周回遅れ以上の遅延 『ダーク・ドゥルーズ』 by アンドリュー カルプ Andrew Culp
Reviewed in Japan on December 16, 2017 Amazon(一部改変)
「リベラル派コミュニスト」に限らず「ニーチェアン」も含むおよそ一切の最広義の「リベラル派」は既に決定的に死滅に向かっており、現段階での攻撃は周回遅れ以上の遅延である。
《繋がり》は《離脱》と不可分であり、それは生と死、創造と破壊等々の二項対立を超えた世界へと開かれ続ける。「繋がり至上主義批判」に同調する者は愚かだ。
《接続-連鎖》と《離脱-切断》は一切の二項対立を超えた彼方で不可分なものとして生成する。このポジションから見るなら、うまく機能するのかは甚だ疑問だが、彼のいう「共謀」のキーワードは「反対のものの組み合わせの連鎖」になるのだろう。《接続-連鎖》を創出する動的なモメントは《離脱-切断》のモメントを不可分なものとして内包する。
アンドリュー・カルプが警告の意味でコンドリーザ・ライスに早々と言及しているのは正しい。しかしライスがいったい誰の(孫)弟子なのか、さらにその恐るべき、言わば片手でソ連を崩壊させた人間(ズビグニュー・ブレジンスキー)についてカルプの読者の大半とカルプ自身は知っているのだろうか?
既に述べたが、カンタン・メイヤスーとその派閥は、意図的か無自覚かは別にして機能的に見れば一神教カルテルとしてのバチカンにとって極めて都合のいいエージェントに過ぎない。アンドリュー・カルプはそのことを概ね理解しているといえるだろう。だが彼は、バチカンの世界戦略と結び付けて考えてはいないだろう。
「新たな獣性の恐るべき共謀」のサンプルが「クローネンバーグの『ヴィデオドローム』」なのだろうか? 陳腐であり情けないことこの上ない。結局何を考えているのだろうか? 「結局何を考えているのだろうか?」というのは反語的表現である。
例えば英国王立国際問題研究所から見れば、アンドリュー・カルプ自身が、最悪の派閥として彼の批判する(リベラル派ニーチェアンやリベラル派スピノチストを含む)「リベラル派コミュニスト」に分類されることになる(既にされているだろう)。つまりカルプは、彼が「破壊」しようとしているが彼自身には見えないシステム自らが生み出し洗脳した子どもたちの派生物として、その体制にとって全く人畜無害だということである。
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