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白い靴のおかげでリア充溢れる駅もメンチきって歩ける

私は女子の割に背が高い。166センチ。
バレーボール選手とかスーパーモデルに比べれば小柄になるのだろうけど、街を歩くには比較的視界が開ける。

背が高いのは割と嬉しいが、ある季節になると背中を丸め猫背で歩いてしまう。
クリスマス前である。

それは昨年の話だった。リア充が溢れる中歩くと、私より背が低めの男性と高確率で目が合った。でけー、という顔をされる。そして彼は小柄な彼女に顔を戻してニコニコと会話に興じるのである。

舐めとんのか??オン??巨人兵だって言いたいんか??

うっせえわ!!と言いたくなるモンドセレクション受賞。
以来、目を合わさないように背を丸めて歩く。ちょっとでも小柄に見えたらいいな❤️なんて淡い期待を抱くのだ。無駄でしかないね。

そんな私も、魔法がかかると背筋をピンと伸ばして街中を闊歩できるようになった。
パンプスである。

ただでさえ身長高いのに正気か?という高さのヒールを履いていれば、「デカく見えるのはヒールが馬鹿高いせいであって私の身長のせいではないのであって云々」と精神的な免罪符を得られる。ので、堂々と歩けるのだ。

この前に靴擦れした時、救済と称して白のパンプスを買った。そしたら、このヒールが思っていたよりも高かった。
このパンプスを履いて街を歩けばあら不思議。
広がる視界、高鳴るヒール、持ち上がる視線。

行楽シーズンでごった返するカップルの人並みをものともせず歩けた。いいなこの靴!と何度脳内で雄叫びを上げたことか。
ちなみにGUの白パンプスだ。これが二千円とか日本どうなってんだよ。ありがたいけどちょっと心配になる。

そんな感じで、白パンプスの魔法にかかったおかげで、背筋を伸ばして歩ける。緊急事態宣言明けでクリスマス並みにリア充がひしめく駅も、もう怖くないのだ。

ニヤつきがマスクで隠れるのをいいことにドヤ顔で歩いていたら、私より少し小柄な男性と目が合った。彼女が隣にいる。

ふふん、恋愛頑張ってくれよ!と手を振る勢いで、私はそのカップルから視線を外し、カツンと駅のタイルを鳴らして改札へ向かった。

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