
おじいちゃんの「かかと落とし」
毎朝会社に行く時、同じ電車の同じ車両の同じドアから乗るようにしています。
で、そこに毎日おじいちゃんがいるんですね。同じ時間に、同じ場所で。
で、そのおじいちゃんは身なりもピシッとしているし、来ているコートも毎日違うし、小柄などこかの会長さんのような雰囲気があるんです。
で、そのおじいちゃんが毎日電車を待っている間にやっていることがあるんです。それが、
かかと落とし ──
誰かの頭をめがけて自分のかかとを打ち下ろす「格闘技」のではなく。
つま先で立ってそのままキープ。その後、かかとから「タンっ!」と落ちる健康法のやつです。
正直に言いますが、これがすごく嫌なんです。なんか知らないけど、とにかく嫌いなんです。
グーっと背伸びして、タンっ!
そしてまたグーっと背伸びして、タンっっ!
時にはグーっと背伸びして・・・
・・・
・・・あれ?こないぞ?
と思いきや不意に「タンっっ!!!」
時間差…めっちゃこっちの心かき乱してくるじゃん…
ってな具合で毎日おじいちゃんのかかと落としを隣で見ていた訳です。
で、この話を会社の先輩にしてみました。すると…
「それは取り方によって嫌な気持ち変えられそうですけどね、俺なら可愛いおじいちゃんだなと思ってしまいますよ。」
と言われました。
── そうか。そうだよね。「取り方を変える」か。
次の日。
今日もかかとを落とすおじいちゃん。何なら今日はいつもの1.5倍ぐらい激しく落としている気がする。
そんなおじいちゃんを見て「取り方を変える」方法を試してみました。
そして考えた結果がこちら。
このおじいちゃん、地盤プレートのズレを抑えてくれている ──
日本列島の下にある地盤プレート。これが時間をかけてズレていくと地震が発生してしまう訳です。
このおじいちゃんはこの地盤プレートのズレをかかと落としで抑えてくれるのかもしれない。
毎日。たった一人で。
『日本の未来はワシが…守る!』タンっ!
『人生を掛けた…かかと落としじゃ!』タンっ!
『ん〜〜〜〜〜…んん!』タンっっ!!!
もうこの日以来、このおじいちゃんが愛おしくてしょうがない。