中道は、なぜ「Privacy」をビジネスにしたのか?
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当時を振り返る
中道は、なぜ「Privacy」をビジネスにしたのか?
その理由は、ヤフーやソフトバンクで働いていた2014年~2019年頃までさかのぼる。当時、ユーザーデータを活用した広告プラットフォームやデジタルマーケティング事業の立ち上げに関わっていた。いくつかの部署を見ていたが、それっぽい組織だと「データ ビジネス ストラテジー」という名のチームや、広告事業における経営戦略室の部署でマネージメントをしていた。その時は、ユーザーのプライバシーのことなんて意識したことはなく、「事業を大きくしていきたい」、「新しいことをしたい」という想いが強かった。若かったし。
これは時代背景もあるけど、データを活用するというのが世界の常識でトレンドだった。「Big Data」や「Data Driven」、「One to One」といったバズワードが巷に溢れていた。デジタルマーケティング業界もYoYで2桁%成長が当たり前で、業界的にもいけいけどんどん状態。そこに、ユーザー視点のプライバシーといった疑問は薄く、プライバシーはデジタルマーケティングの世界観から置き去りにされていた。
これが、広告プラットフォーマー側のリアル。
きっかけ
2017年 AppleのITP規制、2018年 GDPR施行
やっぱりこの業界に身を置いていると、AppleのITP(2017年)と欧州のGDPR施行(2018年)は衝撃的な出来事である。2016~2017年頃はジーニーというアドテクのスタートップに在籍していたが、ITPの発表を聞いて、これはもう無理と思って、すぐに退職を決意した。それくらいに衝撃的な規制内容だった。
ITPというのは、簡単に言うと、プライバシー配慮を目的にWebやアプリでのトラッキングを規制するもの。まず最初に規制の対象になったのは、Webの3rd Party Cookieという仕組み対して。
簡単に説明すると、アドテクベンダーの多くはこの3rd Party Cookieという仕組みの上で成り立っているものである。つまり、この3rd Party Cookieが規制されるということは、「アドテクベンダーの死」を意味することでもある。事実、多くのアドテクベンダーの株価は急落し、中には大手のメディアやプラットフォーマーに身売りするアドテクベンダーも相次いだ。
GDPRは世界に先んじて、このCookieという仕組みに対して、メスを入れた法律。今後の世界のプライバシー関連法のトレンドになることが期待された法律でもある。
世界レベルでデジタルマーケティング・アドテク業界にメスが入ったのを肌で感じた2017~2018年であった。
ソフトバンク 兼ヤフー
ジーニー退職後は、ご縁や紆余曲折あってソフトバンクに転職し、またその当時ソフトバンク株式会社がヤフーを子会社したことにより、ヤフーのPMIプロジェクトが動くこととなった。中道がヤフー出身ということで、そのプロジェクトの中心メンバーに抜擢された。
中道のミッションは、主に下記。
世界と日本のプライバシーに対する意識のギャップ
ジーニー退職前後から世界のプライバシー規制を肌で感じてきたのだが、日本ではソフトバンクやヤフーでさえ、その意識はまだ世界と差がある状態であった。
この考え方が日本の広告会社では、まだまだ当たり前であった。
世界では、ITPやGDPRの影響で、ユーザー心理上もプライバシーを意識する傾向が強くなり、プライバシー対応が進んでいない企業やサービスからユーザー離れが進んだ。
逆を言うと、プライバシーを遵守する企業やサービスはユーザーから再評価される傾向となった。
この考え方だが、短期的にみると、売上低下につながる可能性も高いが、中長的な視点で考えると、ユーザー心理上ではエンゲージメントが高まりポジティブな力も働くはずという考えに至った。
これはビジネスチャンスではないのか?