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kotoba(ことば)の玉手箱ーお薦めの古典紹介 Vol.4(1)『永遠平和のために』(イマニュエル・カント著)ー

皆さん、こんにちは。

前回は『孫氏』の兵法をご紹介しました。『孫氏』は、戦争の戦い方、戦略についての本でありながら、人生の処世に関しての本でもあり、ビジネスの世界でも長く読み継がれてきている古典の一冊です。

「戦争」とくれば「平和」についても考えようと、今回はイマニュエル・カントの『永遠平和のために』(1795年)をご紹介しようと思います。

ところで、「永遠平和」と聞いても、現在も進行中のロシアによるウクライナ侵攻のような事態に接すると、「絵空事」、「理想でしかない」というような反応が出てくるのではないでしょうか。

人類の永遠のテーマともいえる「平和」、世界の恒久的な平和をいかに実現できるのかを真摯に論じるこの書が、今の世の中にあって示唆をもたらしてくれるものなのかどうか、どう読めばよいのかなどを考えていければと思います。

カントとその時代

イマニュエル・カント(1724年~1804年)はドイツの哲学者ですが、当時の東プロイセンという国の首都ケーニヒスベルク(今のロシアの飛び地領カリーニングラード)で、馬具商の父と信仰心の篤い母の元に生まれたようです。

カントといえば、近代哲学の祖として有名で、あらゆる権威の徹底的批判を根本精神とする「批判哲学」を大成したとも言われています。3つの批判書、『純粋理性批判』、『実践理性批判』、『判断力批判』という哲学書の方が有名かもしれませんね。

カントが生きた時代は国家間での戦争が絶えることのなかった激動の時代だったと言えます。彼の祖国プロイセンは当時フリードリヒ2世(大王)の治世(1740年~1786年)に当たっており、オーストリア継承戦争(1740年)や七年戦争(1754年)などを戦い、その後のフランス革命(1789年)、そしてその後のナポレオンの登場、台頭という流れになっていきます。

カントは、17、18世紀のヨーロッパで、合理主義や科学技術の発展を背景に産み出された批判的、世俗的な進歩思想、考え方である「啓蒙思想、啓蒙主義」の哲学者として有名です。教会の権威、束縛から脱却し、自分の理性を勇気をもって使って生きていこうということを主張したということでしょう。(以上『世界大百科事典』、『デジタル大辞泉』、『日本大百科全書』等参照)

それでは次回、そんなカントが『永遠平和のために』で何を主張しているのか、そのポイントや、現在への示唆などをご紹介したいと思います。

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