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美術館鑑賞|『鈴木敏夫とジブリ展』

先日、愛媛県美術館にて開催されている『鈴木敏夫とジブリ展』に行ってきました。
日時指定チケットを事前購入して行きましたが、すごい人数でビックリしました。

公式HPスクリーンショット

個人的に「ジブリが好き♪」と語る人よりも「鈴木敏夫さんについてもっと知りたい!」というディープな人がすっ~~ごく楽しめる展覧会だと思います。
『千と千尋の神隠し』が推しジブリ作品な私ですが、湯婆婆のおみくじよりも、鈴木さんの足跡やマインドに釘付けでした。
もちろんおみくじもちゃんと堪能したんですがね(笑)

ただ、はじめに書いた通り、人・人・人で、美術館で思う存分に鑑賞ができなかったのが心残り…。
それを補完するため、図録『ALL ABOUT TOSHIO SUZUKI』にて、しっかり復習することができました。

鈴木さんの血肉となった本や映画、そして雑誌『アニメージュ』での編集者マインド。
鈴木さんがどうジブリ作品と関わってきたのか。
とても見ごたえがありました。

『鈴木敏夫とジブリ展』と『ALL ABOUT TOSHIO SUZUKI』から印象に残ったことをもう少し深掘りして記録していきますね!


偉そうに語っていますが、私は恥ずかしながら、この企画展に行くまでは、鈴木敏夫=スタジオジブリプロデューサーという肩書きしか知りませんでした。

編集者として

徳間書店で編集者として活躍され、雑誌『アニメージュ』の創刊にも関わられました。
雑誌づくりにおいて、大切にしていることで私は下記の3つがとても印象的でした。

1.ビジュアルを重視した誌面づくり

魅力的に情報を発信するためにデザイナーの真野薫さんとデザイン方針をつくっていたそうです。

雑誌の顔を飾る絵が、常にいいものが用意されるとは限らない。絵の力に頼れないときは、大胆なトリミングや複数のコマを見せることで躍動感を演出した。

ALL ABOUT TOSHIO SUZUKI』より引用

1シーン、1カットにこだわり、連続したコマを並べることで、アニメーターの技、演出の狙いを読み解くページを設けました。

ALL ABOUT TOSHIO SUZUKI』より引用

アニメ独特の世界観を読者に伝えるための鈴木さんの工夫を感じ取れます。

2.斬新な企画

作り手と業界人にスポットを当てた特集をはじめ、対談や座談会、読者参加型企画、差別化をはかる付録…。
アニメ業界だけならず、世間を驚かす企画の数々。

自分が本当におもしろいと思う作品、作家を押していくこと。

ALL ABOUT TOSHIO SUZUKI』より引用

推し作品を徹底的に応援するスタイル。
なんだかワクワク感にあふれていてすごくいいなと思いました。
だからいいモノが生まれる。
私もいつもそういう姿勢で仕事に取り組みたいです!

3.マニュアルとしくみづくり

『アニメージュ』時代、鈴木さんの編集方針や人材育成ついて、文字校正統一マニュアル、取材対応マニュアルも掲載おり、仕事の軸がしっかり見える化されていたのも印象的でした。
軸をメンバーに共有することでより仕事が合理的にスムーズに進んでいく。
チームで仕事をしていく上で大事なことだなと思いました。


プロデューサーとして

上記にも書きましたが、鈴木敏夫さんといえばジブリのプロデューサーとして有名ですよね。

鈴木自身は「プロデューサーの仕事というのは、『雑用』です」といいます。制作現場や、関係各社との連携、すべてがうまく回るために奔走する役割なのだと。

ALL ABOUT TOSHIO SUZUKI』より引用

その中でも鈴木さんは
● 常に監督の味方でいること
● 作品の本質を見極めること
この2つをとくに大事にされています。

配給先との交渉をはじめ、企画決めから進捗管理、宣伝、グッズデザインと超・万能選手。
ときには効果音づくりに関わるなど、作品の裏側で鈴木さんが相当動かれていたことに驚きました。
監督が作品づくりに集中できる仕事術。

『ALL ABOUT TOSHIO SUZUKI』に「『もののけ姫』の制作予算超過等に関するご報告とご提案」という書類が掲載されていましたが、読んでいると涙がこぼれそうなお仕事だなと思います…。

また作品づくりに関わるだけではなく、作品の本質を見極めること。
これも表面的な理解ではなく、深く深く掘り下げて作品を見つめる。
その見方というのは、鈴木さんがこれまで培ってきた本や映画、様々な経験があってこそ発揮されている力なんですよね。

ジブリアニメが愛される作品を生み出すことができるのは、鈴木さんの裏方力と分析力があるからなんだと改めて感じました。


書家として

展覧会では、鈴木さんの「」が印象的でした。
「飛べない豚はただの豚だ」「バルス」といった各作品の名言が鈴木さんの「書」とコラボして展示されていました。
直接的に「書家」とは名乗ってないと思うのですが、ジブリ関連のイベントの題字やジブリにとどまらずいろいろな分野に鈴木さんは「書」を提供しています。

鈴木さんの字ってなんだか味と遊び心がありますよね!
私は勝手に「敏夫フォント」と呼びたいです!!
不思議なことに一字一字人々に読ませる力を感じています。

今回の展覧会の目玉の1つである湯婆婆のおみくじに書かれている言葉も鈴木さんのもの。

私は中吉で書かれていた言葉は…

「分からないるは そのままで」

分からないことも出てくるが、捨ててはいけない。その中にこそ大事なものが潜んでいる。今はわからなくても、いつか分かる日が来る。だから、そのまま大事に取っておこう、と。

おみくじの解説文より引用

最初はごめんなさい!「???」状態でしたが、解説を読んでみると、さすが、鈴木さん。とても奥深いです。
毎日、正解を出す必要はなくて、いつかのためにコツコツ点づくり。
日記などのジャーナリングもそうですよね。
いつかその点がつながって、形が現れる。
自分にピッタリの言葉をありがとうございます!


想いを伝える仕事

プロデューサーのお仕事は「常に監督の味方でいること」「作品の本質を見極めること」とありましたが、突き詰めていくと監督や作品の想いを伝えていく仕事をされているのだなと感じています。
編集者の仕事、書に関しても、通ずるものがありますよね。
その土台は鈴木さんのこれまで読んできた本や観た映画、たくさんの人との関わりがあってのこと。
展覧会での本棚の展示はかなり圧巻でした!

私の仕事もやっていることは違えど、クライアントの想いを伝えるお仕事。
鈴木さんのようにたくさんインプットして、良質なアウトプットが私もできたらなと思いました。

『鈴木敏夫とジブリ展』『ALL ABOUT TOSHIO SUZUKI』の出逢いに感謝!


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『鈴木敏夫とジブリ展』
会期:2023年12月9日(土)~2024年1月28日(日)
場所:愛媛県美術館
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[おまけ話]
『ALL ABOUT TOSHIO SUZUKI』ですが、よーく読んでるとクスッと笑える遊び心が施されているので、ぜひ見つけてほしいです♪

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