図1

「中国五つ星ホテル「モラル崩壊」」から

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三点に注目したい 
 1.信用の再創造(Fintech)
 2.CPM(信用のポートフォリオマトリックス)
 3.個性のデザイン

関連代表記事 朝日新聞 2018年11月16日19時02分
https://www.asahi.com/articles/ASLCJ44J5LCJUHBI019.html
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A 中国5つ星ホテルに関し、微博(Weibo)を通じて、次のような真実が暴露・拡散された。即ち、ホテルの清掃スタッフが、客の使ったタオルで浴槽や便座、便器の裏、洗面台、床などを拭き、更には、同じタオルでコップやコーヒーカップまで拭いていた。また、別のスタッフは、客室のゴミ箱から使い捨て用のコップのふたを拾い、制服ので拭いた後、備え付けの場所に戻した。これらは一例であるが、「五つ星とは何か」と悩まされる。「中国」と付くことから、中国のモラル崩壊や人財倫理観の欠如、或いは格差社会や労働人口不足を背景原因として指摘するケースも多いいが、「中国」に拘る必要なないだろう。これも偏見だろうか。中国にあるホテルを代表例に暴露された、と捉えるべきではないか。


B Fintechはロボアドであったり、仮想通貨であったり、新規海外送金システムであったり、キャッシュレスであったり…色々と注目されるが、その本質は「信用の再創造」 である。TechnologyにFinanceが相乗するわけだが、あらゆるモノゴトに信用を付与できることが革命的要素であり、現在進行しているFintechの具体例はそのほんの一部に過ぎない。即ち、時計の針を右に回転させた場合、現在とは一線を画すような「信用社会」が構築されると考えることが出来る。即ち、プロダクトやサービス、人物や企業、或いは関係性など対し信用が付与される。別の側面では、新しい保証社会が誕生するとも言える。


A 「五つ星ホテル」の「星」の意味は何か。高付加価値を維持しているアパレルブランド品は、なぜブランド化しているのか。高級老舗旅館やホテルに多額の宿泊料金を支払うのはなぜか。割高であっても「オーガニック」に惹かれ、財布のひもが緩むのはなぜか。実態としての機能はなくとも、エシカルサプライチェーンという言葉に反応し、割高な買い物をするのはなぜか。この背景には、信用が隠れている。しかし、その信用は、個人的な主観事実であり、或いは群としての主観的事実であり、客観的事実であることは稀である。


B 例えば、「星」。どのような評価系で星を付与するかというプロセスをしらないのに、「★★★★★」と並んでいると、優れている証しと思い込み、その施設やプロダクト・サービスを信用してしまう。例えば、「オーガニックです。真心こめて育てました。(+顔写真)」というPOP(Point of purchase advertising)があると、通常の棚に並んでいる野菜と比べて、健康的といった感を勝手に受けてしまう。例えば、「自社では人々が働きやすい製造環境を目指し改善活動に励んでいます」と公言している企業があると、製造環境がクリーンであるような気がしてくる。実際は、サプライチェーンの上段側で小さい子供が酷使されているかも、しれないのに。或いは、「国産」という言葉に、なんとなく安心感を覚えてしまう。…。


A Fintechとしての主ターゲットである「現在のお金という概念」はまさに信用を創造した好例であるが、今後はこの信用付与対象を急激に拡大できる。これは、テクノロジーの進化に依存しており、進化するテクノロジーベースで思考を出来るようになったことにも寄る。


B 現代風に言えば、第三者評価がわかりやすい。どのような判定フローをもっていて、どのようなタイミングで評価を行い、評価する者とされる者の関係性をどのようにコントロールしているのか…当面第三者機関による評価は、信用想像には重要な役割を果たす。今後の世界を考えた場合、あまりに属人的で重いプロセスがデジタルシステムに置き換えられ、より中立に、より客観的に、より迅速に、よりフレキシブルに評価が実施され、保証の概念が誕生し、信用が付与されることになる。単なるスペックではなく、プロダクトやサービスの背景や裏側、或いはサプライチェーン全体との関係性なども、適切な範囲で加味されることとなる。


A このようなデジタルでドライブされた信用付与社会においては、経営者としては、信用失墜を起こさない組織体を構築することと、他社とは異なるカテゴリの信用を獲得することが重要となる。ブランド論にも近いが、社会評判や顧客意見から「自社が評されていること」を抽出可能であり、その「評されていること」が現在の評価指標に入っていないのであれば、そこへの信用付与を申請するというフローが成立する。当然、PPM的に、CPM(信用のポートフォリオマトリックス)をデザインし、自社が獲得すべく信用の形をデザインし、それを実現するような戦略を描くこともできてくる。


B 信用社会や保証社会というと堅苦しいような気もしてくる。当然企業や製品だけでなく、その対象は、個人や関係性にも及ぶ。しかし、これは企業体や製品或いは個人の「個性」を客観的に定めながら、その個性にオリジナリティを付与するデザイン(作業)という自由度を残しているため、切り口を変えれば、何ら堅苦しくもなく、のびのびと羽ばたくことができるとわかる。外部環境として信用社会に急激に振れた場合、マインドセットの切り替えに遅れると、堅苦しくつまらない社会であると感じてしまうかもしない。


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