『発達障害サバイバルガイド』感想…イチ押ししたい3つの理由
「片づけが苦手」「お金の管理が難しい」「眠れないし休めない」……誰もが当たり前にやっていることが、なぜか自分だけできないと悩んでいるあなたへ。
『発達障害サバイバルガイド』(借金玉:著)を、ぜひ手にとってみて欲しいです。著者名だけ見たら、思わず身を引いてしまうかもしれませんが、内容はすごくマジメです。発達障害のある方やグレーゾーンにいる方にはもちろん、仕事や生活がうまくいっていない方にも参考になると思います。
「この困りごとは、こんな風に切り抜けることができるのだな……」と、生き延びるヒントが目白押し。人生をラクに過ごすためのライフハックが、ギュッとつまっています。
著者:借金玉さんについて
まずは本書の著者である、借金玉さんについてご紹介。
借金玉さんは、1985年に北海道で生まれました。自称「日本一意識の低い自己啓発本作家」。
本書のプロフィールを見ると、借金玉さん自体がまさにサバイバルしてきた人だとわかります。以下、簡単な経歴です。
「借金玉」というペンネームは、事業破綻時に多額の借金を抱えてしまったことから。
本書の「はじめに」の部分に、これらの経緯がありありと描かれています。本来なら重く深刻になりがちな話を、読者をグイっと引き込むように語られているのは、さすが。
私自身もASDがあり、転職を繰り返し、どん底から立ち直ってきた人間なので、自分のことのように感じられました。
8つのテーマと47種類のライフハック
本書では8つのテーマで、47種類のライフハックが紹介されています。
自分を変えるのでなく、やり方・道具・環境を変えることにより、生きやすくなるのをめざすライフハックです。
以上が8つのテーマ。生活のあらゆる分野を網羅していますね。本書は文字通りハック本ですが、まるでエッセイのように面白かったです。これらの分野において悩んでいる友人が身近にいたら、ぜひ本書をおすすめしたいと思いました。以下、3つの理由からです。
1.簡単ですぐに実践できそうだから
私は本書を一読して、これらのライフハックを試すのは簡単そうだと感じました。ハードルが低いから、すぐにでも実践できそうなものが多いです(設備投資に関しては、お金もかかるので、すぐにとは言えませんが)。
「サバイバルとはよりラクに、より快適に、より優雅に生きられる環境を自らつくり上げていくこと」……そう、借金玉さんは語ります。木の皮や泥水をすするような苦労をしなくてもいい。具体的な工夫やノウハウを取り入れることで、人生をラクにすることをめざしています。
意識の高い自己啓発本を見ると、ゲンナリしてページを閉じたくなりますが、意識の低い本書は、グイグイ読み進めたくなりますね。
「意識が低いままの自分でいいんだ…」と、安心できる本です。
2.やる理由に説得力があるから
47種類のライフハックそれぞれに、試すべき理由がちゃんと説明されているのも、ポイント高いです。説得力があります。
私はASDのせいか理屈っぽいところがあり、「このライフハックをやりなさい」とだけ命令されても、「えー!何で?」と反発したくなります。ところが本書では、そういった気持ちが、ほとんど起こりません。
しかも本書は、味わいのあるイラストで図解されています。具体的なグッズも紹介されているから、イメージしやすいです。
3.文章が上手くて心動かされるから
借金玉さんは、すごく文章が巧みです。もうそれだけで、本書を強力にプッシュしたくなります。ユニークだし、リアリティもあるけど、何よりもいいのは、文章のすみずみまで貫かれているメッセージ。
「あなたはあなたのままでいい」
当たり前のことができない私にとって、この当たり前すぎるメッセージが、何よりもズシリと響きます。
発達障害者に向けて書いているというより、ひとりの困っているあなたに向けて語っているという姿勢が、またいいですね。励まされます。
私は本書の肝は、「CHAPTER8 うつ」と「おわりに」の部分にあると、思わずにはいられません。
まとめ
『発達障害サバイバルガイド』(借金玉:著)を紹介しました。
自分を変えるのでなく、やり方・道具・環境を変えることにより、生きやすくなるのをめざすライフハック本。
簡単ですぐに実践できそうだから
やる理由に説得力があるから
文章が上手くて心動かされるから
以上3つの理由から、自信をもって本書をイチ押ししたいです。