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短編「漂流船」が映画化だってさ

●メガロポリスは知っているー海が邪悪を胎(はら)んだことを。

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東京の埋立地は日常のごゴミが堆積し人々の足に踏み固められて、独特の音や臭いを発散するかのようだ。そこは海でも陸でもない妙に不安定な領域であり、その足もとの不確かさが ホラー小説の舞台として、うってつけのように思われた。(あとがきより)

小説「仄暗い水の底から」(1996年 鈴木光司 著) 東京湾と水をテーマとしたホラー短編集の中の一編「漂流船」が映画化。しかも ジャレッド・レト主演 監督は鬼才ダレン・アロノフスキー!半年に一度は観たくなる中毒映画、傑作「レクイエム・フォー・ドリーム」(2000)コンビじゃん !!

「漂流船」はたった30ページほどの短編(私の大好物)なのでサクッと読めてお勧め。個人的には入ってる短編7本中で「漂流船」が一番面白かった気がします。

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「漂流船」は無人のクルーザーヨット(8人乗りぐらいの大きさ)を海上で見つけた主人公・和男が興味本位(ちょっと憧れ)でそのヨットに乗り込んだ事によって、恐ろしい一夜を過ごす事になる という、超シンプルなお話。

西の海面に夕日が沈みつつあった。朱の色合いがいつもと違うような気がする。どこがどう違うのかはっきり説明できるわけではない。ふと彼は血の色を思い浮かべた。今夜一晩たったひとりクルーザーのキャビンで過ごすことになるのだ。うきうきとした気分は影をひそめ、代わりに二度ばかり彼は大きく胴震いした。

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 船内に残された航海日誌によれば、どうやらヨットに乗っていたのは幼い子供二人を持つ夫婦のようだ。日誌を夢中で読む主人公・和男。

次第におかしな夢を見る妻、瓶に入った貝を拾う娘、夫も夢を見始める......家族を惨殺する夢を。そして妻は言い出す

......この船にはもうひとりいる。

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家族がなぜ消えてしまったのか...夢で見た通りの事が行われたのだ。邪悪な力に駆り立てられ......そうして、その力は今この瞬間、和男にも及ぼうとしている。「助けてくれ」和男は祈った。

これは自分の内なる恐怖が生み出した"もうひとり"とも取れるのですが、実はクトゥルー的な何か邪悪な者の仕業(ハリウッドの今の潮流)が "もうひとり"の正体かもと思わせるのが、この「漂流船」。そしてそれは海から来た...。

●メガロポリスは知っているー海が邪悪を胎(はら)んだことを。


この"もうひとり"の恐怖に憑りつかれていく男をジャレッド・レトが演じるのはピッタリなんじゃないですかね。悪夢描写は「ブラック・スワン」級を期待!

ではまた。





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