【読書記録】組織の「縦割り」、「タコツボ化」はなぜ起きるのか?
すごく面白い本!!
今年読んだ本の中で、一番面白かったかもしれない。
ジリアン・テッドの「サイロエフェクト 高度専門化の罠」を読んだ。
この本は、「組織の硬直化」について分析した書籍だ。
ソニーやFacebookなどの豊富なエピソードを紹介しながら、「組織の硬直化」(本書では「サイロ」と呼ぶ)への挑戦について述べている。
著者のジリアン・テッドは、社会学の1分野である「文化人類学」の博士号を取得し、アメリカのフィナンシャル・タイムズの記者として活躍した。
本書はジリアン・テッド本人が「文化人類学」としての観点から、組織の硬直化(サイロ)について分析した書籍だ。
1. 「サイロ」によって衰退していく企業
本書の主題として取り上げられる、「サイロ」。
日本では「縦割り」や「タコツボ化」などの言葉で批評される機会の多い現象だ。
この「サイロ」によって衰退していくエピソードとしては、日本企業のソニーの事例が取り上げられている。
1980年代から1990年代にかけて、ソニーはウォークマンの大ヒットによって、絶頂期を迎えていた。そんな絶頂期を迎えていたソニーは、2000年代に入ると、ipodを発表したアップルによってシェアを大きく奪われる形となる。
そのように、2000年代に衰退を迎えたソニーは、裏側で大きな「サイロ」の問題を抱えていた。
身近で知るような企業が「サイロ」にどのような形で苦しんだのか、非常に分かりやすい形でまとめられている。
2. 「サイロ」を意識して、大きく飛躍したFacebook
また、「サイロ」を意識することで、組織の硬直化を防ぎ、大きく飛躍した企業も本書では、いくつか紹介されている。
その代表が「Facebook」だ。(現在はMeta)
2004年にマーク・ザッカーバーグが設立したFacebookは、
「非ソニー、非マイクロソフト的」を目指して、会社を拡大してきた。
Facebookは明らかに、「サイロ」を意識し、組織の硬直化の代表であったソニーやマイクロソフト的にならないためには、どうしたらいいかを考えていた。
「サイロ」を打破するために、意識すべきことが詰め込まれた、非常に興味深いエピソードだ。
3. 「サイロ」を理解すると日々の行動も変わる
「サイロエフェクト」を読んでいると、働いている会社でもよく見られるようなエピソードの数々で非常に驚いた。
「組織の硬直化は問題だ!」「風通しの良い社風を目指す」などのお題目を掲げる企業は非常に多い。
しかしながら、「組織の硬直化」(サイロ)が抱える本当の問題について、意識している企業はどのくらいあるのだろうか?
本書は、「サイロ」が引き起こす、具体的な問題を教えてくれる、非常に面白い本だ。
「サイロ」という概念を理解するだけでも、私たちの行動は少しずつ変わってくるんじゃないか。
そんな事を感じさせられる、学びの多い書籍だった。
※今年、出版された「アンソロビジョン」も非常に学びの多い書籍なので、興味が湧いたら、ぜひ!!