【文化財紹介】山内ビル(国の登録有形文化財)
大阪歴史倶楽部です。
大阪市内の中心部を流れる土佐堀川の河畔に建つ、昭和初期に建てられたお洒落でモダンなビルをご紹介いたします。
山内ビル(国の登録有形文化財)
大阪市西区土佐堀1丁目にある山内ビルは、1930(昭和5)年に「山内香法律特許事務所」として建てられた、いまから90年以上も前のビルです。装飾が豊かでとてもお洒落でモダンなビルだと思います。国の登録有形文化財です。
鉄筋コンクリート造り地上4階、地下1階建。山内香という弁護士さんが法律特許事務所として建てたビルです。現在はアクセサリーショップやレストランなどが入るテナントビルとなっています。
山内ビルの立地
この山内ビルの立地ですが、地図を見ると当時の裁判所である大阪控訴院(現在の裁判所の位置に建っていた赤レンガ造りの壮大な建物)までは、ちょっと遠いかなという印象を抱きました。弁護士の山内香さんが山内ビルから裁判所へ通うためには、どのルートをとっても必ず土佐堀川と堂島川の2本の川を渡らなければなりません。橋を2本渡るわけです。
けれども実際に大阪歴史倶楽部が山内ビルから裁判所までの3つのルートを歩いてみますと、いずれも20分たらずでした。ですから「遠いというほどでもないな」と感じました。
このうち、山内弁護士が大阪控訴院(裁判所)へ通われたルートは(1)の水色の線のルートではないかなと想像いたします。
(1)のルートですと、当時パリのセーヌ河畔をモデルに設計され、とても美しくてモダンな雰囲気が漂っていた中之島を通るルートです。
そして天気が悪い日や急ぎの時などには、人力車やタクシーなどを利用されたのではないでしょうか。当時の大阪市電の路線図を見ますと、市電に乗るには少し遠回りだったように思います。
錦橋(土佐堀川可動堰)が完成したのが1931(昭和6)年。山内ビルが完成したのが1930(昭和5)年 ですから、山内弁護士は錦橋の渡り初め式に参加されたのかもしれませんね。
山内ビルへの行き方
山内ビルへは、大阪メトロ四つ橋線「肥後橋」駅3号出口または4号出口から徒歩約1分です。肥後橋の南詰、土佐堀川の南岸にあります。
おわりに
ここでご紹介いたしました建物などの文化財を見学したり写真や動画などを撮影されるときには、所有者さんや管理者さん、ご近所さんや周りの交通などにご迷惑がかからないよう、配慮しましょう。
許可なく他の人の敷地内に入ったりすることはだめです。またとくに建物内部の撮影はセキュリティの関係もありますので、必ず所有者さんや管理者さんなどの許可を得てくださいますようお願いいたします。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
(『大阪歴史倶楽部』第2巻 第3号 通巻13号 2022年1月15日)
©2022 大阪歴史倶楽部 (Osaka Historical Club)
無断引用・無断転載等を禁じます。