あたしの学びなおし
先週、政府・民・メディアの話をしたよね。
政府はとことん腐敗し、民は思考停止してて、メディアは役割を放棄してるって話よ。
「世界の普通から」さんのアカウントを使わせてもらったから、
「おまえ誰だよ?」って思われたかも。
そういえば自己紹介してなかったわね。
【名前】ゆう
【性別】女
【年齢】20代
【職業】学生
あたしは、大学の教養学部で “学びなおし” をしてるの。
履修科目は、社会思想史、文化人類学、言語学とか。
なんでそんな役に立たなそうな科目ばかり選んでるかって?
うーん、なんでだろうね(笑)
実用的な学問って、イマドキの問題に何も答えてくれない気がしたんだ。
ならいっそのこと、もっとワケのわかんないこと学んじゃおう、みたいな?
でね、そこで学んだことをもとに、今の世の中はどうなっちゃってるのか、とらえなおしてみようかな、なーんて思ってね。
前回は、日本って民主主義が向いてなくない? と言ったつもりなんだけど、その理由についていろんな人がいろんなことを言ってきたみたいね。それらを一言でまとめてしまうと、「民が成熟してないからだ」ってことらしい。
そこで、あたしは日本史をおさらいしてみた。
縄文人とか日本書紀とか、そのへんは割愛させていただくとして、朝廷政治あたりから振り返ってみようよ。
天皇家がいて、公家方がいて、貴族がいたんだよね。
この人たち、とんでもない教養人集団なの。学問、文芸、礼法、思想など、当時の教養をひととおり身につけた知識階級ね。彼らが政治技術にも長けていたかどうかはアヤしいけど、民衆との間にとてつもない知力・情報の格差があったことは間違いないわね。
ところで、日本は軍事政権の歴史が意外と長いんだよね。
平安末期から明治維新まで、700年も軍事政権が続いたことになる。
でもね、よその国々の軍事政権とは決定的な違いがあるの。
それはなんだと思う?
教養の差だ、とあたしは思う。
日本の武家はインテリなのよ。
武家の子弟は、読み書き・歴史・四書五経なんかをみっちり教育されたの。
中学とかで日本史の授業聞いてて、ヘンだと思わなかった?
カタナ振り回してるような連中が、なんで法律とか作れるんだよ?ってさ。
日本の武士って、戦闘集団である以上に、知識階級だったんだね。
日本というのは、公家政治でも武家政治でも、常にその時代の最高峰にいる教養人たちが治めてきた国だと思うわけ。
すると、民衆はどうなる?
成熟する必要なんかないよね。
だって、御上にぜーんぶ任せておくのが一番だもの。
その御上は、軍事政権ですらインテリ集団で、ジェノサイドとか民衆殺戮なんてやったことがないの。
世界史の先生がよく言うんだけど、民を殺すのは、外からの侵略者よりも、自国の政権なんだって。でも、日本にはそれがなかった。
ギロチンにかけられる王様も、民衆を盾にして逃げ出す皇帝も、日本の歴史にはいない。歴史的にここまで権力者がクリーンな国って日本だけなのか!
目から鱗滝左近次だわよ。
教養と良心を兼ね備えた少数(エリート)が、無知な多数(民衆)を正しい方向に導いていくのが、日本が千年以上も続けてきたカタチだし、この国に一番合ったやり方なんだとあたしは思った。
そのカタチは、いつ壊れてしまったの?
もうみなさん答えはわかってると思うんだけど、1945年の敗戦なのよね。
ごめんね。新しさも意外性もない答えで。
だって、こんなに明明白白なターニングポイントってないんだもん。
敗戦で致命的だったのは、この 2つだった。
✅ 民主化を強制的に進められた
✅ エリート教育を封じられた
この 2つが最悪最凶の組み合わせだってこと、わかるでしょ?
エリートが民衆を導いてきた国から、エリートを去勢して、代わりに無知な民衆に国を導かせるってことだから。最も強力な弱体化政策よね。
そう、まさに GHQ の狙いは、日本の地アタマを殺ぐことだったわけ。
こんなことを言った人がいた。
旧制の ”一高” は現在の東京大学(教養課程)の前身なんだけど、エリートの養成を目的に作られた学校だった。だからその卒業生は単に学力が高いだけでなく、エリートとしての気概に満ちていたそうよ。
かたや、東京大学はただの偏差値が高いだけの学校よね。
今の東大生にはエリートの意味するところすらわかってないでしょうね。
学校制度を改悪して一高を東大に変えたのも、GHQの策略だったんだって。
さもアリナミンV でしょ?
敗戦で日本と同じような弱体化政策を強いられた国はどこでしょう?
ってのは簡単すぎるクイズだったかしら。
そう。答えはドイツ。
やっぱり強制的な民主化と、エリート教育の禁止がセットだった。
ドイツの名門大学といえば、ミュンヘンやハイデルベルクあたりが有名だけど、工学系・医学系なのよね。ドイツの有能人材は技術エリートであって、政治エリートではないの。
物理学博士が 16年も首相やっちゃうような国だから(笑)
エリート養成機関と聞いて思い浮かぶ大学といったら、オックスフォード、ハーバード、ケンブリッジ、スタンフォード・・・
ほら、戦勝国ばかりでしょ?
もう 1つの戦勝国フランスは? というと、大学よりも格上のグランゼコールっていう、あからさまなエリート養成機関があるわ。
もう明らかでしょ?
戦勝国たちは、敗戦国に民主主義を押しつけて弱体化を図りながら、自らは民主主義の皮をかぶったエリート主義なんだわ。
彼らは、ごく一部のエリート層が民をリードする体制が最強だということを熟知しているの。
かつての日本のカタチもそうだったように。
今の中国だってそうよね。中国なんて民主主義の皮すらかぶってないから、戦勝国の中でも一番有利だよね。
日本人は「エリート」って言葉にあまりいい印象をもってない気がする。
それは、お勉強ができただけの東大クンや二世議員とかの、似非エリートが特権階級に居座ってて、真のエリートがいなくなっちゃったからじゃない?
じつはこれ、日本だけの傾向じゃなくて、世界的にアンチ・エリートの風潮は高まっているらしいわ。
これにはおもに 2つの理由があると思う。ひとつは、政治エリートの腐敗や経済エリートの強欲など、実際にエリートたちが堕落してしまったこと。もうひとつは、フツーの民=非エリートが情報発信できるようになったこと。
本来、真のエリートというのは、特別な教育を受けたがゆえに、万人のため世界のために自分を犠牲にできる人たちのことだとあたしは思うんだ。
ふぅー。たくさん話して疲れちゃったから今日はここまで。
なんだか最後はエリート論みたいになっちゃったわね (>_<)
でもね。考えてみてほしいの。
どうせ誰かに任せるなら、少数のエリートと多数の非エリートと、どっちがいいかって。