【企業の「らしさ」を決める3条件】会社のブランドについて考えるワーク③
\会社のブランドについて考えるワーク①②はこちら/
ブランドは「らしさ」と言い換えると分かりやすくなる
これは私自身のブランドコンサルタント時代の経験です。企業を訪問することになり、「御社のブランド戦略について、一緒に考えさせてください」と提案したとき、実にいろいろな反応がありました。
■ ブランドコンサルタントって何をするんですか
■ ブランド戦略はビジネス戦略ではないし、ビジネスはビジネスコンサルタントにお願いしています
■ ブランドは広告会社に任せていますし……
■ デザインやネーミングとは違うんですか
■ 「ブランドに則った事業活動?」、私たちは経営戦略に従って、人事、開発、生産、流通、マーケティング、広告それぞれの事業活動を推進しています。ブランドって言われても、何をどうサポートするんですか
「はじめに」でも述べましたが、ブランドという言葉の曖昧さ、解釈が人によって違うことで起きる反応です。これはむしろ当然かも知れません。
しかし、こう考えることができます。
「ブランドは独自の存在理由」
➡ 「他との違いが明確」
➡ 「独自性が顧客の‘ 頭の中’ に存在する」
➡ 「それによって選ばれる」
➡ 「つまり‘個性’や‘特性’によって選ばれること」
➡ 「‘ ○○らしさ’ によって選ばれる存在になること」
ブランド=「らしさ」
ブランディング=「○○らしさ」に基づいて、事業活動を行うこと
なお、「ブランドは "らしさ" である」という考え方は、現在では一般的に使われています。
悪い意味での「らしさ」もありますが、ブランドの場合は「ステークホルダーに受け容れられる‘ らしさ’」と考えておきましょう。
ブランドという用語を全く使わないブランディング
企業によっては、ブランドやブランディングという言葉を全く使わないでブランディングを進めているケースもあります。理由は先に述べたように、ブランドという言葉は人によって解釈が異なることが多いためです。
その場合「〇〇らしさ戦略」とか「〇〇らしさ推進活動」などと称しています。言葉を変えることで、認識や議論のポイントが絞られ、スムーズに進む傾向があります。
■ 〇〇らしい活動って何だろう
■ 〇〇らしい製品、サービス、営業、施設って何だろう
■ 〇〇らしい人材ってどんな人なんだろう
■ 〇〇らしい経営者ってどんな人なんだろう
■ 〇〇らしい広告・コミュニケーションって何だろう
ブランドやブランディングという言葉に違和感があるならば、そこにこだわる必要は全くありません。研究者ではなく実践者の場合は、早めに共通理解を得て活動を進めるほうが得策です。
自分たちの会社や組織を徹底して考え、「自分たちらしさの源」を見つけ、それをよりどころにして企業活動・組織活動を考えていく。それこそがブランディングだと言えます。
ちなみに、ブランドコンサルタントの仕事は、「〇〇らしさ」を見つけるお手伝いと、「〇〇らしさ」の「見せ方」「言い方」「活動の仕方」を提案することです。ビジネス系コンサルタントとコミュニケーション実践者(広告会社、デザイン会社、制作会社など)にまたがる仕事です。
「らしさ」を決める3条件
①その企業に「能力がある」「意志がある」
自分たちの会社に潜在的・顕在的な能力がある。あるいはそれらの能力に基づき、自分たちはこうしたい、こうなりたいという意志がある。これがすべてのスタートラインです。
②活動が、社会やステークホルダーのニーズを満たしている
能力、意志・意欲があったとしても、それが社会的ニーズ、ステークホルダーのニーズに応えているものでなくては「独りよがり」ということになります。
③他との違いがある
能力も意志・意欲もある、社会的なニーズにも応えている、しかし、それが他と同じであったら、他のブランドで十分ということになります。
どこに違いを見出すか、何をもって独自の価値を謳うことができるか、考えましょう。
=====
WORK あなたの会社(組織・団体もしくは部署など)の「らしさ」を考えてみましょう。(少し大変ですが、今の時点ではあまり深く考えず、「思いつくイメージ」で結構です。ちなみに、正解はありません)
( 上條 憲二 著『超実践!ブランドマネジメント入門 愛される会社・サービスをつくる10のステップ』より一部抜粋。一部、書籍の表現と異なる場合があります)
■著者
■今回紹介した書籍
超実践! ブランドマネジメント入門
愛される会社・サービスをつくる10のステップ