remember me?-3
「まもなく、落田、落田…」
キュイーン。
慣性に引っ張られながら停止の時を待つ。着いたのは、いかにも田舎な木造駅。
長ったらしいわりには面白みのなかった電車旅にさよならを告げて、一歩踏み出した瞬間、金木犀の匂いが鼻をついた。ホームの端には、イチョウの落ち葉が集められていた。砂場じゃあるまいし、こんな場所でお山づくりとは大したものだ。
無人の改札を抜ける。善意で成り立っている、というよりかは、悪意を抱くような元気がある人間がもう残っていないのだろう。駅前唯一の店も、誰もいない直