働くことを振り返る その⑧ 働き続けないといけないことはない
前回まで
働くことを振り返る その⑦ 休むことを疎かにすると良い結果は生まれない
2020年3月からのリモートワーク
休職するちょっと前の2020年2月ころから新型コロナウイルスの流行が始まります。これに伴ってリモートワークと週1日または2日程度の出社となりました。しかし、自分のいた部署では、モバイルPCの貸与はされておらず、自宅に個人PCがない人は仕事ができない…なんて事態に陥ります。またそもそも個人PCで仕事をするというのはリスクが多いのでは…。それくらい急に決まり、急に始まりました。
オフィスで仕事をしていたメンバーでのリモートワーク
数年間オフィスに出社し、仕事をしていたので、人間関係はもちろん既に構築されていて、離れた場所でリモートワークをしていても、誰がどういう考えを持っているのか、誰がどういう仕事の進め方をするのか、こういった人への理解はできていたので、それほど不便さはかんじていませんでした。むしろ、自分の中ではオフィスという檻の中から開放されたようで、余計な気遣いや、遠慮をする必要もなく、とてもストレスフリーな環境でした。
コロナの及ぼしたもう一つの影響
妻は看護師をしていますが、コロナによって激務となります。土日出社することも増え、平日も帰りが遅くなり、家事や育児には手が回らなくなっていきました。自然と在宅で仕事をしている自分が、その辺りも賄うことになります。娘の小学校も不安定な状況。休校になったり、短時間での授業となったりしていました。この頃は学童に通っていましたが、17時には迎えにくるよう指示が出ていたので、仕事をこっそり抜け出して迎えにいったりしていました。そして仕事が終われば一息つく暇もなく、晩御飯の支度、お風呂に入らせて、宿題を見て…と休む暇がなくなっていきました。
そして休職
休職する時は、心身ともにかなり疲弊していました。それに加えてPCも貸与されていない状況で、上司には仕事中になにをしているか分からないと言われたり、リモート下での業務報告体制も決めていないくせに、報告がないと言われたり。あーもうこれはだめだなと緊張の糸がプツッと切れてしまった感じです。一度上司には退職を考えていると話しましたが、以前の経験から退職よりまず休職を選択することを考えました。しかし、以前の職場のように戻ってもそれ相応の対応はしてくれない事は分かっていましたし、休職期間中に上司のサポートも、ほぼなかったので転職を考え、休職期間が終わる3ヶ月以内を目標に転職活動を開始するのです。
休むことを考えず転職しか頭になかった
これだけ疲弊しているのに、しばらく休もうという気持ちは全くありませんでした。ブランクが空いてしまうことへの不安や、無職になることへのプライドでしょうか。今思えばくだらない事にこだわっていたなと。休職中はとにかく寝ていました。面接が入ればその15分くらい前まで寝ていて、面接を受けるという日々でした。運良く休職から2ヶ月が経とうとしていた頃に、内定をもらうことができ、主治医に相談したところ、頑張ってみてもいいんじゃないかと言われ、受諾することにしました。上司には「仕事への復帰がOKになりました。しかし、環境を変えてがんばります。」と伝えたことを覚えています。おそらく転職するとは思っていなかったのでしょう。それまで担当していた業務は他の人で回っているとか、休職後どうするのかはっきりしろとか、そういう態度しか示してこなかったのです。
入社日が近づくにつれ、何か大きなものを失う不安に駆られる
次の職場はほぼフルリモート、フレックスでしたので、家事も育児も仕事もうまく両立できると思っていました。しかし後に考えると、一人で全てやろうとする事が良くなかったのです。内定後、徐々に入社日が近づいて来ます。近づくにつれ、何か大きなものを失う不安のようなものに駆られるようになります。メンタル的に落ちていて、焦りや不安だけで行動してきた転職活動。運良く内定先を決めることができましたが、きちんと将来を考えることや、体を休めることをしないままだったので、きちんとした判断ができていなかったのかもしれません。
鬱になったり、メンタル不調からの気付き
鬱になったり、なにかしらのメンタル不調になるということは、必ず無理をしています。劣悪な労働環境であるにも関わらず、そこに馴染めない自分を責めてしまったり、自分のように、仕事、家事、育児等を全て背負ってしまったり。本当であれば、何かしらの不調になる前に、自分で気づき、コントロールしたいものですが、頑張りすぎる人はそれに気付くことができません。また、環境的にそうせざるを得ない場合もあるでしょう。当時の自分は妻の仕事の状況をやむを得ないと考え、全てを背負っていました。また、仕事でもコミュニケーションを取らない上司や、PC貸与や報告体制のない環境で一方的に責められたことで、自分を責めてしまったことは原因と思います。頑張りすぎる人や真面目な人は、自分の心身に不調があっても、無理をする傾向があるように感じます。でも、骨折して足が動かないのに、歩いて行動しようとする人はいません。風邪で高熱が出ているのに、動こうとする人はいません。でも鬱は自分の頑張りが足りないだけと、更に頑張ろうとしてしまいます。
充電期間の必要性
自分は10年勤めた医療系企業を辞めた時、そして今回の会社を休職した時、それぞれきちんと休むことをしませんでした。それはブランクが空くと転職に不利とか、無職でいることへの罪悪感とか、そういうものに振り回されたからです。もちろん不利になることはないとは言い切れませんが、ブランクがないからと不利になることはないかといわれると、そうでもないでしょう。結局面接での評価はその人の人となりなので、ブランクがある、休んでいた、だから駄目、みたいな機械的判断はされないでしょう。ちゃんと置かれた状況でなにを感じ、どう行動したか、きちんと自分の自由意志のもとに判断した、ということが表現できればマイナスな評価をする人はいません。また、人生100年時代です。時に充電期間を設けて、これまでとは違う第2の人生を考える期間は必要と思います。なにも考えずにただ流されて生きてきた人には、こういったネガティブな状況に遭遇することもないかもしれません。しかし、考える機会にも出会うことはないでしょう。鬱やメンタル不調に陥るということは、これまでを振り返り、新しい自分へ生まれ変わるチャンスです。生まれ変わるというと大げさですが、きっと「もうこういうことはしたくないな」という思いを否定せず、受け入れることで、「じゃあこっちの道に行ってみよう」と選択できていくのだと思います。
転職先での出来事
入社2日目からリモートでの勤務となります。これまでやってきたリモートワークは、従来オフィスで顔を合わせていた人たちが、それぞれの自宅で勤務するというものでしたので、それぞれの考え方や、会社の考え方、こういったものを理解した上でのものでした。しかし転職先ではそうではありません。そんな環境に加え、体調が良くなったわけでもなく、更にストレスを感じることで悪化していきます。詳しくは第9回で。
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