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「汝、星の如く」

泣きたいときにはこの本を是非読んで。と言いたくなるような本でした。

物語の内容として、瀬戸内の島で暮らす主人公の井上睦海、京都から転校してきた靑埜櫂が出会い、高校時代から大人になるまでの話で、恋愛だけに留まらず、夢、仕事、現実社会が織りなす、総じて人生の物語でした。
ハッピーな物語ではなく、読んでいて切なく終始心が揺さぶられる物語でした。

この二人の背景には、各々共通の悩みがありました。その悩みから、いつの間にか共に過ごす時間が増え、その時間が心地よく、お互いに支え合う仲になっていきます。共に過ごすうちに将来を考えるようになります。夢を追いかけて櫂は上京を決め、それについていこうとした陸海でしたが、ある問題で島に残る選択をします。これがきっかけで、二人の運命は変わっていくという物語でした。運命が変わっても、お互いがお互いをどこかで想い続けている。これこそ、愛、愛よりも深い、結を感じました。この後の物語は、ぜひこの本を手に取って読んでほしいです。

この物語で出会った2人の大人が訴えかける言葉がとても印象に残っています。
「自分で自分を養える、それは人が生きていく上での最低限の武器です。結婚や出産という環境の変化に伴って一時的にしまってもいい。でもいつでも取り出せるよう、メンテはしておくべきでしょうね。いざとなれば闘える。どこにでも飛び立てる。独身だろうが、結婚していようが、その準備があるかないかで人生が違ってきます。」
「人は群れで暮らす動物です。だから何かに属さないと生きていけない。自分がなにに属するかを決める自由です。自分を縛る鎖は自分で選らぶ。」
「いざってときは、誰になんて言われようと好きなことをしなさいね。怖いのは、えいって飛び越えるのその一瞬だけよ。飛び越えたら、あとはもう自由なの。」

人に縋って生きるのではなく、あなたはあなた、私は私。
誰かを思っているけど、いつの間にかそれが縋り、依存になるのは怖いと思うし、その人が重くなってしまわぬように、真っ直ぐに人を想う心を持ちたい。周りの環境への不満からでる愚痴さえも、鎖に安心しているだけ、勇気がなく自由を手に入れるための行動ができないだけだ。
自由を手に入れるには、勇気が必要。その自由を手に入れるために、私も励んでいきたい。前向きに自分の未来を考えるきっかけになる本でした。

以前「流浪の月」という本を読み、第1章のキラキラした世界観が美しく、綴られる言葉の繊細さや綺麗さが忘れられず、凪良ゆうさんの本をもっと読みたいと思ったのがきっかけで、今回この本を手に取ってみました。やはり、彼女の小説は圧倒的ワードセンスで、一瞬でその世界観に心囚われました。普段生活していても気づかない思想に、ハッとさせられる内容もあり、小説の面白さがぎゅっと詰まっています。本当に何度も読み返すであろう本になるんだろうなと思います。拙い文章での感想と紹介になりましたが、私は凪良ゆうさんが生きる時代に生まれ、彼女の本に出会えたことがとても幸せです。








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