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【コンサルタントの読書log】ビジネススクールで身につける ファイナンス×事業数値化力(大津広一 著)

こんにちは。
本日は最近読んだ本から得た学びや気づきを共有する読書logです。

今回の書籍

ビジネススクールで身につける ファイナンス×事業数値化力
大津広一 (著) - 日本経済新聞出版

例えば「製造工程自動化のために最新機器を導入するか?」という問い。
実務においても、このような問いに対して何かしらの分析を行いGoかNo Goかを判断されていると思います。
こちらの本では、その判断に用いることができる指標(FCFやIRRなど)の計算方法や考え方について説明されています。

本書は、敬遠されがちなファイナンス理論と、
難しい事業計画での数値化を有機的に結びつけながら、
両者の理解の促進を図ることをねらいとしています。
一見難解なファイナンス理論を分かりやすく説明するために、
授業を再現した会話形式で解説しています。

Amazon内容紹介より抜粋

例にあげた「製造工程自動化のために最新機器を導入するか?」だけではなく、新しい事業を立ち上げる際、企業を買収・売却する際、効率化を図るために新しい機器やシステムを導入する際など、何かしらのプロジェクトや事業計画を検討する際に、役に立つ内容だと思います。

おすすめな人

  • 業務改善を行う経営企画、事業企画、コンサルタントの方

  • 新規事業を立ち上げる担当者、コンサルタントの方

  • 事業計画を検討する経営者、経営幹部、経営企画、コンサルタントの方

気づき・学び

意思決定におけるNPV(正味現在価値法)法とIRR(内部収益率法)法の違い・使い分け

いずれもプロジェクトや施策の期待される効果を算定するとき、実行・見送りの意思決定を行うときに用いられる手法です。

これまで自分の中で腹落ちしていない部分があったのですが、本書を読んでNPV(正味現在価値法)法とIRR(内部収益率法)法の違い・使い分けについて、だいぶすっきりしました。

NPV(Net Present Value|正味現在価値)法
初期投資を含めた、すべての将来キャッシュフローの現在価値(Present Value)の正味合計額(Net)である。

ビジネススクールで身につける ファイナンス×事業数値化力(大津広一 著)より抜粋

IRR(Internal Rate of Return|内部収益率)法
事業(プロジェクト)の予測利回りを意味している。それは、NPVをゼロにする割引率である。

ビジネススクールで身につける ファイナンス×事業数値化力(大津広一 著)より抜粋

つまり、NPV法では「何円」の効果がでるのかの金額を算出することができ、IRR法では「何%」の利回りになるのかの率を算出することができます。

意思決定を行う際は、NPV法の場合は「0円よりも大きい」と実行IRR法の場合は「実行しないときよりも利回りが大きい」と実行と判断できます。

ここで重要なのは、NPV法とIRR法で意思決定に違いがあるのはおかしいということです。

NPV法とIRR法で意思決定を等しくするには、両者の判断基準を同一にしておくことが求められる。判断基準とは、NPV法の割引率とIRR法のハードルレートに相当する。

ビジネススクールで身につける ファイナンス×事業数値化力(大津広一 著)より抜粋

IRR法のハードルレート(%)とは、利回りがいいのか悪いのかの判断基準となる率のことです。先に意思決定を行う際は、IRR法の場合は「実行しないときよりも利回りが大きい」と実行と記載しましたが、IRR法の場合は「ハードルレートよりも利回りが大きい」と実行と言い換えることができます。

NPV法の計算式は省きますが、NPVの算出に用いる割引率IRR法で判断基準となるハードルレートを等しくしておくことが大切です。

また、条件によってどちらを使う方が好ましいかについても、例題とともに会話形式でも説明されており、理解しやすかったです。

バリューチェーンを使った事業の数値化

事業やプロジェクトの数値化、すなわち、その事業やプロジェクトを行うことで得られる価値(事業価値)の算定は、意思決定を行う際に重要な指標となります。

しかしながら、いざ算出するとなると、とても難しく、大変な作業です。私もコンサルタントとして、いろんなプロジェクトに参画しますが、いつも悩みます。

本書では、マイケル・ポーター教授が提唱するバリューチェーンを使って、モレなくダブりなく事業の数値化する考え方が紹介されています。

マイケル・ポーター教授のバリューチェーン(価値連鎖)モデルは、企業がどのように価値を創造し、その価値を顧客に提供して利益を得るかを分析するためのフレームワークです。1985年にポーターによって『競争の戦略』の中で提唱されたこのモデルは、企業活動を「主要活動」と「支援活動」の2つのカテゴリに分けて考えます。これらの活動を通じて、企業は製品やサービスに特有の価値を加え、競争上の優位性を築くことができます。

AIアシスト

知識としてもっているフレームワーク(ここではバリューチェーン)と、ファイナンスの知識を組み合わせる考え方・手法の整理ができましたし、数値化の精度も説得力もあがるイメージをもちました。

とは言え、フレームワークを知っているだけでは活用できません。その事業やビジネス・業務などの知識がなければ、「一般論ではそうだけど、うちの場合はどうなの?」となってしまいます。

そのため、「事業を知る」または「事業を知っている人を巻き込む」ことは、変わらず重要なことと感じました。

ゼロワン型とデルタ型それぞれの事業・プロジェクトの数値化

本書では事業の形態を「ゼロワン型」と「デルタ型」に分類して、事業の数値化を行う際のアプローチを説明しています。

ゼロワン型とはすなわち、まったくゼロの状態から何かを作りあげたり(創出型)、反対に何か存在しているものをゼロの状態にする(撤退型)もの

ビジネススクールで身につける ファイナンス×事業数値化力(大津広一 著)より抜粋

デルタ型は、すでに存在している事業について何らかの改善や向上を目指してアクションを手がける形態

ビジネススクールで身につける ファイナンス×事業数値化力(大津広一 著)より抜粋

ゼロワン型は、そのプロジェクトに関わるものが全て数値化の対象となりますが、デルタ型は、そのプロジェクトによる変化分だけが数値化の対象となります。

特にデルタ型の場合、「そのプロジェクトによる変化分」かどうかの問いかけが重要で、ここの判断が異なると誤った意思決定につながることになるため注意が必要です。

このあたりの考え方についても、例をもとに説明されているのでイメージがつきやすいと思います(実際に自社や自プロジェクトに置き換えると悩むとは思いますが)。

さいごに

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、下記の書籍から得た学びや気づきについて共有いたしました。
誰かのご参考になれば幸せです。

今後も読んだ本については定期的に共有していきたいと思います。

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