ハンカチ

ハンカチなんて持ってない
貸してくれる人はもういない
汗を拭っても
後悔までは拭えない
どうして離しちまったんだろうな
柔らかくて温かい君の手を
どこか遠くで幸せになっているならそれでいい
でももしもあの花の刺繍のハンカチを
握りしめてうつむいてるなら
今すぐ飛んでいかなくちゃ
生きている限り必ず取り戻す
いや生まれ変わったとしても必ず
覚えていなくたって思い出せなくたって
見つけてみせる
春が来て淡く惑わす木々が揺れる度
俺の心が疼き出す
これを確かに知ってると
ほら素敵でしょ力作なのよ
白いレースのハンカチに桜の刺繍
靄がかかった前世の記憶
絡み合ってほどけない糸を丁寧にほぐすように
俺は君に辿り着く
なぜか聞き覚えのある口癖
なぜか懐かしい頬の香り
自分たちにもわからないまま
恋をリスタートさせよう
君を幸せにできなかった俺を脱ぎ捨てて
君の涙も全て抱き込めるくらい身軽になれたら
俺にも作ってくれないか
君とお揃いの桜模様のハンカチ
男が持つなんておかしいわよと笑うだろうけど
更に次の世になっても君を忘れないように
切ない思い出になんかに変えないように
欲しいんだ
確かなものが

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