話なのかな。遠藤さんお願いします。

はい、私はちょっと川の方までには行くようには見えないというか笑、このまま前進してるんやけど、前進しなさそうにも見えてて、この場にこの今一瞬を切り取った感じ。このまま動かないんじゃないだろうかっていうような静止感は感じてて。なので奥の川もそんなに流れがあんまり感じられないというか、すごく穏やかな湖みたいなぐらい、ゆらぎもなさそうな感じで。で、その奥の山々とかもちょっと霞みがかってたりとかして、ぼや~っとしてたり。あとはちょっと天気的な話とか時刻的な話でいくと、夜じゃなくて朝方とか早朝とか、うーん終わりっていうよりかは少しこう始まりも予感させるような感じの時刻っていう気もしてて。だから、ただただ弔って流してさようならとかじゃなくって、もうちょっと違う感じがしてます。

不確かで曖昧な背景

うん一瞬を切り取った静止感。この前進はしているんだけれども、このまま留まっていそうな静止感みたいなのはどこからへんで感じますか?

その足元が浮いてないんよね。その黒い靴が全部こうペタって地面についている感じがしていて、歩いている風に見せかけてすごく止まってる感じがしてます。

止まってる?

うーん、なるほど。今ちょっとふと思ったんだけど、2人の安定感みたいなものとこの、天使が軽そうみたいな話出ましたけど、そのへんの対比みたいなのもあるのかな。明け方みたい、終わり、さようならじゃなくて、そこからまた何か始まるみたいな予感もすると。うんなるほど、いかがでしょうか。終わりのシーンなんじゃないか、これから終わりを迎えるんじゃないか、別れを迎えるんじゃないかって話の一方で、そのようにも見えないみたいな話が出てましたけど。さらなる発見、きーぼーお願いします。

自分の物語を進めちゃいますけれども(一同笑) 、この真ん中の天使は、この2人の兄弟とか友達なのかなっていう風にも見えてきて。で、羽を隠したら、もう病気の子にしか見えないんですよね。

おお、こう手で隠したら。

頭の白い布も、天使の白さとも一緒だけれども、病気の子を看護するための布っぽくも見えるなと思って。で、亡くなってしまってるのかなっていう気がする。最初の方にも話がちょっとあったようにも思うんですけど。だから天使のような子を亡くして、運びたくないけれども運んでいってて、川に流すかは分からないけれども…なんかでも川があるし、大事に流しそうな気もする。

うーん、男の子2人があの兄弟なんじゃないかみたいな話も出てましたけど、この真ん中の天使なのか女の子っぽい子も、こう男の子2人と心情的に親しい存在ってことですかね、うん。この子がもうすでに亡くなってるいうのは、どこら辺からですか?

天使であるっていうのと、うなだれてるのと、頭の病気っぽい布と、あと、もしかしたら冬っぽくも見えてるんですけど、草はすごい枯れてるように見えるんですよね、うん。生命感がない感じ、その辺からも感じてるのかもしれない。

心荒ませる乾いた大地

うん、ふんふんなるほど、ありがとうございます。さきほど、このシーンが死とか天使とか人間とかの何かシンボルとして描かれているシーンじゃないかって話もあったんですけど、きーぼーの話は、現実に即したワンシーンなんじゃないか。この羽があれですかね、実際に存在しているわけではないけれども死を連想させるものとして「天使になってしまった」みたいな。カワセミさんも亡くなった人が天使になるっていう、天使をそういう存在として話してくれたと思うんですけども、死を連想させるアイテムっていうとちょっと軽いけど、そういうものとして羽が描かれてる、亡くなって天使になってしまったこの子を、友達なのか兄弟なのか、運んでいるところなんじゃないかって現実に即したワンシーンなんじゃないかみたいな見方ですかね。うん、遠藤さん。

いやあ、私も妹なのか、友達なのかが死んだ感みたいなのは最初から感じてるんやけど、一方でやっぱり、しっかり担架を手で握っているので、この白い天使は死んではいないんじゃないかなって、あと多分死んでるんやったら、もっとぐったりどころじゃない、もっとこう全身力が抜けて運べないし重くなる。そう思うから死っていうよりかは傷…、痛みとか、傷つけられたことによる絶望とかの比喩みたいなもっともっと抽象的なものなのかなっていう風にも感じられて、それがちょっと何なのかはまだわかんないんですけど…。で、さっき朝、始まりっていう話もしたんやけど、草が枯れてる一方で、同じようにこの白い花、手に持ってる白い花みたいな、似た花が生えてて、健気にすごく一生懸命生えてるなっていう印象も受けるので、死だけじゃなくってそういう回復とか、あるいは小さな命が、しっかり希望的なもの、もがきながらも生きていくみたいなことだったり、そういう一面も感じられるかなって見えてきてます。

冬の後には必ず春が来る

ああ、ありがとうございます。なんとなく話を聞いていて感じたのが身体的な病とか傷ついてるとか死とかそういったものを、この天使に感じてるような感じ、飛べなくなったみたいな話が最初から出てたと思うんですけど、今の遠藤さん話聞いてて、こう心理的な傷というか、「私もう飛べなくなっちゃった」そんなような心の傷を負っているようにも見える、その回復に至る道の途中なのかもって、見えてきました。ねえ、カワセミさん、お待たせしました。

あの、この天使の髪の毛がすごく繊細に書き込まれていて、この真ん中の女の子に対する繊細な気持ちっていうか、髪の毛撫で撫でしてあげたいような、そういうような気持ちが込められてるのかなと思うんですけど。あと男の子2人の足が動いてないって、止まってるっていうのはやっぱりこの場に留めておきたいっていう、これ以上動かしたくないっていうような、そういうことはあっても…やっぱりどうなんでしょうね、この後ろにねこう白い花がね、また大地に生えて、新しい芽生えなのかもしれないし、あと遠くの川の方は明るさを感じられるので、光っていうのも少し見えてきてるのかなと思いますけど…

おおなるほど、ありがとうございます。いわゆる天使がきらきら羽ばたいているものじゃなくて、傷ついてるとか運ばれている、庇護するべきものとかお世話するべきものみたいな感じで繊細に描かれてるのかな。枯れたこの場所だったり、それぞれの洋服の色だったり、なにかを訴えかけてくる表情だったりからも、やっぱり死とか傷のようなものを感じるけれども、なんとなく一方で明るさも感じる。そこにこそ芽生える明るさってことかな。この場所に留めたいみたいなのも興味深いですね。…何を留めたいんだろう、カワセミさん、亡くなってしまっているってことなのかな。

そうですね、運びたくないみたいなね、そういう気持ちがちょっとはあるかなぁって。

うーん、ちょっと個人的な私の感覚ですけど、日本でもね、棺を閉める時、昔は釘を打ったりする、その時がとっても辛いっていう時はあると思うんですけど、この一瞬を、この肉体を留めていたいってこともあるのかな。
はーい、ということで、じゃあこの作品の鑑賞はここまでにしたいと思います!

はい、お疲れ様でした!ありがとうございました!

今回鑑賞した作品

ヒューゴ・シンべリ『傷ついた天使』(1903年) 油彩 127×154㎝
アテネウム美術館

アフタートーク

じゃあ雑談タイム。はーい、いかがでしたか。

僕は最初の方で遠藤さんがコスプレ感もって言ったの、すごい気になって。なんやろ、学芸会かなんかで天使の役をやってた子が、担架で担がれてるくらいだから自分で歩けない、足捻挫したとか。3人とも同世代ぐらいに見えるんで、学校の行事とか文化祭とかで女の子が怪我して運んでるぐらいの感じにも見えるなとは思ったんですけど。

ちなみにコスプレ感とか学芸会みたいなのって、どこら辺から感じるんですか?

うんまあ天使にしては生々しいっていうか、人っぽい。そう最後にカワセミさんが言ってる女の子の髪とか、めっちゃリアルに描いてあるけどなんか生々しいなって。あと、花をぎゅっと握ってるのも、この子ついさっきまでこの花持ってて、自分でこの花摘んだんやろなとか。空想のものというより、実際地面に花が咲いてるし。空想とか何かの象徴にも見えるけど、一方でやっぱりすごいリアルな感じがするなって。

うん、私があんまり学芸会感あんまり感じてないっていうのがあるのかもしれない。どっちかっていうとやっぱり悲壮感のほうが感じるから。今日は死とか病みたいみたいなこととかを私たちは感じていたと思うんだけど、この3人にとっては、それに匹敵するぐらいの大きなものとして受け止めてるんじゃないかとは思う。

うんうん、それはそう、落ち込み方が半端じゃない笑

すごいことがあったんやろうな。本人たちにとっては。

うん、結構なことが起こった感じ。私はそれこそ天使が飛べなくなったぐらいのことが起こったようには見える、この子たちにとっては。

3人とも喋らない感じでずっと歩いてんの、想像するとやばいよな、うわ~ん!涙 とかっていう感情でもなく、黙々と黙って歩いてるの…深刻やなあ。

…うん、でもそうするとあれなのかもね、こっち見てるこの3人目の男の子の目が、意味を持ってくるというか。目が合っている私たちが大人で、この子はわたしたち大人に一体どういうことを訴えかけてるのか、あるいはこうシャットアウトしてるのか、その目で。そこら辺がちょっと興味湧いてくる。これで目あったら私どうしよう、みたいな感じするもん。この場面に遭遇したら、えっとどうしようって。

でもこの子が原因で、天使の子が怪我したかとか、申し訳なさみたいなのも感じる。ちょっと罪の意識とか。すごい微妙ないろんな表情に見える。

あ~~~~なるほど。

でも、ごめんなさいって気持ちにはなるな。

それはどういうこと?

え、すごい「申し訳ございませんでした」って言いたくなる、この男の子に見られて。私は「申し訳ございませんでした」って言いそう笑

責められてる感じの目?

目の前でこうやって苦しんでたり、落ち込んでたり痛みを抱えている人に対して何も自分ができない自信があるから、そこに対して罪悪感を感じてしまうのかも。「助けましょうか?!」とか「大丈夫ですか?!」って駆け寄れへん感じ、すごいあるやん笑

「大丈夫ですか?」って聞いたら「大丈夫なわけないやろ」っていうね笑

そういう顔よ笑 結構なことが起こった感じはあるからね。

うん、でもそうだな前の2人は完全に横向いてるから、もう完全シャットダウンしてて、3番目の子だけはこっち向いてるから、何かしか声かけられるかもと思えるよな。

うん。でもわかんない、そう思うと「見てんじゃねえよ」かもしれないし。むずい顔だな、これは。

あ~~~推し量るの難しい。

何もできない感みたいなのはありますね。それこそ大丈夫ですか?とか何かお手伝いしますか?とか一緒に運びましょうか?みたいな、それをやったとしても、この子達の本当の助けにはならない。行動じゃ彼らは変わらない感じがしますね。

だね、そうだね。確かに。他者と生きていくっていう中でもこうやって助けられないというか、手を差し伸べたとて意味がないみたいな、そういうことってあるもんなあ、難しい線引やな。

ううむ…

…でも傷ついている子どもって、大人よりすごく大きな痛みを感じていたりもするし、周りの大人がもう何もできないみたいな状態の時ってあると思うんだけど、助けになれないって時も。最終的にはやっぱり、その子自身が、こう自ら癒されていったりだとか回復していったりだとかっていうことしか多分できないんだなって思うこととかも実際にあったりしたので、だからそれこそ大人としてできること、あのね、嘘くさいかもしれないけど、愛を注ぐというか、子ども自身に(あれは愛だった)って思い返してもらえるような可能性のありそうなことをやり続けるしかできないなって。この子の人生だからなあって思うときは…ありますね。

お~~~~

深いですねぇ。天使って神話のクピドの方だと愛の擬人化だったりもするけど、これはキリスト教の方の天使なんかな?どっちなんやろ?愛が傷ついてるんやったら、愛が足りてなくてこうなってるんやったら愛を注ぐってどうしたらいいんやろ。難しいなって。

う~ん、よし。おしまい!考え続けよ!

笑 おつかれさまでした~!

相手の成長、回復を信じることがケアの1つなのかも。
「関わるケア」ではなく「そばにいるだけのケア」が必要な時もあるよね

おしらせ

りえちゃんたちが主催する『やわらかミュージアム』からのおしらせ

対話型鑑賞に参加してみたい!という方に、Peatixにてオンラインイベント公開中!

《10月の予定》
◆10月18日(金)20:30~ はじめての対話型鑑賞(初参加の方向け)
◆10月25日(金)20:30~ じっくり対話型鑑賞(対話型鑑賞に参加したことのある方向け)
https://yawaraka-museum.peatix.com

以降も毎月公開しますので、Peatixの『やわらかミュージアム』のグループをフォローしてお気持ちとタイミングの合うときに、ご一緒に絵をみることを楽しみにしています。

おわり

最後までお読みいただきありがとうございました!

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次回は10月18日(金)ごろにUP予定です。またぜひ読みにいらしてください♡

▼どこっぷへのお問い合わせ、ご依頼はこちら◎
Email:docopinfo@gmail.com


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