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珠洲原発(計画凍結)と志賀原発 - 震災時には避難経路も避難予定先も被災、屋内退避も困難(複合災害発生時には避難計画は絵に描いた餅)能登半島地震

令和3年度(第62回)石川県防災総合訓練
北陸中日新聞 2013年8月26日

志賀原発から30キロ圏内の8市町、防災計画策定へ

2012年9月5日

石川県は4日、北陸電力志賀原子力発電所(石川県志賀町)から30キロメートル圏内の市町が地域防災計画の原子力防災計画編を作成するのに関連し、関係市町連絡会議を開いた。圏内8市町のうち原発立地町の志賀町と10キロ圏内の七尾市はすでに策定済み。30キロ圏内の6市町は両市町の計画をモデルに暫定版を作成する。

30キロ圏に一部が入る富山県氷見市や富山県の担当者も参加した。国などが原子力防災計画の見直し作業を完了した段階で、6市町は正式な計画を策定する。志賀町、七尾市は既存の計画を改定する方針。

地域防災計画の原子力計画編は原発から放射性物質が放出される災害などに対応し、住民の避難方法や救急体制などについてまとめた内容。石川県は原子力計画編の見直し作業に着手。志賀原発から放射性物質が放出されたことを前提に、30キロ圏内約15万人の避難先の市町の割り振りなどを決めた。同会議は国の原子力防災の計画変更に連動して、県や市町が迅速に計画を変えられるようにするのが狙い。

日本経済新聞 2012年9月5日

自然災害との複合災害により道路等が通行不能となった場合に備え、避難経路をあらかじめ複数設定したり、被災した道路等の復旧や代替経路などの対策を用意したりしています。

万が一への備えを普段から~原子力防災の取り組み

元日に発生した地震(マグニチュード7.6・震源の深さ16 km、地震のエネルギーの大きさは阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震(マグニチュード7.3・震源の深さ16 km)の3倍弱)と津波が長年に渡って休止している志賀原発に重大な被害を及ぼすことはありませんでしたが、原子力発電所で重大事故が発生した原因が自然災害(特に地震)である場合、避難計画等は絵に描いた餅に過ぎない(避難経路や避難予定先も被災し、屋内退避も困難になる)ことが、東日本大震災以来、十数年ぶりに露見しました。詳しくは後述します。

以前の記事『能登地震「珠洲原発」20年ほど前に計画凍結』でもふれましたが、元日に発生した能登半島地震の震源(全長150kmに渡って断層が動き始めた地点)に近い珠洲市には、高屋町(たかやまち)に1基(135万kW)と三崎町(みさきまち)寺家(じけ)に1基(135万kW)、原子力発電所を建設する計画がありました。(関西電力が高屋地区、中部電力が寺家地区での立地を計画し、北陸電力が調整役を務める、3社による推進体制。)

計画概要

所 在
・高屋地点:石川県珠洲市高屋町
・寺家地点:石川県珠洲市三崎町寺家

開発形態 三社(中部電力、北陸電力、関西電力)共同開発

開発規模 (平成15年度供給計画)135万kW級 ×2基[平成26年度運転開始]
※ 高屋・寺家両地点での計画

紆余曲折を経て、計画が浮上してから28年後の2003年に白紙撤回されましたが、反対運動を圧し潰して発電所が建設され稼働していれば、大きな事故に繋がったかもしれません。

<卓上四季>幻の珠洲原発

2024年1月9日

北電泊原発1号機が営業運転を開始したのは1989年6月22日。その頃、石川県珠洲市役所の会議室では1カ月にわたる座り込みが続いていた。関西電力などが計画する珠洲原発に反対する住民である。

当時の本紙記事によると、チェルノブイリ原発事故による食品汚染などから反対運動が高まった。53歳の農家女性が「原発で過疎は解決できない。孫の命を危険にさらすようなものを歓迎できるわけがない」と語っている。

計画はその後、推進派が当選した市長選が不正投票で無効になるなど曲折を経て、2003年に事実上断念された。

能登半島地震から1週間余。もし珠洲が原発のまちとなり、過酷事故が起きていたらと思うとぞっとする。道路が寸断され、救出や支援物資の搬送もままならぬ状況で半島の先端からの広域避難など、まさに絵に描いた餅だ。

同じ石川県の志賀原発は変圧器で配管が破損して油が漏れ、外部電源の一部が使えなくなった。使用済み核燃料プールの水が約421リットルあふれた。「放射能漏れはなかった」で済ませてはならない。

地震の原因として推測される広範囲にわたる断層破壊は専門家の想定を超えていた可能性があろう。地震の巣といわれるこの日本列島で次の揺れがいつ、どのくらいの規模でどこを襲うのかは誰も予測できない。原発の一番の安全対策は速やかに脱原発へと踏み出すこと。それに尽きる。

2024・1・9

能登半島沖で昨年5月に発生した地震では上下の動き(隆起)も水平の動き(ずれ)も数センチメートル~数十センチメートルでしたが

元日に発生した地震では数メートルに達しました。

適切な耐震設計・施工・保守がなされていれば原子炉格納容器等に致命的な損傷が生じることはなかったかもしれませんが

原子力発電所と一般建築物の揺れの差

無数の配管や配線が上下・左右に数メートルの変動に耐えることができたか否かはわかりません。20年前に計画を撤回した電力会社3社(中部電力、北陸電力、関西電力)の経営陣に感謝するべきでしょうか...

近年に能登半島で発生した主な地震の震源
1000年に一度の地震のはずが【石川・能登半島地震】

さて、核兵器禁止条約を批准する予定は全くない日本ですが

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/2018/html/chapter3_01_04.html#T012

昨年ドバイで開かれた国連気候変動枠組条約 第28回 締約国会議 COP28The 28th Conference of the Parties to the UN Framework Convention on Climate Change)では他の23ヶ国

United States, Armenia, Bulgaria, Canada, Croatia, Czech Republic, Finland, France, Ghana, Hungary, Jamaica, Japan, Republic of Korea, Moldova, Mongolia, Morocco, Netherlands, Poland, Romania, Slovakia, Slovenia, Sweden, Ukraine, United Arab Emirates, and United Kingdom

と並んでアメリカ(の原子力ロビー)が主導した原子力エネルギーの容量を2050年までに3倍にするという宣言に署名しました。(当該宣言はCOP28で採択された文書ではありません。)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/pagew_000001_00076.html

尚、(原発政策とは全く関係ありませんが)第二次世界大戦で日本の同盟国であったドイツとイタリアは署名していません。

国内のマスメディアも保守系を中心に日立、三菱重工、他の関連企業と一緒に諸手を挙げて原子力3倍化宣言を歓迎しています。

また、残念ながら、原子力事業に命運を賭けて躓いた東芝は蚊帳の外です。

パーティー券に関わる一連の騒動や捜査で経済産業大臣は交代しましたが

国内で原子力発電所の再稼働および(既存発電所の敷地内における)新設と

海外で原子力発電所の建設を推進するために必要なファイナンス、設計・施工、プラントの輸出等を志向する岸田政権の計画に揺るぎはないようです。

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/anzenhosho2023_gijyutsukeisho.html

IAEAが名前を挙げた候補国と今回の宣言に参加した国で原発未導入の国の国家歳出額と近年の原発導入コストを示した。大半の国で原発の導入コストが国家歳出額を上回っていることがわかる。

海外はさておき、国内については、万一、原子力発電所が百年~千年に一度の自然災害や人的災害(軍事攻撃、テロ破壊活動、等)に見舞われた際に、被害者や犠牲者に対して金銭的に完璧な補償を行うことができるよう、国策民営を止めて、全ての原子力発電所を国有化・国営化するべきかもしれません。

福島第一原子力発電所の廃炉に向けたロードマップ - プロジェクト概要|東京電力ホールディングス株式会社

東日本大震災で福島第一原子力発電所が壊れた後の処理や対応にかかる膨大な費用と年月は一企業(有限責任である株式会社、特に上場企業)の能力を遥かに超えていた・超えていることは明白であり、国が原子力発電所を運営する方が一般庶民は枕を高くして眠ることができそうです。

【そもそも解説】志賀原発とは 敷地内に断層、臨界事故巡り改ざんも
富来川南岸断層とみられる道路のずれ(石川県志賀町)
富来川南岸断層の活動によるものとみられる割れ目(石川県志賀町)

さて、羽咋郡(はくいぐん)志賀町(しかまち)の沿岸部に所在する志賀原発は、今回は、ほぼ無傷でしたが、原子力発電所で重大事故が発生した原因が自然災害(特に地震)である場合、避難計画等は絵に描いた餅に過ぎない(避難経路や避難予定先も被災し、屋内退避も困難になる)ことが露見しました。東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故から十数年が経ちましたが、複合災害への対処は困難を極めることをいま一度思い起こす必要がありそうです。

いろいろあって、志賀原子力発電所では十数年前から1号機も2号機も稼働していませんでしたが、震源が発電所から18kmしか離れていなかった2007年3月25日に発生した能登半島地震(マグニチュード6.9・震源の深さ11 km)とは異なり

能登半島地震を踏まえた 志賀原子力発電所の耐震安全性確認に係る報告について
平成19年4月19日 北陸電力株式会社

元日に長さ150kmに渡って動いた断層(地震の規模はマグニチュード7.6・震源の深さ16 km)(マグニチュード7.6の地震のエネルギーの大きさはマグニチュード6.9の地震の11倍強)が発電所から30km以上離れていたことは不幸中の幸いであったと思います。

志賀原発の一部、想定超す揺れ 能登地震で規制庁
2024年1月11日 日本経済新聞

然しながら、幸運に恵まれたわけではなく全て想定内であった(原発の再稼働に影響はない)と原子力規制委員会は考えているようです。

地震・津波・火山活動等は地球の自然な営みの一部ですが、時として日常感覚を超えた大災害を発生させます。原子力のような大きなエネルギーを手にした人類は、正しい科学的認識をもってこれらに立ち向かう必要があります。東京電力福島第一原子力発電所の重大事故を繰り返さないために、科学者の一人として原子力規制に尽力します。

(石渡明)委員から一言

原子力規制委員会の委員各位のお考えが正しいことを祈ります。

https://cnic.jp/46777


「SPEEDIのデータを出すか出さないか、なぜ国やマスコミに判断できるのか。パニックになるからというが、私たちは自分達の暮らす場所に放射性物質が来るかもという情報すら知らされずパニックになる権利さえ奪われたんだ。



2024年(令和6年)1月1日の能登半島地震(M 7.6)について、各地で観測された津波波形のインバージョンによって、波源を推定した。日本海地震・津波プロジェクトで提案された断層モデル(NT2~NT6, NT8,NT9)を津波波源として想定したが、NT6断層については位置と長さを若干変更した(図1)。

津波波源となったのは、能登半島北側のNT4, NT5, NT6, NT8であったと考えられる。これらの北東側に位置する北西傾斜の活断層(NT2, NT3)はほとんどすべっていない。これらの活断層周辺では、1月9日のM 6.1などの余震が発生しており、さらに大きなM7クラスの地震が発生すると、佐渡島を含む新潟県沿岸で3m程度の津波が予想されている(図4)ことから、注意が必要である。

図1
図4

福井では1948年にマグニチュード7.1、当時最大震度6の「福井地震」があった。震源地は福井北部の平野で3,700人余りが死亡した。

福井市では戦後復興期で建物の耐震性が低く、8割近くが全壊したとされる。ただその後の70年余りにわたり、この規模の地震は発生していない。




原子力規制委員会 - 実用発電用原子炉に係る新規制基準の考え方について
平成28年6月29日策定
平成28年8月24日改訂
平成29年11月8日改訂
平成30年12月19日改訂
令和4年12月14日改訂

§4 4-1 電源確保対策

4-1-3 外部電源系が耐震設計上の重要度分類においてCクラスに分類されているのは合理的か

1 耐震重要度分類の考え方について

設置許可基準規則4条2項に基づき、設計基準対象施設が耐えるべき地震力は、地震の発生によって生じるおそれがある設計基準対象施設の安全機能の喪失に起因する放射線による公衆への影響の程度に応じて算定しなければならないとされており、設置許可基準規則の解釈別記2によれば、設計基準対象施設は、それぞれの耐震重要度に応じて、Sクラス、Bクラス、Cクラスに分類される。

上記分類において、Sクラスは、地震により発生するおそれがある事象に対して、原子炉を停止し、炉心を冷却するために必要な機能を持つ施設、自ら放射性物質を内蔵している施設、当該施設に直接関係しておりその機能喪失により放射性物質を外部に拡散する可能性のある施設、これらの施設の機能喪失による事故に至った場合の影響を緩和し、放射線による公衆への影響を軽減するために必要な機能を持つ施設及びこれらの重要な安全機能を支援するために必要となる施設、並びに地震に伴って発生するおそれがある津波による安全機能の喪失を防止するために必要となる施設であって、その影響が大きいものをいう。またBクラスは、安全機能を有する施設のうち、機能喪失した場合の影響がSクラス施設と比べ小さい施設をいう。Cクラスは、Sクラスに属する施設及びBクラスに属する施設以外の一般産業施設又は公共施設と同等の安全性が要求される施設をいう。

2 外部電源系の耐震重要度について

外部電源系による電力供給は、遠く離れた発電所等から電線路等を経由して供給されるものであるが、長大な電線路や経由する変電所全てについて高い信頼性を確保することは不可能であり、また、電力系統の運用の状況によりその信頼性が影響を受け、原子力発電所側からは管理できず、さらには発電所外の電線路等は発電用原子炉施設の設備ではないことから、事故発生時は、外部電源系による電力供給は期待すべきではない。

以上により、耐震重要度分類の考え方に従えば、外部電源系のうち発電所内にある開閉所等の設備は非常用電源設備ではないため、Sクラスに属する施設及びBクラスに属する施設以外の一般産業施設または公共施設と同等の安全性が要求される施設にあたりCクラスに分類し、外部電源系のうち発電所外にある電線路等は、耐震重要度分類の対象外であることは、合理的である。

なお、事故発生時には、非常用電源設備として、非常用ディーゼル発電機から電力の供給を行う設計となっており、非常用ディーゼル発電機はSクラスに分類されている。

※ 原子力発電所へ外部から電源を供給する電線路の鉄塔が倒れようと、開閉器、変圧器、他の受電設備が壊れようと、原子力発電所の安全性について問題はないようです。






http://www.asahi.com/special/070325/TKY200704250296.html

「釣りバカ」コンビ、風評被害払拭に一役 能登半島地震

2007年 4月26日 8時1分

能登半島の観光地が地震被害から立ち直ったことのPRに、俳優の西田敏行さんと三国連太郎さんが一役買うことになった。新聞やラジオの広告で「元気宣言、能登。」を宣伝する。

昨夏公開された、2人の出演する人気映画「釣りバカ日誌」シリーズ第19作の舞台が能登半島だったことから石川県が協力を依頼したところ、快諾を得た。

4月25日で地震から1カ月。温泉や観光施設はほぼ復旧したが、客足は戻っていない。県の担当者は「ハマちゃん、スーさんの名コンビで、『大漁』の観光客をつり上げて」。



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