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ゲーム屋人生へのレクイエム 75話
セールスを雇って副社長に据えてみたものの将来に一抹の不安を覚えたころのおはなし
「前回はあらすじもない、オチもない、暗い印象がありましたけど、どうしたんですか?」
「散々考えたんだけど、何も浮かばなくてね。スランプなのかもしれない。悩んでも仕方ないから本編だけを進めることにしたんだ」
「まあ、そういう時もありますよね。ちょっと休んでもいいんじゃないですか?」
「そうだね。今回のはなしで一旦休むことにする。休憩も必要だ。
ということで本編開始。
雇ったセールスを2週間の予定の出張に送り出して数日後に携帯に電話しても出なくってね。連絡が取れなくなったんだ。それでその日に会うことになっていた販売代理店の担当に連絡すると面会はしたけど彼は早々にホテルに戻ったって言うんだよ。それであれ?って思ったんだ」
「面会が終わったからいいんじゃないです?」
「その代理店の次のアポがあったはずなのになんでホテルに戻ったんだろうって気になってね。セールスの携帯に電話をかけまくってようやく繋がったんだ。それでどこにいるんだと尋ねたらホテルにいるって言うんだ。次のアポはキャンセルになったからホテルに戻ったって。けど何かがおかしいって思ったんだ」
「何がおかしいんですか?」
「電話の向こうの音だよ。バシャバシャと水の音が聞こえて、子供たちがはしゃぐ声が聞こえたんだ」
「それってプールじゃないですか?」
「そう。俺もそう思った。それで聞いたんだよ。今プールにいるでしょって。そうしたらあっさりそうだよって言ったんだ。何か調子狂っちゃってね。言い訳するだろうって思っていたから。なんでプールに居るんですかって聞いたら時間が空いたからプールで横になってるって言うんだよ」
「正直ですね」
「面食らったよ。俺がおかしなことを言っているんじゃないのかなって錯覚しそうになってね。
それでプールの話は一旦置いといて、ここまでの出張の成果を聞いたんだ。そうしたら特にない。挨拶に来ただけだからって、普通に答えたんだよ。
確かに今回の出張の目的のひとつは新任挨拶には間違いないけど、商売の話はどうなってるの?今販売中のタイトルの売れ行きやマーケットとか情報収集とかないのかって俺の頭は混乱したんだよ」
「正直ですけど何かが足りませんね」
「セールスという商売は売るのはもちろんだけど、市場が何を求めているのか、どこへ向かっているのかっていう空気を読むのも大事だと俺は思っていたから、このセールスの言動には拍子抜けしたんだ。
このひとは俺が一から十までやるべきことをすべて指示しないとできないのかって思ってさ。セールスできないひとを雇ってしまったんじゃないかって不安になったんだ」
「セールスに限らず問題ありそうなひとですね」
「うむ。そしてこのプールの一件の数日後にまたひとつ衝撃の事実が発覚したんだ」
続く
この物語はフィクションです。実在する人物、企業、団体とは一切関係ありません