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目から鱗のアドラー心理学
友人Mから勧められた一冊、
「嫌われる勇気」
読書習慣がない自分にも容易に読めたし、
かつ、多くの人に心当たりがありそうな具体事例を出して内容がスッと入ってくるような構成だった。
以下、印象に残った内容
1.あなたと他人の課題の切り分け
これは自分の退職のことでもそうだった。
退職をしたかった、けど私が辞めると会社の仕事が、社長のメンタルがどうなってしまうんだろう。
心配だし、一緒に立ち上げてきたのにここで自分が離脱するのは勝手なんじゃないのか。
ずっとそう考えて言い出せなかった。
でもある日この本を既に読んでいた友人が、
それは他人の課題であって、
あなたの課題ではないと言った。
「まあ理屈的にはそうだけど」
本の中の青年と同じことを思っていた。
納得いってないながらにもそういう気持ちで退職を伝え、アドラー心理学の課題の切り分けを実践していった。
すると、あの時は「なんと無慈悲な考え方だ!」と思っていたことがきれいに反転していくような、しかも相手を傷つけるような手段ではなく、
自分と相手を個として尊重し、
相手の望み通りには動けない、けど、最後まで誠実に向き合うんだという気持ちで良き手段となった、と思う。
そして実際にも前回の投稿にも書いたように、社長とはお互い良い関係で退職を迎えることができた。
それは社長にも個を尊重する考えがあって、私の将来を尊重してくれたおかげでもある。
2.人を褒めるな、また、叱るな
ダブルワークで学生に英語を教えている身分としては驚きの内容だった。
叱ればやる気はそげて、
褒めれば伸びると思ってた。
でもそれは人を操作することで、本人の承認欲求を高めてしまうし、
自分も他人を無意識に支配してしまう。
良い点が取れたら、嬉しいよ、ありがとう。
そんな言葉が良いんだとは。
今度あの子が良い点取れたらそう声かけよう。
3.共同体感覚
人はいろんなコミュニティに属している。
家庭、学校、職場、サークル、国家、ひいては宇宙。
もしそのコミュニティの中で行き詰った時は、
もっと大きいコミュニティに目を向けて
その中で自分の生き方をまた見つめたらいいと。
学校での関係がうまくいかなければ少し大きいコミュニティを見て、
その大きい枠組みの中でどう幸せに生きるかを考えればいいという。
そのコミュニティに居場所があって、
誰とも横のつながりで互いが個々を尊重している、
そんな世界で生きるんだと。
そんな気持ちで生きるのは難しいかもしれないけど、
遠い昔団地に住んでいた頃に聞こえていた夏休みのリコーダーの音色や、
おばあちゃんの家の前にあるピアノの教室から響くエリーゼのためには、
どこの誰が奏でていたかわからないけどその時確かに心が癒された。
その人だって私に届けようとしていたものではなかったけど、
世界という共同体に属する「仲間」に与えた安らぎだった。
その人のその瞬間の生は確かに誰かに「貢献」していた。
思い返してみると、思い当たることもある。
考えてみれば、考えられそうでもある。
友人が何の気なしに送ってきた雑談LINEは
深夜に落ち込む私の気を逸らしてくれる。
誰かが庭に植えた金木犀が優しく香る。
昼下がりに駆け出す小学生が、
餌を探して横切る猫が、
今日もどこかで社会と戦う君が、
今、自分の心に柔らかく溶けていくような。
読了直後の、自分なりのアドラー心理学解釈。