
父娘で語る『バレエシューズ』 :メンターの「大人になってから読むティーンズブックス」 - ゲストブログ企画 クリスマス⛄編
今回のゲストブログでは、元同僚のさすらいのビジネスマン N.O.さん(父)とあおいふさん(高校生の長女)が、ノエル・ストレトフィールドの名作『バレエシューズ』を読み解きます。
「家族の絆」や「自立」を描くこの物語は、3人の姉妹がそれぞれの道を探す成長物語。N.O.さんは父親として、あおいふさんは同世代の視点から、それぞれが心に響いたシーンや気づきを共有。親子で楽しむ読書の魅力を再発見できる記事です。
父娘で語る『バレエシューズ』 :大人になってから読むティーンズブックス

『バレエシューズ』 :書籍紹介
舞台の世界に挑む三姉妹の物語
1930年代のロンドン。身寄りのない三人の赤ちゃんが学者に引き取られます。三姉妹は「フォシル」と名乗り、その名を歴史に残そうと誓い合うのでした。そして舞台芸術学校に入学し、自立への道を歩み始めます。
女優志望のポーリィン、舞台が嫌いなペトローヴァ、バレエの才を持つポゥジーが、オーディションや公演などの関門に悩み、助け合い乗り越えていく様子をユーモアたっぷりに描く成長物語。
ノエル・ストレトフィールド著 福音館書店 世界傑作童話 初版 2019年
さすらいのビジネスマン N.O.さんは父親として、あおいふさんは主人公たちと同年代の視点から、それぞれが心に残ったシーンや学びを語ります。

『バレエシューズ』を読んで:さすらいのビジネスマン N.O.さん
今回、縁あってノエル・ストラトフィールドの「バレエシューズ」を読む機会を頂きました。基本的には3姉妹の成長の物語ではあるのですが、ページをめくる度に、私は我が子たちの将来と自身の関わり方について深く考えさせられました。三姉妹と同年代の二人の娘を持つ父親として、この物語は、子供たちの成長を支える大人たちの役割を改めて考えさせてくれるものでした。
もちろん、この物語の主題である三姉妹それぞれの思いや努力にも心を動かされました。長女のポーリィンや次女のペトローヴァの「自身の気持ちや思いだけでなく、他の姉妹や一緒に生活をする“家族”(血はつながっていない同居人に近いのですが、あえてこの表現にさせてください)のことを考えた健気な選択を悲壮感なく決められる姿」や、三女のポゥジーの「自分の才能を信じて、夢に向かってまっすぐ突き進む力強さ」にも心を打たれたりもしました。
しかし、もっとも印象に残ったのは三姉妹と関りをもつ周囲の大人たちの対応でした。それは、私の立ち位置や環境だからこその感じ方なのかもしれませんが...。彼らは、血縁関係のない3人の少女たちを、愛情を込めて育て上げようとしていました。それだけでも簡単にできることではないのに、契約や経済(金銭)を中心とした社会的な規範をきちんと伝え、守らせながらも、情をもった柔軟な対応をしていました。
そんな大人たちの姿は、まさに「真の優しさ」そのものだったと思います。彼らは、単に子供たちに知識や技術を教えるだけでなく、自立心や責任感、そして社会で生きていくための力を育むことを目指していたように思います。経済的な厳しさや社会的な規範を教えながらも、同時に、三姉妹それぞれの個性を尊重し、温かく見守る姿勢に、私は深い感銘を受けました。
この物語を通して、私は、子供たちの成長には、周囲の大人たちの支援がいかに重要であるかを改めて認識しました。適切な周囲の支援があったからこそ、最終的には3人とも自身の選択を自信をもって進めるようになったのではないかと思います。周囲の厳しくも温かい支援こそが、年齢や性別を問わず、それぞれの人にとって最も望ましい成長に、必要なのかもしれません。
この物語に触れることができたこの機会を生かし、私自身、自分の子供たちへの接し方を改めて考えてみるのはもちろん、仕事の場でも多くの方と接する機会がありますので、「長い目で見たときのお互いの成長」という視点からの行動が取れるよう、精進していきたいと思います。

ノエル・ストレトフィールド『バレエシューズ』:あおいふさん
この物語は、1930年代のロンドンを舞台に3姉妹が織りなす感動の物語です。特に、3人がそれぞれ努力しながら、自分の目指すものを見つけていく過程や、お互いを思いやる気持ちにとても感動しました。また、家族の絆についても考えさせられるような作品です。
私が心に残った場面は大きく3つあります。
1つ目は長女のポーリィンという少女が初舞台の仕事を獲得し、それをきっかけに思い上がってしまうという場面です。彼女がまだ12歳の少女であることを考えると、そうなる気持ちにも共感でき、また同時にプレッシャーがある中で自分なりに頑張っている姿に感銘を受けました。
2つ目は次女のペトローヴァが舞台のお仕事に関心がない中、自分のやりたいこととお仕事の間で葛藤するという場面です。家族のためを思ってお仕事を続けながらも、自分の興味に対する気持ちにも嘘をつけない素直さに心を打たれました。12歳になり労働できるようになって家族にお金を入れたいと思う気持ちはとても大人びていると思います。
3つ目は、ポーリィンが2人の将来を思い大きな決断を下す最後の場面です。自分がやりたいこと、突き詰めたいことは別にある中で、2人の妹を思って決断する場面にはとても感動しました。私も長女なのでポーリィンの気持ちにはとても共感できるものがありました。
自分のやりたいことよりも2人の将来を優先するという決断は私にはとても重く、同じような決断が下せるかわからないと感じ、ポーリィンのすごさに感動しました。
私がこの本を読んで学んだことは、お互いを思いやる気持ちの大切さや、時にはそれが互いの決断を後押しするきっかけになりえるということです。3人はそれぞれ自分の道を進み始めますが、そんな中でも互いに思いやる気持ちを捨てないという決心が強く見られ、私も同じように家族や友達を大事にしながら生きていきたいと思いました。
この本はとても心が温かくなる作品です。きっと大人は登場する大人の気持ちに共感できるでしょう。また、子供も登場する3姉妹の中から共感できる子が見つかるはずです。
この本はどの世代の方が読んでも、楽しめる一冊であると考えます。幅広い年代に読んでほしい一冊です。
さすらいのビジネスマン N.O.さん、あおいふさん
素敵なアーティクルをどうもありがとうございました🤗
本企画が、お二人にとって良き思い出の1つとなりますよう願っています。
メッセージ
『バレエシューズ』は、時代を超えて多くの人々に愛される物語です。親子で感想を分かち合うことで、それぞれの価値観や視点がより豊かになることを、さすらいのビジネスマン N.O.さんとあおいふさんの文章から感じ取ることができました。このクリスマス、ぜひご家族で一緒に一冊の本を手に取り、感想を語り合うひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか?

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