読書感想文「ユニクロ」
はじめに
友人から面白いから読んだ方が良い、と薦められ、図書館に貸し出し予約を入れて4か月。ようやく読めました。
柳井正氏のユニクロの創業からいままでの苦闘の日々をつづったノンフィクションです。
本の構成
下記が構成となります。
章の名前から分かる通り、ひたすらユニクロをほめたたえるという内容ではなく、どちらかというとビジネスでの勝負に敗れた撤退戦と仕切り直し、再挑戦のエピソードが多いですね。
【目次】
プロローグ――人が消えた商店街
第1章 寝太郎――無気力青年はなぜ覚醒したのか
第2章 暗黒時代――もがき続けた雌伏の10年
第3章 鉱脈――裏通りで生まれたユニクロ
第4章 衝突――理解されない野望
第5章 飛躍――東京進出とフリースブーム
第6章 挫折――「会社が壊れていく」、新たな才能と去りゆく老兵
第7章 逆風――迷走した禅譲劇
第8章 突破口――世界進出もたらした「問い」
第9章 矛盾――「ブラック企業」批判が投げかけたもの
第10章 再起――悲願の北米再建の裏にあった葛藤
第11章 進化――情報製造小売業への破壊と創造
エピローグ――世界はつながっていた
感想
山口県の宇部で柳井氏が過ごした幼少期からのエピソードからは始まるのですが、少々引っ込み思案なところがあり、実業家一家の生まれ、という話で終わるかと思いきや、幼少期から付き合いのある人間関係がその後の人生に大きく関わるということで、良くある話というより映画の脚本にしてもそのまま通りそうなエピソードが多いです。
学生の話も出てきますが、読者の層が主にビジネスマンということもあり、ビジネスの話がほとんどです。
年代によってエピソードの話がたくさん出てくるのですが、基本的には最後まで下記の流れです。
ビジネスの決断を決めるにあたってのユニクロのビジネス環境、人間関係の説明
どのようにビジネスを展開したか
ビジネス展開中の苦労したエピソード
ビジネスが成功したか、失敗したか
成功した場合はその結果がどうだったか、失敗した場合はその後始末をどうしたか
ここまで読んでピンときた方も多いと思います。
ユニクロのビジネスにおけるPDCAサイクル、およびそのレビュー。
ビジネスマンが仕事で嫌というほど目にする仕事の資料と流れが同じなのです。
小説のような文章の流れと思いきや、会議資料を読んでいるような感覚に陥ります。
つまり、ユニクロのこれまでのビジネスのレビューが一冊の本にまとまっていると考えてください。
上記構成となっているため、500ページほどありますが、頭にすらすらと内容が入ってきます。
個人的にはユニクロが成功したというエピソードより、ビジネスの選択に失敗した撤退のエピソード、原因分析、関係者の心理描写がとても面白かったです。
ビジネスの成功を絶賛するビジネス本は世の中にあふれていますが、失敗集のような本は「失敗の本質」など数はそう多くありません。
これだけでもビジネスマンは読む価値があると思います。
新しい仕事に取り組むと100%成功なんてことは無く、失敗もします。
めげます。
やけ酒も飲みます。
ネタバレするので詳しくは書きませんが、そんな日々戦うビジネスマンには心に残るノンフィクションだと思います。
ユニクロが拡大していく時期に同時代を生きた方、海外事業に携わった方には特に心に響くでしょう。
おわりに
買うと高い本ですが、よく売れた本だと思いますので、近くの図書館でも借りられると思います。
お休みの日に、仕事にちょっと疲れたビジネスマンの方は是非読んでみてください。
きっと、仕事のモチベーションの回復につながるでしょう。