渇望しているうちは満たされない
"欲しいものが手に入れば幸せになれる"
それは当たり前のこと。
しかしながら、
"手に入らないから幸せじゃない"
それは全く違うはずだ。
子供の頃から、
「足りないと信じて追い求めること」
これで自分のアイディンティティを確立してきた。
"自分には何もない"という焦燥感は
時にめちゃくちゃパワーを発揮する。
しかし、それと同時に
"足りない"部分にばかり着目してしまう。
若い時になんか病んでたな〜ってのは
きっとそういう理由が大半を占める。
でも"足りない"って思うことで自身を鼓舞して
時にはなりたい自分をも叶えてきたから、
もし"足りない"と渇望しなくなったら
もう自分の成長は止まるんだと思ってた。
5年前、犬と暮らし始めたあたりから
「あれ、なんかこのままでも幸せかも」
という感覚が芽生えてきた。
それは大正解で大歓迎するべき感覚だと
今の私なら理解できるんだけど、
当時は正社員も辞めて
「さあ、理想の自分になる為に突っ走って行くぞ！」
というタイミングでもあったから、
なかなか受け入れられずに戸惑った。
更には、
「満たされているのに更に渇望するなんて贅沢な‼️」
という新たな自己嫌悪まで生み出した。
そんな状態で取り組んできた新しい挑戦の数々。
自分の状態と意思がずっとチグハグだったから
何をやってもしっくりこなくて、
好きなことすらもう楽しめないのか？と絶望した。
かといって、
望みは望めば望むほど離れて行く。
ゴールのない迷路を彷徨っているような、
そんな感覚でずっと生きていた。
楽しいことも、心の底の不安は消せなくて
辛いことは100倍辛く感じた。
このままじゃダメだと思って、
「夢を叶える為に必要な習慣」をちゃんと勉強することにした。
なんと、それらには
「自分の足りない部分に着目しろ！」
なんて要素は一つも存在しなかった。
むしろ、
「自分を大切にして満たすことから始めなさい」
なんて文言ばかりだった。
なんなら「自分にはすでに価値がある」ということまで。
そこで、これまでどれだけ自己犠牲や
自分のことを後回しにすることが
当たり前になっていたのかということに気づいた。
少しずつ自分の声を聞いて、
悪いことじゃなく良いことにちゃんと気付く癖をつけて、
そしてどんな小さなことにも感謝する───。
神に縋る思いで思い切って取り入れた良習慣は
私の思考の無駄をどんどん省いていってくれた。
───そしてしばらくすると、
また最初の疑問が戻ってきた。
「渇望なしに成長することなんて出来るの？」
良習慣によってかなり心が満たされ始めた私は
「このまま成長出来なくなるのでは？」
という思いに少し駆られ始めた。
…
でも、その心配はなかった。
なぜなら、この世は純粋な思いほど叶いやすく出来ているからだ。
「足りない」を原動力にした行動は
いつしか下心の方が大きくなる。
そして純粋だった頃の気持ちを忘れ、
下心がその願望の本体みたいな顔して君臨し始める。
そうすると、本来の願いからどんどん遠ざかっていく。
渇望がうまく作用しているうちはいいが、
大人になって余裕がなくなるにつれ
下心のコントロールが難しくなる。
だから、純粋な願望に対しての下心を
出来るだけ出現させないようにするには
“自分を満たす” これしか方法はないのだ。
自分の価値が
「持っているもの」
「身につけているもの」で決まると信じていたから、
買っても買っても足りなかった。
自分に合うものはもっとあるはず！と
端から端まで店を見ないと気が済まなかった。
そして、手に入れた喜びは一瞬で
また次の「欲しいもの」を探し始める───。
ずっとそんな状態だったから
「自分はすでに価値がある」と言われても
すぐにはピンと来なかった。
でも、ある時その言葉を
「自分そのものの価値を上げていく」
という感覚に置き換えた時に一気に腹落ちした。
そして、椎名林檎の『ありあまる富』という曲を
そのタイミングで聴いて、
林檎様が言ってるなら間違いない！！と確信を得た。
モノは無くしたり盗まれたりしたらおしまいだけど、
自分が持っている知識や経験、言葉、技術…
それらはどんなに見ぐるみ剥がされても決してなくならない。
だったら、そっちにウェイトを置いて生きていけば良いんだ。
そう思えるようになったら、一気に物欲が無くなった。
何度も聴いている曲なのに、
場面によって心への響きが変わるの不思議ね。
僕らが手にしている富は見えないよ
彼らは奪えないし壊すこともない
世界はただ妬むばっかり
もしも彼らが君の何かを盗んだとして
それはくだらないものだよ
返して貰うまでもない筈
何故なら価値は生命に従って付いている
5年前に既に抱いていた感覚なのに、
ちゃんと腹落ちするまでかなり時間がかかってしまった。
でも、渇望していた自分は
かなり自分を動かして色々な経験をさせてくれたから
きっと必要な5年間だったんだと思う。
というか、30年間ずっと渇望していたから
それだけ無我夢中に蓄えた経験と知識は
既に価値があるし、
きっと誰かを救うこともできるはず。
これからは満たされた自分で、
夢を叶える為に更にデカく行動していくよ。
むしろ渇望していた頃よりもエネルギーが溢れている。
このエネルギー状態は人生で初めてなので、
これからはどうなっていくのか、
いい意味で予測不可能です。
めちゃくちゃ楽しみだネ。