マガジンのカバー画像

読書 感想文

19
ネタバレ全開、というか あの本この本のオチを書きます。 あなたのハートには何が残りましたか?
運営しているクリエイター

記事一覧

ヒート2:第一幕

ヒート2:第一幕

あの映画「ヒート」の続編小説!?と言われて誰が食いつくと言うのか、なんたって「ヒート」は1995年の映画でもう30年近く前の物語。はて必要とされているのか需要はあるのか。「風と共に去りぬ」の続編「スカーレット」(1991年出版) みたいなもの!…分かりづらいか

小説「ヒート2」の物語は、ハナ警部補がニールを撃ち殺した映画のラスト直後から始まる。

強盗団の唯一の生き残りになっってしまったクリス。

もっとみる
地べたを旅立つ 掃除機探偵の推理と冒険

地べたを旅立つ 掃除機探偵の推理と冒険

【鈴木勢太、性別男、33歳。未婚だが小学5年生の子持ち。北海道札幌方面西方警察署刑事課勤務……のはずが、暴走車に撥ねられ、次に気づいたときには……

交通事故に鈴木勢太が目覚めるとAI掃除機ルンバになっていた(憑依)…しかもすぐ隣の部屋には何故か中年男性の死体が】 という話……そんなバカな と思ったが、どうやらこの話 ガチもんのようで、充電しないと動けなくなるし、人目のつくとこで動いてるとすぐ誰か

もっとみる
Re:よくできた作り話だよ

Re:よくできた作り話だよ

「猿の惑星」1968映画史上最も有名でインパクトのあったオチの一本と知られる「猿の惑星」。

原作小説「猿の惑星」著者はフランス人であるピエール・ブール。第二次世界大戦中、自身によるマレーシアでの日本軍の捕虜体験から、この『猿の惑星』が生まれたというのはあまりにも有名です。が、それじゃあ原作である小説「猿の惑星」のオチは?というと意外に知られていないんじゃないでしょうか。否、有名だけれど映画のよう

もっとみる
ランニング マン

ランニング マン

「バトルランナー」(1987)
2017年、世界経済が崩壊、食料・資源は底をつき、警察権力が独裁政権を持つ世界。マスコミや芸術に厳しい規制が敷かれる中で、テレビだけが民衆に与えられた娯楽であった。特に、人気司会者デーモン・キリアンがプロデュースするバラエティ番組「ランニング・マン」が連日放送されるなど熱狂的な人気を獲得、歴史的な視聴率を記録していた ( 映画「バトルランナー」のあらすじ)。

なん

もっとみる
短編「漂流船」が映画化だってさ

短編「漂流船」が映画化だってさ

●メガロポリスは知っているー海が邪悪を胎(はら)んだことを。

東京の埋立地は日常のごゴミが堆積し人々の足に踏み固められて、独特の音や臭いを発散するかのようだ。そこは海でも陸でもない妙に不安定な領域であり、その足もとの不確かさが ホラー小説の舞台として、うってつけのように思われた。(あとがきより)

小説「仄暗い水の底から」(1996年 鈴木光司 著) 東京湾と水をテーマとしたホラー短編集の中の一

もっとみる
小説"パーティで女の子に話しかけるには"

小説"パーティで女の子に話しかけるには"

"年齢というやつも女の子の厄介な所だ 子供の頃は男も女も同じスピードで成長する。ところがある日突然 変化が起こって…いってみれば女の子は未来にダッシュする!そして男は取り残される。気が付けば女の子は何でも知っていて、生理があり胸が大きくなり化粧をし…同年代の女の子は間違いなくヤングアダルトになっていた"

この映画『パーティで女の子に話しかけるには』を「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」のジョ

もっとみる
Innocent Prayer

Innocent Prayer

http://innocentprayer.s2.weblife.me/

" ふみは網棚の上に乗った一か月前からナイフで表面がジャグジャグに刻まれたままの赤いランドセルをつかみ無言で保健室を出た。夏の陽射しは ふみの薄い髪を貫き柔らかな地肌を灼いた。三日も風呂に入っていない身体はむず痒く、不快だった。"

 映画化公開という事で原作『無垢の祈り』再読。もう10年前の本…。たった30ページなので寝

もっとみる
クラリス vs ハンニバル ②

クラリス vs ハンニバル ②

 小説「ハンニバル」を読んだ人 誰もが驚いたはずです。なぜならクライマックスラスト80ページはクラリスとハンニバル 二人によるラップ・バトルならぬカウンセリング・バトルが始まったから!!そしてクラリスまさかの脳みそ食い!さらにレクター博士のおっぱいチュウチュウ場面になだれ込み、二人のセックス三昧の展開へと向かうからです。

 それは映画とは違う、全く常人の理解を超えている展開…だから、あ、ありのま

もっとみる
ハンニバル vs クラリス

ハンニバル vs クラリス

" ハンニバル・レクターが神の意図について思いを凝らすことは絶えてなかった。例外があったとすれば、神による殺戮に比べれば自分のなす殺戮など何程のものでもないと思い知ったときくらいだろう。まこと神はその皮肉において比類なく、その気まぐれな悪意において計りがたい存在と言えよう。"

 私は小説を先に読み、映画「ハンニバル」を観たのでびっくらこいたのを覚えています「お、終り方が ま、真逆じゃん!クラリス

もっとみる
スタンド・バイ・ミー その後…

スタンド・バイ・ミー その後…

 小説 原題は「THE BODY(死体)」

 S・キング作で「恐怖の四季」という、いつものホラーやモンスター要素ゼロをテーマとした中編4作があります。その一本が「スタンド・バイ・ミー」です。

 小説家になった主人公 ゴーディ(34歳)が回想形式で少年時代(1960年)に住んでいた街での物語をつづっていきます。そのきっかけは友人クリスの死でした。

 小説では死体探しの一泊二日の旅を終えた後の登

もっとみる
よくできた作り話だよ

よくできた作り話だよ

 映画史上最も有名でインパクトのあったオチの一本と知られる「猿の惑星」。

 著者はフランス人であるピエール・ブール。第二次世界大戦中、自身によるマレーシアでの日本軍の捕虜体験から、この『猿の惑星』が生まれたというのはあまりにも有名です。が、それじゃあ原作である小説「猿の惑星」のオチは?というと意外に知られていないんじゃないでしょうか。否、有名だけれど映画のように語り継がれていないって事なのか?

もっとみる
霧の中の希望

霧の中の希望

"それはこうして始まった。七月十九日のその夜、北部ニュー・イングランド地方を襲った史上最悪の熱波がようやくおさまり、メーン州西部の全域が未曾有の激しい雷雨に見まわれた。"

  映画『ミスト』(2007年)の原作であるS・キングの小説『霧』は短編集に収められている一編であるものの200ページ以上もあるので充分一冊分の読量。そしてビックリするのは映画はほぼ原作通りという事…ただしラスト以外は。

もっとみる