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ゲーム屋人生へのレクイエム 101
新たなゲーム会社の運営について説明を受けたころのおはなし
「あれ?今回は101話ですけど見出し画像が100ですよ」
「錦明竹の為に白黒ええよんさんが100話記念でもうひとつ描いてくださった作品だ」
「錦明竹って誰です?」
「この話を100話も書いたアホだ」
「確かにアホですね。よほどのヒマ人ですよね。もっとプロダクティブなことに時間を使えばいいのに」
「あまり批判するとセリフを減らされるからそのくらいにしておきなさい。
さて。99話からの続きだ。
ひととおりの会社設立の準備が整ったころに本社から経理担当の専務が出張してきたんだ。まだ一度も会ったことなかったからこれが初対面だったんだ」
「きっと心配して偵察に来たんでしょうね」
「まあ、そんなところだったのかもしれない。そこで今後の会社の運営について説明を受けたんだけどこれが信じられない内容だったんだ」
「どういうことです?」
「なんと子会社に事業計画は必要ないと言われたんだ」
「プランを作らなくてもいいってことですよね?」
「そういうことになる。親会社が商品を供給するので販売目標とかの設定はない。日本で販売するタイトルをアメリカ版に移植して売れるだけ売れればいいと言われたんだ。
今まで働いたどんな小さな会社もビジネスプランがあった。そのプランに基づいて開発やら販売やらの詳細な計画を作っていたから俄かに信じ難かった。
しかしこの会社にはそういったものは存在しないときっぱり言われたんだ」
「大丈夫なんですかね?プランがなくても」
「何度も念を押して本当に要らないんですね?って聞いたけど要らないって言われてね。びっくりしたんだよ。
しかしびっくりはそれだけじゃななった。商品の供給体制について聞いたんだけど製品開発は2作は着手していてそれ以降は何も無いって言われてね。そのあとはどうするんですかと聞いたら、開発が用意するから心配しなくていいと言われたんだ。」
「ますます不安になりますね」
「不安だったけど取締役が言うんだから信用するしかない。
そして入社前の面談で話が出た他社と締結した販売委託契約のはなしを切り出されたんだ」
「ああ、そうでしたね。子会社を作るのに他社に販売を委託してるはなしですね」
「そう。それでこの契約を何とかしてほしいと頼まれたんだ。
じゃあまずは契約書を見せてくださいって言ったら契約書は存在しないと言われたんだ」
「え?意味が分からないです。契約書は存在しないのに契約があるってことですか?」
「俺も意味が分からなかった。契約書は無いけど商品販売に向けての準備は委託先が行っていて費用を支払っているってことだった」
「なにがどうしたらそうなるんですかね」
「わからん。しかしこの訳の分からない契約を何とかするのが初仕事になったんだ」
続く
フィクションです