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「普通」は幸せの条件じゃない
ノンフィクションを読んで考えすぎて疲れてしまったり、びびりながらホラーを読んで疲れてしまった結果、「元気が出る本」と検索するに至った。
そして出逢ったのがこちらの一冊。
「卵の緒」と「7's blood」、「普通」とはちょっと違った形の家族の物語が2編。「普通」かどうかなんて、どうでもいいよね。
なんてことないシーンでもいちいち心が温まり、なぜ泣くのかわからないところで号泣する自分が心配になった。
お涙頂戴物語ではないのに心が温かくなってほろりとしてしまう、そんな一冊。
それはさておき、私が驚いたのは「卵の緒」の育夫くんの観察眼。
同じ班の女子3人を、「ちょっと男子ちゃんとやってるの?」とガミガミ言ううるさい女子、1日に何度も髪型を変えるがちっとも可愛くないのがたまらない女子、近所でよく話す好きでも嫌いでもない女子、と紹介していた。
全然ストーリーには関係ないんだけど、1日に何度も髪型変える子いるよね、と笑ってしまった。
「7's blood」では、寺田心くんみたいな子供(私の勝手なイメージ)が出てくる。
腐ったケーキを一緒に食べるところは名シーンでした。
脳内再生で腐ったケーキを隠している心くんを抱きしめました。
子供だって少ない知識と経験をかき集めて色々考えているし、察している。
私は家族のことで悩まなくて良い環境で育ったけれど、小学生の時は専ら「日本にミサイルを落とされたらどうしよう」というのが悩みの種だった。
考えすぎて夜も眠れなくて、お母さんに手紙で相談した。
「その時はその時だから」と返事の手紙が来た。
当然私の悩みはそれでは解決しなかった。
でもお母さんが全然心配してない様子だから、私もなんだか安心した。
私はいわゆる「普通」の家庭で育った。
幸せだったし、今も幸せ。
それは私の家族が「普通」だったからではないんだ。
「その時はその時だから」と言いながら、「その時」が来たら一緒に戦ってくれるからなんだ。