哲学的探究のデッドライン 『アウグスティヌス <私>のはじまり』by 富松 保文 レビュー
Reviewed in Japan on August 8, 2004 Amazon(一部改変)
筆者は、それがいつかはわからないが、物心ついたときに見た鏡の中の「自分の顔」へのこだわりを、無意識の中で哲学的な問いかけとして熟成してきた。ふとした機会に、何とはなしに違和感を覚える鏡の中の顔が、「本当に自分の顔なのか?」という他者性(根源的〈私〉性)への問いとなって本書を生んだ。
本書において、筆者は、鏡の中の「自分」の顔に対する日常的な感覚を、「毎朝、毎夕、鏡を前にして、