見出し画像

スマートロックシステムFamiLockの商品開発担当に開発秘話を聞いてみた【断熱先生のダンネツノートvol.22】

みなさんこんにちは。大寒となり、テレビやSNSなど、各メディアで断熱の大切さが話題になっていますね。

電気代だけでなく、エネルギー価格も高騰し、さらに値上がりも続きそうな気配です。先行きは不透明ではありますが、今後の暮らしを考えて暖冷房費等を減らせる住まいの性能アップにお金を使うのは「今」ではないでしょうか。

今回は断熱で重要な開口部において、窓と同じくらい大事な玄関ドアのお話をしたいと思います。玄関ドアにあると便利なスマートロックの開発者にも話を聞いてきました。

早速行ってみましょう!

窓と同じくらい断熱性が求められる「玄関」

まずは、住まいの断熱を考える時に玄関もとても重要だというお話から。実は玄関ドアも窓と同様、熱が逃げていってしまう場所になります。窓や玄関ドアなどの開口部から冬は、およそ60%の熱が逃げてしまいます。

一方で、玄関ドアに求められるのは、断熱性能だけではありません。セキュリティと利便性を兼ね備えていてはじめて、「よい製品」といえるのではないでしょうか。


スマホがカギになる「FamiLock」開発秘話

そこで玄関ドアのセキュリティと利便性を叶えるものとしてご紹介したいのが、スマートフォンで玄関ドアの施錠解錠をするスマートロック。「FamiLock(ファミロック)」はLIXILが開発したスマートロックです。国内最高クラスの断熱性能を持つ玄関ドア「グランデル2」、「ジエスタ2」、玄関引戸「エルムーブ2」、リフォーム向け玄関ドア「リシェント玄関ドア3」の4シリーズに搭載しています。

「FamiLock」のいちばんの特色はポケットやカバンなどにスマートフォンがあれば、ドアのボタンを押すだけで施錠・解錠ができること。ハンズフリーで操作できて、格段に便利になります。

また、スマートフォンだけでなく、リモコンキー、カードキー、タグキー、手動キーを加えた5種類があり、家族ひとりひとりがお好みのカギを選べるのもポイントです。

とはいえ、セキュリティと利便性を両立するのはかんたんなことではありませんでした。今回はインタビュー企画「わたしのダンネツストーリー」の第2弾として、このFamiLock開発担当お2人にそのヒストリーを取材してきました。


目指したのは、ポケットインで手がふさがっていても簡単に解錠できること

みなさんこんにちは、FamiLock開発責任者の熊本貴一です。

2022年11月、スマートフォンを持っていれば取り出す必要がなく、施錠解錠できる「FamiLock」を当社基幹商品に全面搭載して発売しました。開発着手は2017年頃、スマホが「家のカギになる」という発想で商品開発がはじまりました。

当初から、単純にスマホのアプリ操作でカギが開けられればいいのかと、疑問を持っていました。というのも、玄関ドア前では荷物で手がふさがっていたり、暗くてかばんの中が見えなかったり、雨の日は傘を持った手が濡れていることもよくあります。そのため「スマホを取り出す必要がない」ことで玄関前のプチストレスを解消する事こそが、真の電気錠の利便性なのではと考えました。しかし当時、スマホを取り出さなくてもカギがあけられる電気錠は市場になく、他の業界を見てもこのような機能を実装しているものはほとんどありませんでした。


使いやすさと防犯上の安心安全、両立させるために試行錯誤

ここからが苦労のはじまりで、通信方式、電波のコントロールをイチから構築する必要があったのです。スマホのほとんどの機種に搭載されているBluetoothを使うことが第一選択肢になったんですが、スマホの機種によって飛び方や距離がまったく異なる上、2.4GHz帯のBluetoothは他の機器でも多く使われており、電波の干渉なども考えられます。単純にBluetoothをドアにつけるだけだと、環境の違いによって反応しないなど、使い勝手の悪い製品になってしまうことが容易に想像できたわけです。

また、スマホはリモコンとちがって、リビングでスマホをさわっていたり、トイレに入ってスマホを眺めていたりということがあります。リビングでスマホを使っていて、その間にスマホとドアが勝手に通信してしまい、誰でもカギがあけられる状態になることは絶対に避けなくてはいけません。

反応を快適にするために電波を強くすれば、それだけ防犯上のリスクがあがってしまうことになります。ですので、操作上の利便性と防犯性という、相反する条件を両立させながら電波をコントロールする必要があり、それが開発の一番の課題であり難しいところでした。

実はアプリ上からボタンを操作してカギをあけるという機能だけなら比較的簡単に実現できます。それはボタンを押した瞬間だけ強い電波を発信して、それ以外では電波を遮断しておけばいいからです。ただ、ポケットインで施錠解錠を実現しようとすると、常にスマホとドアで通信をおこない、スマホとの距離を監視する必要があります。そして、危ないときには自動で遮断する、といったコントロールが必要になるわけです。


スマートフォンの置き忘れによるうっかり解錠を防ぐための、独自のセキュリティエリアコントロール

ファミロック開発担当者 酒井秀忠です。

私たちはまず電波の調査からはじめました。ドアから出る電波強度のシミュレーション、実際にドアについた電波を電波暗室で測定、仮想空間で間取りをつくって窓の位置や壁の材質を変えることで、電波がどのように飛び、どのように遮蔽されるのかを検証しました。

実際のお住まいをお借りして、実験と検証を繰り返し行ったのですが、電波の調整だけではどうしてもすべての環境にマッチさせることは不可能でした。そこで独自の技術である『セキュリティエリアコントロール』機能を開発しました。

これは、スマートフォンが認証範囲内に置きっぱなしで、外からカギがあけられる危険な状態にあっても、一定時間経過すると自動的に認証範囲を縮小し、認証範囲外にするという機能です。

また、電波範囲は「通信エリア」と「認証エリア」の2つがあります。まず、広い「通信エリア」に入ったときは自動でペアリングをして、スムーズにカギをあけられる準備をしています。ただ、ドアからは遠く防犯面では危険なため、まだドアについているボタンではカギはあけられません。

ドアに近い「認証エリア」に入りますと、はじめてドアのボタンでカギがあけられるようになります。この2つのエリアを使い分けることによって、利便性と防犯性の2つを両立させています。

開発段階で実に苦労をしましたが、このような検証を繰り返すことによってスマホの機種特性、住宅の設置環境、間取りといったさまざまなバラツキに対応できるというかたちで商品を成立させることができました。


【断熱先生の編集後記】玄関ドアを断熱リフォームするなら、利便性&防犯性を兼ね備えたスマートロックもおすすめ

みなさま、いかがだったでしょうか。今回はインタビュー形式で、スマートロック「FamiLock」の商品開発担当者の声をお届けしました。

これまで窓断熱の重要性についてこのnoteでもたくさんご紹介してきましたが、実は玄関ドアの断熱もとても大切です。折角リフォームされるのであれば、スマートロックも選択肢のひとつとしてご検討いただけたらなと思います!

これからも様々な情報をお届けしたいと思っていますので、もし良かったらフォロー&読んでいただけたら嬉しいです!

Copyright © LIXIL Corporation. All Rights Reserved.
***
LIXILの断熱リフォーム 
LIXIL 住まいStudio公式HP 
公式Twitter 
「LIXIL × SDGs NEXT STAGE」公式Instagram 
***
<報道関係の方へ>
「断熱先生」古溝洋明および「住まいStudio」等への取材も受け付けております。
ご希望の方は恐れ入りますがnoteクリエイターページ内のお問合せよりご連絡をいただけますと幸いです。

この記事が参加している募集