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【ショートショート?】双葉
大きな水田に一人の老人がしゃがみこんでいる。彼の足元に広がるぬかるみには、美しい若草色の双葉が等間隔に植えられていた。それらは朝露を纏って、ときたま光の加減で宝石のように光り、老人の目をすぼめさせる。老人の隣には竹で編まれた籠が置いてあり、中には大量の灰色で生気を失った双葉が無造作に突っ込まれていた。
老人は双葉を抜いては籠に入れる作業を先程からずっと続けている。ぷちっ。ぷちっ。その、確実に命を奪
毎週ショートショートnote:海のピ
友人から海に行かないかと誘いの電話が来た。海なんてもう5年くらいは行っていないので二つ返事で受け入れた。
準備をする。海水パンツに浮き輪、あとビーチパラソルとか持っていこう。テンションが上がり、あれもこれもとリュックに詰める。
30分後、友人の車が俺のアパートの前に停まっていた。両脇に浮き輪とパラソルを抱えた俺を見て彼は笑う。
はしゃぎ過ぎだって。
あと、浮き輪はいらないぞ。現地調達できるか