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note クラシック音楽の普遍化を達成する

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クラシック音楽の歴史や作曲家、作品について、哲学的な視点から分析し、その普遍性や深さを探求する和田大貴のnoteです。クラシック音楽について語り合えることを楽しみにしています。参…
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2023年2月の記事一覧

シューマンのヴァイオリン・ソナタ

シューマンのヴァイオリン・ソナタも、前回取り上げたヴァイオリン協奏曲同様、多少なり録音は聴いて来た方ではないかと思っている。

そして、大概の録音は、やっぱり、そこまで好きじゃない。

今更ながら、今日、聴いたのは、エリザベス・ツォイテン・シュナイダーのヴァイオリン、ウルリク・ステアクのピアノによるソナタ全集。

フローリアン・メルツがシューマンの交響曲好きには著名な存在である様に、この録音もシュ

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幻の公演プログラム ラオ・ハオ ショパン・リサイタル ④

幻の公演プログラム ラオ・ハオ ショパン・リサイタル ④

 第18回ショパンコンクール(2021年)ファイナリストとして、多くのファンを魅了した天才少年ラオ・ハオさんの、幻と化した来日公演の、大阪公演用の楽曲解説  ④ は、本公演メインとなる、ソナタ第3番です。

ピアノ・ソナタ 第3番

 祖国ポーランドを出国して14年が経っていた。
 春に父の訃報を知らされ、どん底の精神状態であったショパンの元に、姉のルドヴィカが遥々ポーランドから訪ねてくる。ようや

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幻の公演プログラム ラオ・ハオ ショパン・リサイタル ③

幻の公演プログラム ラオ・ハオ ショパン・リサイタル ③

 第18回ショパンコンクール(2021年)ファイナリストとして、多くのファンを魅了した天才少年ラオ・ハオさんの、幻と化した来日公演の、大阪公演用の楽曲解説。
 ③ では、アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ、3つの華麗なるワルツをご紹介します。

アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ

 この曲は、まず後半のポロネーズの部分から作曲された。管弦楽を伴うピアノ協奏曲として、ショパ

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幻の公演プログラム ラオ・ハオ ショパン・リサイタル ②

幻の公演プログラム ラオ・ハオ ショパン・リサイタル ②

 第18回ショパンコンクール(2021年)ファイナリストとして、多くのファンを魅了した天才少年ラオ・ハオさんの、幻と化した来日公演の、大阪公演用の楽曲解説。
 ② では、ノクターン第17番、バラード第4番、スケルツォ第2番をお伝えします。

ノクターン 第17番 Op.62-1

 ショパンの生前に出版された最後のノクターンのひとつ。
 上昇アルペジオによるドラマティックな導入から、いきなりショパ

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幻の公演プログラム ラオ・ハオ ショパン・リサイタル ① 動画メッセージ付き

幻の公演プログラム ラオ・ハオ ショパン・リサイタル ① 動画メッセージ付き

 第18回ショパンコンクール(2021年)ファイナリストとして、多くのファンを魅了した天才少年ラオ・ハオさんの、幻と化した来日公演。


ラオ・ハオさんから届いた、大阪公演に向けての動画メッセージ♪

 我が国のコロナ対策下で滞在許可が得られず、公演は全て中止となってしまいましたが、大阪公演のプログラム解説文は、主催の日本演奏家支援協会の依頼を受け、既に用意してありましたので、以下、ご紹介致しま

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ジョージ・セル【指揮台のタイラントと呼ばれて】1969年8月24日

本稿の狙い(というほどのものでないが)はこちら。

セルの音楽的故郷

オーストリア=ハンガリー帝国時代(1897年)のブダペストの生まれで、20世紀後半(1970年)のクリーヴランドに没したハンガリー系ユダヤ人のセルは、「・・・のひと」と括れない存在。
そのなかで音楽面の「故郷」「原点」「(クリーヴランド以外の)重要都市」はウィーン、プラハ、ザルツブルクと考えられる。
学んだのは二重帝国の首都ウ

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【公演レビュー】2023年2月23日/東京二期会オペラ劇場 プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」(ベリオ補作版)

【公演レビュー】2023年2月23日/東京二期会オペラ劇場 プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」(ベリオ補作版)

己の実力をふまえた好プロジェクト

上演の詳細は下記リンク参照

歌手は全員際立ったところはなかったが、破綻も目立たず。ひとつ注文をつけるなら、トゥーランドット役とリュー役の歌手に容貌、声質の両面で対照性が乏しく、前者はショボく見え、後者は恰幅が良過ぎた。

オーケストラは薄手のサウンドで時折情けない音を出したが、指揮者は堅実に音楽をまとめた。歌手の力量を考えれば、この程度のオーケストラで良かった

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フルトヴェングラーの代表的な名盤

フルトヴェングラーの代表的な名盤

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886~1954)は、世界最高のオーケストラとしての呼び声が高いベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を率いた指揮者です。

ドイツ出身のロマン派作曲家の作品を得意とし、ベートーヴェンやシューベルト、ブラームス、ワーグナーの楽曲の演奏を数多く指揮しました。特にベートーヴェン作品の指揮者としては権威とも言える存在です。

活躍した時代から、フルトヴェングラーが指揮した

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