客単価アップ・値上げを無理なくするにはどうすべきなのか?(予算帯を応用して考える)
昨今は食材原価高騰や毎年上がっていく人件費など、コロナ発生以前から経費の観点で、飲食店経営にアゲインストな流れがあります。
そんな中で、値上げなどを考える店舗も多くあるのではないでしょうか。
一方で、計画なく値上げをしてしまうと、大幅な来店頻度や客数減少になりかねません。
そこで本記事では、以前の記事でご紹介をした”予算帯”の考え方を応用し、客単価アップや値上げについて考えていきます。
これまでの予算帯に関する記事はこちら⇩
予算帯のおさらい
予算帯とは、消費者が商品を購入するときにいくらぐらいの価格なら買うかとういことを事前にある程度の幅で決定しているという考え方
例えばですが、1,000円ぐらいでモノを買おうと思っている消費者は800~1,799円までの幅でお金を出すと想定されるという事です。
それよりも少しでも高い(1,850円など)と、一気に購買しづらくなり、それよりも少しでも安い(780円)と手頃感を感じ購買しやすくなるというお話しなんですが、その予算帯の応用のお話です。
①の記事では幅の大きい予算取り、②ではもう少し細かい予算取りについて書きました。
客単価アップへの応用・考え方
よく飲食店などで「客単価」という言葉が使われます。
平均して1人当たりや1組あたりのお客様がいくら使われたのか?という指標なんですが、もっと平均の客単価を上げて、もっと売上を取れないか?と考える方がいます。
もちろん上げれることに越したことはないのですが、安易に上げすぎると(例えばオススメで高い商品を売ってみるとか、ドリンク杯数を多くする施策をするなど)、客数に影響が及ぶ場合があります。※客数と客単価の相関性です。また別の機会にでも。
例えば客単価の平均が1人あたり約2,500円(2,800円予算=2,200~2,799円)の大衆居酒屋さん。
※ここでは【消費者の購買予算②】を使って説明していきます。
客単価を上げに行き、客単価の平均が500円ほどあがり3,000円になってしまうと、会計の予算帯が2,800円(2,800~3,199円)の予算に上がってしまうため、心理障壁が大きくなり、客離れが起きやすくなります。
「普通に飲んだら3,000円で必ずお釣りが来る」から「3,000円以上かかるかも」に変わった感じです。
もちろん差異と言われればそうなので、いきなりドーンと下がるわけではないですが、目減りしていく事が予想されます。
こういった場合には、
・客単価上げ幅の目標をまずは同一予算内とする
・客単価アップ後、客数の上下動を見て継続判断を行う
・3,000円予算まで上げるなら客数担保の施策を行う
といったことが必要になります。
値上げへの応用・考え方
次に、「値上げ」のお話しなんですが、上記で書いた通り、
キモの1つとしては、「値上げなら同一予算内」「予算帯上げるなら客数や売れる品数を増やす施策をする」になります。
ただ、もう一個のキモは「gあたり、1個あたり」の単価で見ることです。
例えば3個入り400円(400円予算=400~499円)の唐揚げ1パック。
同一予算帯内なら499円まで上げられると一見すると思えるので、それじゃあ430円で行きましょう、とするともちろんですが一気に売れづらくなる。たったの30円でも、です。そこまで消費者の皆様も簡単じゃあないんです。
これは実は、唐揚げ1個あたりでみると、値上げ前は133円で140円の予算帯に属しています。
これを上記のように3個で430円にすると1個当たりは143円となり、180円の予算帯に上がっていて、心理障壁を感じてしまうのです。
これは、より細かくなったgや㎖という単位でも同じで、値上げが数十円でもgや㎖に直すと、1.33円が1.4円になっていると、高くなったなぁという障壁が生まれてしまうのです。
これを応用して、例えば価格を同一にして内容量を減らし、gあたり1.33円から1.37円にすると、値上がりを感じづらいといったこと(実質的値上げ)も出来ます。
この予算帯と実質的値上げを一番身近に見れるのが、コンビニ。
紙パックの紅茶やジュースなど、数年前からですが、500㎖サイズと思っていたものは価格はほとんど変わっていないのに、いつの間にやら420、430㎖に。1ℓサイズと思っていたものは900や950㎖になっていました。(私の青春時代は500㎖パックでした。)
でも、いざ言われずに買うと変化には気付きづらいですよね。私もその1人で、なんなら当初は気付かず買ってました。
昨今は飲食業界での原価高騰が叫ばれ、コロナ以前から人件費が高騰し、またコロナによって客数の減少が叫ばれといったことで客単価アップや値上げを考える方も多くいらっしゃると思います。
原価の観点から価格を調整することもあるかと思いますが、一方で、売上の確保・維持をしていく上で、まずは予算帯の観点(同一予算内なのか?)、それから最小単位(個あたり、gあたり)での計算で、価格の調整を考えてみてください。
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