【著者執筆】「変わりたいとき」は、つらいときやしんどいとき。まずは自分を癒して、ケアしてあげて。
「変わりたいとき」は、
つらいときやしんどいとき。
まずは自分を癒して、ケアしてあげて。
「変わらなきゃ」「このままじゃダメ」「できるようにならないと」というように、「変わりたい気持ち」を話される人は多いです。
「ちょっとしたことでくよくよ落ち込んじゃう。いいかげん変わらなきゃ」
「なんでもっと上手に言えないんだろう。いい年して、このままじゃダメ……」
「ミスして職場の人に迷惑をかけてしまった。早くきちんと仕事を覚えて、できるようにならないと」
「またイライラして子どもに怒ってしまった。こんなママじゃダメ。子どものためにもしっかりしなきゃ」
「ちゃんと今の職場に慣れないと。もっとがんばろう」
このように話して、「だから変わりたい」と言ったりしがちです。
でもね、「変わりたい」ときって、実は、たいていよくない状況にいて、「つらい」「しんどい」と感じるときだったりします。
たとえば仕事でミスして落ち込んでるときだったり、つい誰かと比べて「自分はできてない……」と凹んでるときだったり、人間関係でうまくいかないことがあって悩んでいるときだったりするのです。
あるいは、友人から「そんなことでいいの?」と批判されたり、まわりの人の行動を見て、「私もちゃんとしないと」なんて思ったりするときだったりします。
新しい環境で生活するようになって、慣れよう、しっかりやろうとあせっているときなどもそうかもしれませんね。
だから、「変わらなきゃ」「このままじゃダメ」となっています。
「成長しなきゃ」「がんばらないと」と言いながら、無理して自分をすりへらしちゃってないですか?
「成長する」のも「がんばる」のも大切ですが、でもね、無理して自分をすりへらしてしまったらもったいない。
いちばん大切なのは「自分」です。
「変わらなきゃ」「このままじゃダメ」「できるようにならないと」と思ったときは、がんばったり努力したりする前にやることがあります。
それは、自分に無理をさせてないか、自分をすりへらしてしまってないか、って自分のことを考えてあげることです。
自分のことを気づかってあげるのです。
そして、そんな自分をまずは癒す、ケアする。
そこから始めてほしいな、って思います。
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著者について
藤野智哉(ふじの・ともや)
1991年生まれ。精神科医。産業医。公認心理師。
秋田大学医学部卒業。幼少期に罹患した川崎病が原因で、心臓に冠動脈瘤という障害が残り、現在も治療を続ける。
学生時代から激しい運動を制限されるなどの葛藤と闘うなかで、医者の道を志す。
精神鑑定などの司法精神医学分野にも興味を持ち、現在は精神神経科勤務のかたわら、医療刑務所の医師としても勤務。 障害とともに生きることで学んできた考え方と、精神科医としての知見を発信しており、メディアへの出演も多数。
主な著書に『「誰かのため」に生きすぎない』(ディスカヴァー)『自分を幸せにする「いい加減」の処方せん』(ワニブックス)、『精神科医が教える 生きるのがラクになる脱力レッスン』(三笠書房)などがある。
★本編未収録の「あとがき」は、こちらの記事から!★
【未収録原稿を公開!】『そのままの自分」を生きてみる』あとがき|ディスカヴァー・トゥエンティワン (note.com)