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お気に入りのお店 day45
4/27 (Sat.)
#66日ライラン day45
我が家の子どもたちの、お気に入りの酒店がある。
もちろん、お酒を買いに行くのではない。子どもたちが小銭を握りしめて買いに行くおやつ、いわゆる駄菓子を買う時に、そのお店を愛用している。
個人経営の酒屋さん。元々は、長男が小学二年生の時、校区内の町探検で訪れた、町のお店である。
生活科の学習で長男がいろいろ質問をした時、丁寧に教えてもらえたのが嬉しかったらしく、そこから、長男は通学路にはないそのお店が好きになった。
お酒の配達などはご主人が主にされているようだが、駄菓子を買いに行くといつも出てきてくれるのはおばあちゃん。80を過ぎているとのことだった。
我が家は小遣い制ではない。普段食べるおやつは、私が買ってきて家に置いてある。
以前には、例えば家の手伝いをしたら、お小遣い幾らもらえる とかにしようか?と提案したこともあったが、お小遣いは要らんから、その分一日のゲーム時間増やして欲しいと逆に要求された。
そうでなくても、義母が孫の顔を見にくる時、バナナやおせんべいの袋などを携えてきてくれる。彼らは普段のおやつには全く困っていないのだ。
そんなボーイズが、酒屋さんに、お菓子を買うためにお財布持って、いそいそと向かう時。
遠足前だ。
今でも、遠足のおやつはだいたい300円まで。
スーパーのお菓子コーナーでは、300円ぽっちではちょっとしか買えないけど、その酒屋さんでは、ハイチュウにマシュマロにベビースターラーメン、カジリッチョとロングチューも買える。それだけ買ったら、大抵遠足当日には食べきれなくて、次の日も楽しむことができる。
ところが。
春休み、いつものようにお出かけ用のおかしを買おうとその酒屋さんを訪れたら、閉まっていた。
開いているはずの平日の午後、店のシャッターが下りているのを見て、長男はしょぼんとして帰ってきた。お店、もう辞めたんかなぁ、おばあちゃん、風邪ひいて熱出したんかなぁ。お年寄りやったもんなぁ‥。
おやつは別の店に買いに行ったものの、こっちもいいけど、ちょっとお菓子高いんよなー‥と、残念そうだった。
ゴールデンウィークに、彼らはまた同じ習いごとの遠足で磯遊びに行く予定がある。今回もおやつは300円まで。
もう一回、あそこ行ってみるわ。と長男。
今日も閉まってたら、諦める。
家の近所ではないものの、校区内なんだから、もう自転車で自分たちだけで行ってもいいのに、ママついてきて、と言う。不安なんだろう。
開いてるかなー、
もうお店やってないんかなー、
おばあちゃん、元気かなー、‥‥。
小学校のある大きな通りを渡って、小さな路地へと入っていく。
先、行ってみておいでよ。ママ追いかけるから。
分かった、と長男は立ちこぎで前へ出た。
開いてるー!!
ママ、店やってたー!!
100円玉がなかったので、長男と次男にそれぞれ500円玉を渡した。300円越えていいから、今日の分のおやつも買っておいでよ。来たかったんやろ?ママは、店の外で待っとくわ。
店の向かい側に自転車を停め、私はそこで彼らが出てくるのを待っていた。下校中の小学生たちが通り過ぎていく。店の中に居た長男に気づき声をかける。
あれ、◯◯やん、わーおかしー買うてる、オレにもおごれよー。
ムリー、自分のお金持ってきてー。
はー、せこー。きっしょ。
バイバーイ。
バイバーイ。
また別の女子も通り過ぎていった。その子は一度帰宅していたらしく自転車だった。
◯◯やー、バイバーイ。
あ、バイバーイ、家こっちなん?またねー。
しばらくして、袋に入れてもらったお菓子を手に、長男と次男が出てきた。ありがとうございましたー、と頭を下げる長男。次男も、また来ますーと言って、長男に倣って頭を下げた。
ママ、オレ今度、あのお店に手紙書こっかな。
いつもありがとう、長生きして、お店やってね、って。
いいね、それ絶対喜んでくれると思うよ。
次の遠足は5月。彼らはまた、小銭を持っていそいそとあのお店に向かうだろう。
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