ダイエット | 病院食をヒントに見直す食生活 | ①「主菜+副菜+主食」の黄金ルール
一生ものの食習慣を身につける
「ダイエット=減量」という言葉から、厳格な節制を連想する方が多いかもしれないが、「食べる量と内容を適切になるよう修正していく」という言い方が正しい。
程度の差はあれど、昨今、ダイエットを意識したことがある人が大半であろう。そのニーズの高さから巷には過度なダイエットや真偽の疑わしい民間療法の情報が溢れており、「⚪︎⚪︎ならいくら食べても良い」や「⚪︎⚪︎だけ食べたら痩せた」など健康を害す恐れすらある極端な情報も少なくない。
減量期間は人生のうちの一時期となるだろうが、食事という行為は生涯続く。健康寿命をより伸ばして行くために、また、極端な情報に左右されないよう、適切な食べ方を身につけ習慣化していきたいものだ。
「教育入院」を経験して
去年、がんと糖尿病の診断を同時に受け、手術に向けて減量と血糖値コントロールの必要性が喫緊にあったため、10日ほど「教育入院」することになった。入院中の食事は1日1,800kcalに設定されており、当時、制約無く好き勝手に食べていた私にとって、薄味でカロリー制限された食事は耐え難い苦行になるだろうと予想していた。ところが意外にも病院食の食事量と内容ともに順応することができ、(こっそり買い食いすることもなく)、運動も労働もせずゴロゴロしていただけにも関わらず、退院時には5Kgほど減量に成功していた。
この成功体験から、食事が変わるだけでこんなに結果が出るものなのか思い知ることになり、退院後の食生活を抜本的に見直していく契機となった。
今回の記事では入院中の病院食を振り返り、病院食の要素を日々の食生活にどのように取り入れていけるか考察していく。画期的なメソッドや目新しい情報は無く、結局のところ「王道」的な内容となるだろう。しかしながら、1年間で40Kg減量成功に至ったのは、食生活を改善した点が大きな要素であることは間違いない。
本記事がダイエッターたちの一助になれば幸いである。
①「主菜+副菜+主食」の黄金ルール
摂取エネルギー量の適正値
ダイエットを始めると決めたら、まずは摂取エネルギー量の適正値を把握しておきたい。
病院食も一日の摂取エネルギー量が設定されており、朝昼晩の3食でだいたい均等になるようにメニューが割り振られている。エネルギー量は年齢、体の大きさ、身体活動量によって決められる。私の場合、最初の入院では1日1,800kcal(1食あたり600kcal)に設定されていたが、減量効果により体のサイズが若干縮小したことを鑑みて2回目の入院では1日1,500kcal(1食あたり500kcal)に見直しが入った。
参考:「1日に必要なカロリー 推定エネルギー必要量」日本医師会HP
入院前まで制約なく好き勝手に食べていたため、当時の摂取エネルギー量は軽く見積もっても3,000〜4,000kcal/日にはなっていただろう。敎育入院によって、そこから1,500〜1,800kcalに強制的に修正されるとなれば、短期間でもそれなりに減量効果が見られることは容易に想像がつく。
黄金ルールによって「PFCバランス」と「5大栄養素」も整う
教育入院では1日3度の食事を通して、適切な食事量や品目のバランスを実食しながら文字通り体で覚えていく。病院食の献立は、肉・魚・野菜・果物の多品目を使用し和洋織り交ぜたバラエティに富んだ内容で、管理栄養士によって監修されている。ひと月程度は同じ献立が重複しないサイクルになっているが、毎食必ず「主菜+副菜+主食」の構成からなっているのが特徴だ。
主菜:肉料理or魚料理などメインのおかず・・・タンパク質(P)、脂質(F)
副菜:お浸し、酢の物など小鉢のおかず・・・食物繊維、ビタミン、ミネラル
主食:ご飯orパンなど・・・炭水化物(C)
この「主菜+副菜+主食」の黄金ルールが守られていることによって、入院前よりも食事の絶対量が大幅に減ったにも関わらず、思いのほか毎食の満足感が高かった。院内のコンビニで買い食いしたり、カフェテリアへ甘い飲み物を求めて逃避に走ることもなく、病院食に順応できていることが自分でも意外であった。
また「主菜+副菜+主食」の黄金ルールによって、「PFCバランス」および「5大栄養素」の摂取も必然的に整えられることになる。
PFCバランス:Protein(タンパク質)、Fat(脂質)、Carbon(炭水化物)のバランス
5大栄養素:PFC(タンパク質、脂質、炭水化物)+ビタミン、ミネラル
「複合料理」を避ける理由
食事が入院生活の唯一の楽しみになったことで、毎朝その日の献立を眺めることが入院中の日課となっていた。ある日の昼食に「焼きそば」が出ることになっていたが、私に提供されたものは別の主菜+副菜+主食で、また別の日の「カレーライス」も私には別のメニューに置き換えられていた。「一般食(※食事上の制約がない)」の患者には焼きそばもカレーライスも提供されていた模様で、どうやら私のような「制限食」の患者には代替品が提供されることになっていたようだ。
焼きそばやカレーライスは主菜と主食が一体化した「複合料理(※農水省による呼称)」となるため、教育入院中で「制限食」の患者に対しては「主菜+副菜+主食」の黄金ルールを徹底して叩き込む目的から、複合料理が提供されなかったものと推測する。
確かに、麺類やカレーライスなどの主菜と主食が一体になった複合料理は味と食感が終始単調になりがちであることから、食事としての満足感を得られにくい。エネルギーはしっかりと摂取しているにも関わらず、一品しか食べていないという心理的な飢餓感覚に陥るのだ。また、主菜と主食を同時に口に運んでいくため、食事時間が短くなり、これも満足感が得られない要因の一つとなるだろう。その結果、プラスαの味と食感を求めて、追加の食事をしてしまったり、スイーツや甘い飲み物に手を出したりと、容易にカロリーオーバーに繋がってしまうのだ。
「黄金ルール」を食生活へ取り入れる
健康に留意したい気持ちはあっても、「PFCバランス」や「5大栄養素」を考慮しながら食事のメニューを毎回考えるのは実際ハードルが高い。
しかし、複合料理をなるだけ避け、「主菜+副菜+主食」の「黄金ルール」を基軸に食事を用意すれば「PFCバランス」と「5大栄養素」も整ってくる。
とは言え、気合を入れて「主菜+副菜+主食」をそれぞれガッツリ用意してしまうと、すぐにカロリーオーバーとなってしまうので、全体のエネルギー量を常に把握していくことも必要だ。
たとえバランスの取れた食事であっても、現役アスリートの食生活とは異なるため、摂取エネルギー量は節制を心がけたい。
では、どれくらいの量を目安とすれば良いか。
各原材料の重量を計測しカロリー計算するのは煩雑で日常生活に取り入れづらい。したがって、適正量をざっくり目測で把握できるようになることをまずは目指したい。
下記の画像は入院時の食事の一例である。
1日1,500kcal(1食あたり約500kcal)に設定する場合はこれくらいの量になるということを視覚的に覚えておくと良いだろう。
朝食・・・490kcal
主菜:たまごサラダ+ドレッシング(81kcal)
副菜:野菜のケチャップ煮(83kcal)、バナナ半分(42kcal)
主食:食パン6枚切り×1枚+ジャム(147kcal)
オプション:牛乳200ml(137kcal)
夕食・・・503kcal
主菜:ハンバーグ(178kcal)
副菜:サラダ+マヨネーズ(43kcal)、わかめ酢の物(23kcal)、オレンジ半分(25kcal)
主食:白米150g(234kcal)
印象としては、「思っているより少なめ」の量である。
主菜のお皿も小さめだし、副菜は小鉢というよりお醤油差し程度の大きさでふた口分くらいの内容量だ。
一方で、パンやご飯といった炭水化物も欠かさないし、マヨネーズや甘いジャムなどのダイエッターが避けがちなオプション要素も含まれている。さらに牛乳やフルーツも摂ることで品目数が増え、全体量は少ないように見えても食事としての満足感は得られやすい。
この病院食の例を参考に食事量を調整していくと、厳密なカロリー計算を行わずとも目視で適正量を把握できるようになるし、慣れていくと食後の満腹感のレベルからも適正量を把握できるようになるだろう。「食事は腹八分まで」とはよく言ったもので、文字通り体で感覚を掴んでいくことになる。
まとめ
自分の必要エネルギー量を知る
食事は「主菜+副菜+主食」の黄金ルールを心掛ける
複合料理はなるだけ避ける
目視と満腹レベルから適正な食事量を覚えていく
ダイエットは「ライフスタイルの見直し」
「食事療法」と「運動療法」の併用で1年間で40Kgの減量に成功しました。
現在進行形の当事者としての目線とこれまでの経験からダイエットに関する情報を発信しています。
「病院食をヒントに見直す食生活」シリーズは今後も続きます。
是非またチェックしてみてください。
私の経験が少しでも役立つと嬉しいです。