【わたしの推し本】アドラー心理学に基づいたリーダー論の本。(編集部 大田原)
7月20日より全国の書店さまにてご展開予定の「編集者の推し本フェア」。
この記事では、店頭POPよりももっと熱い「推しポイント」を、各書籍の担当編集者がお届けします。
◎この本を簡単に説明すると…
昨今、部下と上司の関係がフラットになってきていて、さらには部下といっても年上・年下、男性・女性、生え抜き・転職組、なんなら国籍も違うなんて多様化している現在、リーダーという立場で戸惑っている人も多いのではないでしょうか。
そんなフラット化・多様化した職場のリーダーにこそ知ってほしいのが「アドラー心理学」です。
なかでも次のような点がリーダーが知っておいて損はないアドラー心理学の特徴です。
①人間関係を上下関係で見ないで、フラットな関係で見る
②「正しい」より「建設的」という視点を大事にする
③チーム・組織への貢献を大切にする
チームをまとめる際に、困ったなぁ、どうしようと思ったときに、ヒントとなる心理学のことが書いてある一冊です。
著者は、ビジネスの世界でアドラー心理学を紹介し続けて40年近くになる岩井俊憲先生です。
◎この本が生まれたきっかけ
職場で「どちらの意見もわかる」「どちらにも正しい面がある」と思うことってありませんか?
「もっと考えてコストを下げるべき/コストを下げすぎたらいいものはつくれない」「ママ社員が早く帰ってしまって負担が独身者にくる/子育てしてるとできない面もあるのはしょうがないから職場は理解してほしい」などなど。
そんなときに、「正しい/間違っている」よりも「建設的かどうか」の視点でアドラー心理学は考えるということを知って、「なるほど!」となったのが本書の企画立案のきっかけでした。
また、アドラー心理学のいう「共同体感覚」が、今、ビジネス書の中で話題となっている「心理的安全性」にも近い感覚だなと感じたこともきっかけの一つです。
「共同体感覚」とは、本文より抜粋ですが、
「共同体にいる仲間の人間に関心をもち、仲間を信じるという信頼感、仲間の幸せや成長に、できるだけ役に立とうとする貢献感を指します。さらには、所属する共同体に対して、「居場所がある」「ここにいれば安心できる」と感じる所属感や感情を含みます」
というものです。
◎こんなあなたに届けたい!
部下をもって、どのようにチームをまとめていけばいいか迷っている人に読んでほしいです。
アドラー心理学は、親子関係、教師と生徒、カウンセラーとクライアントでも「上下関係」ではなく、「同じ人間」「フラットな関係」ととらえる心理学です。
同様に上司と部下であっても「上下関係」ではとらえません。
単なる「役割の違い」というスタンスです。
アドラー心理学は、人間に「役割の違い」はあったとしても、人間に「上下」はないと考えるのです。
こうした考え方に基づく心理学なので、「上からいうのが苦手」「リーダーになったとしても上下関係でやりたくない」という人にはスッと入ってくるのでは、と思います。
また、アドラー心理学の「建設的」という視点もいいなぁと思います。
意見が衝突したときは、つい「正しい」とか「間違っている」という視点で相手をとらえてしまいがちです。が、その視点から離れて、「お互い正しい」「お互い言い分はある」「どちらの言うこともわかる」という視点に立ち、「では、どこをどのようにしたら仕事を遂行するのに建設的といえるだろうか」を考えるスタンスが仕事をするうえで、すごくためになるなぁと感じています。
「建設的」というと、一見「ドライ」に思えるかもしれないけど、結局は、お互いの正しさを主張しすぎないで、うまくまとめることができて、優しい関係につながるいい考え方なのではと思います。
◎編集中や発売後の裏話
発売直後に重版がかかる!みたいな派手な売れ行きではないのですが、Amazonなどを中心に口コミでじわじわ売れているのが、アドラー心理学の「ちょっとドライだけど優しい感じ」がリーダーの心に刺さっているのかなぁと思えてうれしいです。