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認知症に関するプロジェクト『100BLG×オンライングラレコ』

昨年、富山県高岡市の特別養護老人ホームはるかぜさんの理事長、澤田さんが呼びかけ人となられて開催した富山100人会議。先進的な取り組みをされている実践者のゲストのみなさんをお招きし、ワールドカフェ、OST、グラフィックレコーディングといった対話や参加者の主体性を大切にしてひらいた丸一日のワークショップでした。北陸だけでなく、全国から福祉について考えるさまざまな方が集まりました。その時にゲストとしてご登壇くださった前田さんにご縁をいただき、今回の100BLGに関わらせていただくことになったというのが、今回のストーリーのはじまりです。

目次
1. 全国の人に知ってほしい取り組み-100BLG

2. 100BLGさんのスタート
3. オンライングラレコで伴走
4. 良い取り組みを全国に広げるということ


1. 全国の人に知ってほしい取り組み-100BLG

こちらは、100BLGさんのホームページから引用させていただいた一文。

"100BLGは、全国各地に認知症と共に生きる方々と100のDFC(認知症の人にやさしいまち)をつくる基盤となり、「認知症・要介護になっても、こういう選択肢があるんだという社会」を作っていきます。"

ホームページより https://100blg.org/

"2012年に町田市でスタートしたBLGは、今年で8年目を迎えます。
厚生労働省をはじめとした省庁関係者、国会議員、海外の医療福祉の関係者、全国各地の介護事業所関係者などが訪れ、介護の”常識”を変えるモデルとして注目を集めてきました。多くの方が関心を持ち、何らかの気づきが生まれているのは素晴らしいことだと思っています。"
"ただ、私たちは、現状に違和感を持っています。視察や見学をした人の地域に、同じような取り組みがほとんど生まれていないのです。「うちの地域にも、BLGのようなところがあればよいなあ」という声はいっぱいあるのに、「うちの地域は、町田と違うから、前田さんのような人がいないから難しい」と諦めてしまうことが少なくありません。多くの地域では「認知症の人にやさしいまち」が標榜されながらも、実質的な取り組みがほとんどないことも少なくありません。日本全国を見渡すと、認知症の人をとりまく環境は、2012年からなんら変わっていないのです。"

ホームページより「メンバーのみなさん」 https://100blg.org/

2. 100BLGさんのスタート

素敵な呼びかけ文なので、そのまま引用させていただきます!

(中略…)100BLG構想は、こうした問題を解
するため、まず最初のステップとして、全国を北海道から九州沖縄までのブロックにわけ、ブロックに一箇所ずつ、BLGの価値を実現する拠点を作ります。そして、次のステップとして、その拠点を学びの場として、各地にBLGを誕生させていきます。
すべての町にとまではいかないかもしれませんが、あなたの町の近くにもBLGがある状態を目指します。そして、100のBLGは、各地域の認知症と共に生きる方々と100のDFC(Dementia Friendly Community:認知症の人にやさしいまち)をつくる基盤となります。私たちは、100のBLGと一緒に、認知症になっても、要介護になっても、こういう選択肢があるんだという社会を作っていきます。"

良い取り組みを全国に。そこに伴走する仕組みも一緒に整えていかれる、壮大でインパクトのある取り組みだと感じています。

3. オンライングラレコで伴走

現在、100BLGさんは全国のキーマンの方々と町田で研修をして、その後、各地での研修、実践を続けておられます。

鈴木は、直接お伺いせず、各地のみなさんが現場の取り組みを話し合ったり、相談する際の会議にオンライン機能を利用して、会議の内容をグラレコでお手伝いしています。
※オンライングラレコの紹介はこちらにまとめています。

実際は、書く時は手元でiPadは横に寝かせてノートのようにして書いています。

iPadの画面を会場のプロジェクターに映し出しています。上記の画像の真ん中右側に写っているのが、先方の会場のプロジェクターのスクリーン。会場のみなさんの声を聴きながら、iPadにグラフィックレコーディングを描いていきます。

15〜20分くらいの対話がこのようになりました。一度描いたところに、さらに重ねて描いたり、話している内容を書き足したり、ファシリテーターの河野先生がお話されたまとめを描いたりと、重ねながら仕上げていきます。

zoomのホワイトボード機能だと、色が数色しかなかったり、描き心地がカクカクしたりと100%快適!とは言えませんが、描きながら話せることで、耳からだけでなく、目からも理解できるので、視覚優位の方にも優しい場づくりになっているのではないかな。と思います。

詳しいオンラインでのグラレコの方法はこちらをご覧ください。


4. 良い取り組みを全国に広げるということ

良い取り組みを全国に広げていく。それは簡単なことではなくて、始めは伴走が必要になる。もしかすると過去の長い歴史の中では、競争とか、独占とか、自分だけが勝てば良い!といった時代もあったのかもしれないけれど、今は、持続可能な社会にしていくために、そして、そう遠い未来ではない地球の衰退が訪れる前に、素早く動いていくために、「良いもの」をシェアしたり、伝えたり、伝わらなかったら伴走したり。共創していくのは大切なことだと感じています。

さらに言うと、よい取り組みを広げるには、インストールでは難しいと感じていて。気づけば、日本全国1000案件以上の会議やプロジェクトに携わって、今振返ってみて、必要なのは「良い物のインストール」「トップダウンの指示」「コントロールするファシリテーション」ではなくて、その土地・そこに住む人・その土地の言葉で話されるようになるまでの「じわじわと寄り添う共創型の伴走」なんじゃないかと感じています。

以下は、100BLGさんのホームページの一文。
"これまで様々な人がBLGを見学してきたけれど、BLGが各地に生まれることはありませんでした。BLGは、ごく普通に見える雰囲気とはうらはらに、認知症の人本人の「やりたい」を実現するため、あるいは「仲間」をつくるため、地域との「血の通った」つながりをつくるための高度な場作り・関係性づくりの視野と技術を必要とします。そうした視野と技術をしっかり学ぶ場がなかったことが、BLGが他に生まれなかった背景にあります。"

「血の通った」つながりをつくる高度な場作り・関係性づくりの視野と技術が必要だというのは、本当にそうだと感じていて、他の分野でも言えます。グラフィックファシリテーションの現場に入るとき、可能な範囲で実践中、練習中の方を場に招いているのは、私なりの試みです。大切なことを伝えるのに、伝わるようにするのに、見て、触れて、肌で感じないと習得できないことがある。だから、私自身が先人の方々に、その方の大切な現場に入れていただいたことで、学ぶ速度がぐんとあがったように、自分の場も拓くようにしようと決めました。

でも、一度、場を拓く側の視点に立つと、実はこうして場を拓いたり、伝わるように伝えるのは簡単なことではないということを目の当たりにしています。正直、自分1人で実施した方が楽だと思うことも多いです。自分自身の時間を削ったり、ストレスがかかったり、成果がでないリスクや、パートナーの方の期待に応えられない結果になりそうな時もあって、手間も時間も精神的にも負担がかかったりする。

それでも。些細な取り組みであったとしても、もう少し長い目でみたときに、それは社会だけでなく、巡りに巡って自分にも、大切な人と少しでも長く過ごすために必要となることだと感じているから。と言うのは簡単だけど、1人ではできないので、試行錯誤、模索中です。今更ながら、先人のみなさんのパワフルさを感じています。


100BLGのみなさんの取り組みは社会から必要とされる取り組みだと感じています。

1人でも多くの、必要とする方に届きますように。

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