どうどうどり

どーも、どうどうどりです。 アイコンは天敵を見つけたときのどうどうです サブ垢→https://note.com/dododorisaba

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remember me?-3

「まもなく、落田、落田…」 キュイーン。 慣性に引っ張られながら停止の時を待つ。着いたのは、いかにも田舎な木造駅。 長ったらしいわりには面白みのなかった電車旅にさよならを告げて、一歩踏み出した瞬間、金木犀の匂いが鼻をついた。ホームの端には、イチョウの落ち葉が集められていた。砂場じゃあるまいし、こんな場所でお山づくりとは大したものだ。 無人の改札を抜ける。善意で成り立っている、というよりかは、悪意を抱くような元気がある人間がもう残っていないのだろう。駅前唯一の店も、誰もいない直

    • remember me?-2

      「わたしを覚えていますか?」 生放送番組の天気予報中継中、突如カメラの前に陣取った男がそう言った。 カメラが向きを変えようとするも、男もそれに沿って移動する。見かねたスタッフが画面端から駆け寄って男に話しかけた。 「すみません、現在撮影中でして…」 「それを知っているからこうしているのです。日東テレビの『あさげん!』でしょう。スタジオにいるある人に伝えたいことがあるのです。」 スタッフは目を丸くし、一瞬カメラの方を見たが、すぐに男に向き直ると、今度は男の前に立ちはだかった。

      • 【短編】妻

        俺の妻はほとんど完璧だ。 可愛いし、スタイルもいいし、気遣いが繊細だし、家事も一つを除いてはテキパキやってくれる。そう、一つを除いては。 その一つとは、料理である。彼女は、料理でストレス発散する変わった人だった。 といっても、めちゃくちゃな火力で炒めたり、塩コショウどばどばみたいな「調理で」ではなく、あくまで「料理で」なのだ。 説明が難しいので例を挙げると、柿揚げ、牛タンジェンガタワー、生卵の水漬けのような独創的すぎる料理を平然と食卓に出してくる。普通の料理もできるのだが、ス

        • サブ垢です↓ https://note.com/dododorisaba 日記とか書くかも

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        • 梅雨
          4本
        • 5本

        記事

          remember me? -1

          「私を覚えていますか?」 テレビの中でそう言った女が目に入った瞬間、俺は飲みかけていたビールを吹き出した。ゴホッゴホッと咳込んでしまい、さらに飛び散る。唇についた泡を拭う。 もう一度、恐る恐るテレビを見た。やはり、その女がこちらを見つめている。目をこすっても、しばたいても消えない。 「たっ…多恵子…なんで…?」  忘れたはずのその名前が口をついていた。北見多恵子。よく見ると、テロップにもその字が刻まれている。間違いない。多恵子だ。 と思ったら、画面が切り替わり、今度は一ミリも

          とーこーじじょー

          玄関から出て、バス停へ向かう。1分もかからない。これだけ。 それだけの作業に楽しみができた。最近、金木犀の匂いがふわふわと漂っている。わかりやすい季節の変わり。 何処から飛んできているのかもわからないそれを、思いっきり肺にしまう。たまに、不躾な排気ガスが呼んでもいないのに入ってきて気道をまさぐる。むかつく。 あとは、特に何もない。目的地まで何もせず動かない。これだけ。 昼にとくに思うのは、秋花粉がひどいということ。まともに集中できない。このままでは成績が。お手上げ。 あと、

          とーこーじじょー

          同級生

          電車に乗っていた。 郊外行きのものなので人は少ない。 代わり映えのない自然が広がる窓の外を眺めながら、だだっ広い座席に座っていた。 そこで、高校の同級生と会った。 そいつは俺にめちゃくちゃかまってくれたかわいいやつだった。 今は商社マンをやっているらしい。少し意外だった。テキパキ物事を進めるタイプではなかったのに。 誰もいない静かな車両は、昔話に花を咲かせるには最適な環境だった。 いつの間にか、降りる駅に着いていた。惜しみながらも風呂敷を畳み、電車を降りて手を振った。 駅か

          短歌 待ち合わせ

          待ちぼうけ せわしなく動く 左の腕 紅葉しちゃうと 思えるほどに ----- 自分が待ち合わせ場所に早く着いたときってめっちゃそわそわしないですか?

          短歌 待ち合わせ

          夏祭り

          遠くからむわっとした熱気とともに囃子のか細い音が漂ってきた。祭りが始まったのか。 わたしはゆらゆら揺らしていた脚を地につけ、立ち上がった。下駄を鳴らしながら提灯の群れへと向かう。 向こうからカップルらしき男女のペアが何組か歩いてくる。派手に着物を着ているのもあれば、ラフな格好のものもあった。その中に、わたしのように下駄を履いている女の子がいた。路地で彼氏とともにうずくまって足を機にしているようだ。おそらく靴擦れしてしまったのだろう。そういえば全く靴擦れしなくなったな。右脚を上

          短歌:花火

          曇り空 煙に隠れる しだれ月 ファッションなのか 照れ隠しか 花火の短歌です。煙に巻かれたいです。

          【ショートショート】はっ

           「はっ」  隣に立っている友達が突然そう呟いた。上を向いて、目も口も大きく開かれている。  「どうしたんだよ、なんかあるのか?」  肩を小突いてみる。  「はっ」  今度は眉をひそめた。口はまだあいたままで、目はまだ空を見上げている。  「おい、まじで何?なんかあんの?」  こんだけ驚いてる感じってことは…もしや、UFO…?いやいやまさかそんな。  俺は恐る恐る空を見る。清々しい青の中に、ときたま引き伸ばされた白が混ざっている。見た限りに不純物はなかった。  「おいおい何な

          【ショートショート】はっ

          毎週ショートショートnote:非情怪談

          「そういえば、うちの学校に伝わる怪談あるんだけど、聞く?」 「え、聞きたい聞きたい!」 「おーけー。まず、13万階段ってので…」 「え?…13階段?」 「ううん、13万階段。」 「13万階段!?」 「うん。うちの階段、12段までしかないんだけど、いつの間にか存在しない12万9988段が現れる事があるらしい。降りようとも、そっちにも13万段が現れて…」 「殺意高いな!」 「他には、音楽室のベートーヴェンとか。」 「あ、今度は普通そう。」 「音楽室に飾られてるベートーヴェンの肖像

          毎週ショートショートnote:非情怪談

          【ショートショート】幽霊の 正体見たり

          ある夏休みの日、友人と一緒に心霊スポットに肝だめしに行くことになった。 俺は怖いものが大嫌いである。子供の頃からずっとだ。夕食に出た嫌いな食べ物を残した時なんか、「もったいないおばけ」が出てこないかビクビクして、トイレに行けずにお漏らしした過去もある。 それならなぜ肝だめしなんかにいくのか。理由は一つ。峰に誘われたからである。峰は俺の幼馴染で、幼小中高とずっと一緒だ。つまり、おわかりだと思うが、俺は彼女が好きだ。想い人からの誘いは断れない。それに断ったら「あいつもしかしてビビ

          【ショートショート】幽霊の 正体見たり

          毎週ショートショートnote:見たことがないスポーツ|爪の垢早煎じ飲み

          ⚠わかると思いますが爪の垢がでてきますきたないです。ご注意を。⚠ 「全国約37名の早煎じ飲みファン、こんにちは!今年も始まりました、爪の垢早煎じ飲み選手権!」 男はマイクを持っていないのに声を部屋中に響かせた。彼が発声のプロということではなく、部屋が狭いのだ。キモマイナースポーツに場所を貸してくれるスポンサーはそうそうないので公民館の会議室でやるしかない。 「一応説明します。ホイッスルが鳴ってから自分の爪の垢を取り出し煎じて全部飲むまでの速さを競う競技です!」 キモい説明を

          毎週ショートショートnote:見たことがないスポーツ|爪の垢早煎じ飲み

          #なんのはなしですか #お前を殺すための呪文だよ #そんなことある?

          #なんのはなしですか #お前を殺すための呪文だよ #そんなことある?

          【30分書き】割り当てられる可能性

          「じゃあ紙配るよー」 長髪の女子が口の横に手のひらを置いてアナウンスする。ついに来た。俺の胸はドキドキと高鳴る。胸を押さえつつ、左前に座る彼女を見る。隣の女子と笑いながら話すその姿は俺の心拍数を引き上げた。 長髪が俺の横まで来て、紙を手渡す。そのまま回って全員に行き渡らせた。人数は10人。人狼が2人。10人の中から特定の2人に同じ役職が割り当てられる確率は…?うーん、まともに勉強をしてこなかったから計算できない。まあ、とにかく、ここで一緒に人狼となって仲を深めるんだ!

          【30分書き】割り当てられる可能性