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デカルト Descartes 『省察 』 神の存在証明

Reviewed in Japan on June 24, 2003 Amazon

「第三省察」は「神の存在証明」を行っている。そこで語られるものを「神」と呼ぶかどうかは別にして、「現代哲学」といった何かをはるかに超えた思索が展開される。デカルトによれば、「私の内」とは、明晰判明な経験が無際限に反復され得る場である。例えば、私は、確実さをそのつど確信しながら数を数えていくことができる。だが、ここにとどまる限り、私はこの計算を導く演算規則が「常に不変であること」を確信することができない。

「私は、私が何らかの任意の仕方でもって思考ないしは知性によって、私を超えているある完全性に触れるという、単にそれだけのことから、すなわち、数を数えていくということを通じてすべての数の内最大の数にたどりつくことは私にはできないと認知し、かくてそのことから、数を数えるという視点において私の力を超え出る何ものかがあると気づくという、単にそれだけのことから、次のことが必然的に結論されると主張します。すなわちそれは、無限の数が存在するということではまったくなく、また無限の数が(…)矛盾を含むということでもなくて、私が、私によっていつか思考されるであろういかなる数よりも一層大きな数が思考可能であると把握するそうした力を、私自身からではなくて、私よりも一層完全な「何かあるもの」から受け取った(与えられた)ということなのである、と」 

ここから、「現代」(おおむね19世紀後半以降)に登場したさまざまな固有名詞、つまりカントール、デデキント、ラッセル、ゲーデル、ウィトゲンシュタイン、クリプキ等が思い浮かぶかもしれない。(なかでもカントールは、デカルトが発明した解析幾何学から貴重なヒントを得た。)
しかし、「デカルト以後」であることには違いない。

参考

三木  清訳

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